君が左で僕が右 いつの間にか決まった並びで歩くようになった 特に意味はないけれど ただ心地が良いからそうなっただけ 深夜の内容の無い電話も すっぴんのまま目の前で酔…
君が涙を流しても 僕にはどうすることもできない 頬を伝って落ちてしまう前に すくい上げることも叶わない 時が経ち色あせてしまうペンキのように 大切にしたい記憶もやが…
心を温める歌がある 悲しみに寄り添ってくれる歌がある 幸せを祝福してくれる歌がある 人生を支える歌がある 好きな人と結ばれた時にも 恋人と別れた時にも 誰かに背中を…
春は桜を眺め暖かくなり始める季節を感じ 夏は人混みの隙間から手を繋ぎ花火を見上げた 秋は人懐っこい猫を撫で 冬はプレゼントし合った手袋をつけて雪を見た 君と歩いた…
早朝にホテルから出ると 空気は朝の清々しさを感じるが空はだいぶ明るい 目的がないただの散歩の行き先は とりあえずルーブル美術館の方へ向かうことにした 日本と比べる…
大人になってわかるとこがある 毎日まだ起きている子供に顔を合わせるために 遅くない時間に帰るのが容易でないことが 親になってわかることがある 仕事の後に遊んでと駄…
この街のどこにこんなにも人がいたのか そう思うような人の波をすり抜けるように歩く 非日常の中に連れゆく君と 離れ離れにならないように ドーンドーンという破裂音が近…
君の寝息が首をくすぐる 多少の寝苦しさも感じながら 起きてしまわないように動かないようにする 広い方がいいと奮発して買ったダブルベッドも 君がくっつくから左端ばかり…
僕はモブだ “なんとかを探せ”の本の中ではじの方に スペースを埋めるために書かれている風の人間だ 人は内面が重要だって言われて育ってきた だけど目から入る情報に人…
辛い時 落ち込む時 ついていない時 不幸せな時 心と言葉を逆さまにする 辛くないし 気分上々 ついているし 幸せだ 胸の気持ちが口に出るなら 逆に口に出した言葉が胸の…
「カロリー消費したいから一駅歩くから送るよ」 君と少しでも長くいたい僕の願望を 値引きシールが重ね貼りされたような 安い誘い文句で誤魔化した それなりに都心に近い…
心を写すような空模様 長く続く雨の日々も 青に染まるパノラマも 二人を包む景色になるだろう 花束を持って向かい合い 目を合わし交わした約束は どこに刻まれるわけでも…
僕はどうやら猫という生物らしい 興味はないけどスコティッシュフォールドという 種類だそうで同じ仲間は耳が垂れているらしいけど 僕の耳はピンと立っている 僕の主は背…
強張った表情で見つめ返す その奥に潜むかもしれない 悪意に飲み込まれないように 人の肌の色をした硬い甲羅が 棘を立ててあらがうのは 柔らかく脆い内側を 食い荒らされ…
下北沢の駅を一つ通り越して わざわざ池の上で降りて静かな道を 下北沢へ向かって歩く あの賑やかで明るくて若いエネルギーが 密集している光景が今の僕は見たくなかった …
キッチンからパンが焼ける音がして 昔からある緑色のトースターが「ガシャン」と鳴く 貰い物で揃えたダイニングテーブルセットの いつものところへ座ると母が朝食を並べる …
新川万詩郎
2024年6月21日 18:51
君が左で僕が右いつの間にか決まった並びで歩くようになった特に意味はないけれどただ心地が良いからそうなっただけ深夜の内容の無い電話もすっぴんのまま目の前で酔い潰れて寝ていても友達以上恋人未満それも心地が良いからそうなっただけそう君が言うからそうなっただけ手を引いたり小突いたり触れることはできるのに肝心な心の方はまるで幽霊のように君をすり抜ける君の好意は僕のとは種類が違うの
2024年6月20日 18:41
君が涙を流しても僕にはどうすることもできない頬を伝って落ちてしまう前にすくい上げることも叶わない時が経ち色あせてしまうペンキのように大切にしたい記憶もやがて薄れてしまうだろうそこにしか僕はもういないからどんな声をしていたのかもやがて思い出せなくなるかも知れない体温も匂いも当たり前に存在していたのにもう感じることはできないでも悲しみも苦しみも同じようにいずれ薄れゆくその存
2024年6月19日 18:38
心を温める歌がある悲しみに寄り添ってくれる歌がある幸せを祝福してくれる歌がある人生を支える歌がある好きな人と結ばれた時にも恋人と別れた時にも誰かに背中を押して欲しい時にも苦境を乗り越えたい時にも心を響かせる歌があるだから僕は歌を作る側になった誰かの心に寄り添いたくてでも今の僕は聞きたくないものに蓋をするために歌がある自分が描いた夢の先はその夢を曇らせていくばかりか
2024年6月18日 18:23
春は桜を眺め暖かくなり始める季節を感じ夏は人混みの隙間から手を繋ぎ花火を見上げた秋は人懐っこい猫を撫で冬はプレゼントし合った手袋をつけて雪を見た君と歩いた遠くの海まで続く長いこの河川敷は君と過ごした思い出が溢れている移りゆく季節の変わりが二人の背景を彩っていた川の向こう側に僕渡ってこっち側に君が住んでいたから天の川だねと僕が言うとなら川にかかる橋はカササギの橋だねと君が言う
2024年6月17日 19:00
早朝にホテルから出ると空気は朝の清々しさを感じるが空はだいぶ明るい目的がないただの散歩の行き先はとりあえずルーブル美術館の方へ向かうことにした日本と比べると頼りなさのある信号機や歩きタバコで人目を気にせず吸い殻を道端に捨てるパリの人を横目に進む途中どうやら今日ストライキか何かがあるようでライフルを持った警備隊員が道を塞ぎここは通れないと促されるもう少し先のノートルダム大聖堂
2024年6月16日 18:43
大人になってわかるとこがある毎日まだ起きている子供に顔を合わせるために遅くない時間に帰るのが容易でないことが親になってわかることがある仕事の後に遊んでと駄田をこねる子供の相手をするのに相当な体力が必要なことが家庭を持つとわかることがある経済的余裕を求めて頑張るほど家族と一緒に過ごす時間が短くなることが“父の日はお父さんに感謝を伝えましょう“そう決められていたから思春期に
2024年6月15日 18:58
この街のどこにこんなにも人がいたのかそう思うような人の波をすり抜けるように歩く非日常の中に連れゆく君と離れ離れにならないようにドーンドーンという破裂音が近づくほど人々が色めき立っていくのがわかる歩行者天国となった道の両脇はたこ焼きや焼きそばなんかの屋台が並びその提灯の灯りが非日常感をさらに演出するびっしりと人が並んでいる河原沿いに着きたまたま空いた特等席とは言えないけれど
2024年6月14日 19:12
君の寝息が首をくすぐる多少の寝苦しさも感じながら起きてしまわないように動かないようにする広い方がいいと奮発して買ったダブルベッドも君がくっつくから左端ばかりに寄っていたねでも今はベットでは二人の間に空間がある週末にはおしゃれなレストランに行って閉店まで二人は色んな話をしていたね何が食べたいと聞くと決まって焼肉というのが笑っちゃうけど美味しくて身震いするような仕草が好きだった
2024年6月13日 19:39
僕はモブだ“なんとかを探せ”の本の中ではじの方にスペースを埋めるために書かれている風の人間だ人は内面が重要だって言われて育ってきただけど目から入る情報に人は左右されるのもいくらか生きてくると分かってくる鏡を見れば見るほど典型的なこのモブ顔をどうにか自らの手で変身させてあげたいああ、小さい頃は楽しかったなそんな風に思いに老けている今目の前には美容室で頭に色とりどりのカールを
2024年6月12日 19:23
辛い時落ち込む時ついていない時不幸せな時心と言葉を逆さまにする辛くないし 気分上々ついているし 幸せだ胸の気持ちが口に出るなら逆に口に出した言葉が胸の気持ちにもなるはずだからサカサマコトバには前向きになる力がある夜の公園で僕に奢らせた缶コーヒーを飲みながら君が自身満々に言う君なりの自己敬拝らしい疲れてもいないし全部うまくいく頭もしっかりしているし明日も楽しみだ
2024年6月11日 19:00
「カロリー消費したいから一駅歩くから送るよ」君と少しでも長くいたい僕の願望を値引きシールが重ね貼りされたような安い誘い文句で誤魔化したそれなりに都心に近いこの辺りではとなりの駅までは高架下を歩いて十数分ほどの長さ僕に残されたタイムリミットさっきまでの店が美味しかったとか明日の仕事が憂鬱だとか話したいこととは別のものが空を舞う等間隔で設置されたLEDの街灯が二人の影を伸ば
2024年6月10日 19:08
心を写すような空模様長く続く雨の日々も青に染まるパノラマも二人を包む景色になるだろう花束を持って向かい合い目を合わし交わした約束はどこに刻まれるわけでもなく二人で守る大切なもの寄り添うように並んだ道が重なり息を合わせて一緒に踏み出す純白は花びらに包まれ歌声が未来を照らす喜びはあなたと共に 悲しみもあなたと共に幸せとは小さな光の粒一緒に集め心のカゴいっぱいになった時
2024年6月9日 18:16
僕はどうやら猫という生物らしい興味はないけどスコティッシュフォールドという種類だそうで同じ仲間は耳が垂れているらしいけど僕の耳はピンと立っている僕の主は背の大きな男の人で撫でてくれるしブラシで毛をとかしてくれるし何よりこのピンと立った耳が好きと言ってくれる大好きな人間だ僕が生まれて間もない頃に主とその彼女に連れられて今の家にきた彼女も優しくしてくれるし遊んでくれるから子
2024年6月8日 18:55
強張った表情で見つめ返すその奥に潜むかもしれない悪意に飲み込まれないように人の肌の色をした硬い甲羅が棘を立ててあらがうのは柔らかく脆い内側を食い荒らされないための尊厳全ての手足を失っても 這いつくばるように残酷なエピローグが待っていようと意識と実態が切り離されるて抜け殻になるその時まで無意識の群行無責任な躊躇無秩序の快楽無慈悲な冒涜思考を止めたら飲み込まれる
2024年6月7日 21:44
下北沢の駅を一つ通り越してわざわざ池の上で降りて静かな道を下北沢へ向かって歩くあの賑やかで明るくて若いエネルギーが密集している光景が今の僕は見たくなかった道端で立ち話しているグループもカフェの中で見つめ合うカップルもあの日の僕らが重なるのが嫌だったから30人でいっぱいになる様な小さなライブハウスで僕は目立たないように一番後ろの席に座る客席と同じ高さの薄暗いステージにはアコー
2024年6月6日 17:11
キッチンからパンが焼ける音がして昔からある緑色のトースターが「ガシャン」と鳴く貰い物で揃えたダイニングテーブルセットのいつものところへ座ると母が朝食を並べる何年も前の日常がそこにあったコンロでは食後のコーヒー用にと火にかけられたヤカンがシューシューと熱そうな息を吹いていた「最近の電気ポットは早くて安全で良いんだよ」そう教えてみても母は「へー」というだけでまるで興味がなさそう