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ペアリングイベントのはなし ② ~カクテル1杯目

さて、前回の続き。
ケーキがピスタチオ主軸のものと決まってドリンクはイチゴをメインに据えると決めた。

なぜか?
旬のフルーツというのはもちろんだけど、それよりもイチゴとピスタチオが鉄板の組み合わせというのが大きな理由。
分かりやすく親しみやすい、安心感がある。
飲むときに警戒しなくていいポップさというのは大事にしたかった。

さあベーススピリッツをどうするか。
ケーキは意見交換のうちに「山椒が入る」となったので、ならばスパイシーなニュアンスで繋げようとテキーラをチョイス。さらに山椒独特の苦味の輪郭を描くのにカンパリを少々。これだけだと苦味とスパイシーさが前に出過ぎるのでベリー感の補正にカシスも少々。そしてレモンの酸味で全体を締め、これまた少しのシュガーシロップで甘味のリフトアップ。
そこにあまり使いたくなかったコーヒー(コールドブリュー)で苦味と奥行きをつけた。

なぜコーヒーを使いたくなかったか?
理由は簡単。使えば苦もなくまとめられるからだ。
コーヒーや茶の類いなんてどれだけ興味がない人間だって合うのはわかる。だから最後まで抵抗して他を探したけどこれに勝るものは残念ながら見つけられなかった。
そんなわけで出来上がったレシピが以下のもの。

A
テキーラ 30ml
イチゴウォッカ(自家製) 1tsp
カシス2tsp
カンパリ1tsp
B
イチゴ 約40g(フレッシュの状態)
コーヒー 30ml
シュガー 1tsp
レモン 1tsp

Aはスニフター等のグラスでスワリング、Bはブレンダーにかけたあと漉し合わせる。
シャンパングラスでサーブ。

正直、悩んだ挙句がこれかっていうくらい凡庸なのは自分でも認める。
だが、これでいいのだ。
カクテルのみなら意外性やトリッキーな提案でもいいけど今回はペアリングである。プレートと合わせて一つの世界を作るのが着地点。こちらだけ変にエッジを効かせても仕方がない。それこそ「お互い好きなように作って提供する」というカタチならまだしも。
そんなわけでまずまずの納得感を持って1杯目は出来上がった。残すはもう1杯。
あ、書くのを忘れていた。イベントの構成は下記の通りだった。

ケーキ、お口直しのプティフール
カクテルorモクテル×2

カクテル 2 + モクテル 2、つまり4杯製作しなければならなかったのです。
note的にはこれで最低4回分引っ張れるのでしばらくネタには困らないのだけど、締め切りまで時間がない製作の最中、そんなことは頭の片隅の隅くらいにしか置けなかった。
ならせば週に1杯製作×4のペース。
まあ計算上はそれでも、1杯何かが出来上がれば調子良く進んでくれる。が、同時にその1杯を作るまでが大変なのもよくわかっていた。
案の定、1杯目が出来上がると2杯目のカクテルも割とスッと出てきてくれた。

ということで次のカクテルの話はまた次回。

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