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ペアリングイベントのはなし④

モクテルNo.1。

何度やってもモクテルは難しい。
基本的に、飲める人間は飲めない人間が見ている景色は見えない。
飲める人間がその環境にあって、敢えてモクテルをチョイスするなんてよほど体調が悪いとか健康診断前日とかその程度じゃなかろうか。
あとは僕らのような飲食人の「職業上の視察・勉強」くらいしか思いつかない。

書くまでもなく僕は最後の人種。
故にもちろんノンアルコールペアリングは何店かで体験したし、料理系雑誌の「ノンアルコール」や「ペアリング」特集モノはほぼ確実に購入して参考書としている。
これ職業柄の為せる業也。

その参考書と自身の経験に基づく現状の結論は、アルコール / ノンアルコールと選択肢を作る場合は「出来る限り同じ景色を見せる」か「全く違う世界を見せる」かの2択しかないと思っている。
今回は近いような別世界。
要するにそこまで同じではない。
とりあえずレシピ。

Mocktail No.1
<build / champagne glass>
煎茶(一保堂 雲露 / 水出し一煎目)50
ココナッツウォーター 30
パッションフルーツジュース 10
マンゴージュース ~10

カクテル同様、パッションフルーツにフォーカスしている。
ここをブラせていいことは何もないと判断。ただ、その先が浮かばず試行錯誤した結果、茶を使う事とした。
正直、使うのにはいろいろ躊躇いとか意地とかあって逡巡したけど、それらを抑え込んだり有用性を自分なりに落とし込んだ。過程は割愛します(聞かれれば答えるのでカウンターにて)。

樽熟感のあるシャルドネ、あるいはフィノタイプのシェリーに近い仕上がりになった。
甘味を上げるとどうしても重心がドリンクに寄りすぎるので酸味をどこまで活かすかを考えてデザイン。
茶のタンニンをメインにパッションフルーツジュースの酸、シュガーシロップの代わりにマンゴージュースで甘味を、ココナッツウォーターで樽熟感を出しつつ柔らかい甘味で全体を包んだ。
ちなみにマンゴージュースは成城石井で売っているもの。フレッシュでは出せない部分が有用。やはり適材適所。必ずしもフレッシュが正義ではない。
ココナッツウォーターはchabaa(タイ)のパックだし、パッションフルーツジュースだって非濃縮還元の100%ナチュラルだけど既製品。
「既製品をうまく使う」ということを今回では多く学べた。

さ、次のモクテルNo.2で今回のイベント記事はラスト。

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