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続々・大車輪 vol.1 ~ポップの祭典~

相対性理論の出演が決まった深夜3時半。
メールはすぐ返さずに、関根と興奮を分かち合い眠りについた。

1月末には、のあのわというバンドの出演が決定。

当時から知らない音楽を追いかけまくっていた僕は、YouTubeで偶然見かけた彼らに一目惚れ。
『ゆめの在りか』はライブで見たら絶対にすごいことは一瞬でわかった(そして実際は予想の100万倍すごかった)
まだバンドメンバーが運営していたウェブサイトにアクセスして、hotmailのアドレスに直接オファーすることがきた。
直後にメジャーデビューとなり、そのタイミングだったらこうはいかなかっただろう。

のあのわ出演が決まったのはライブを観に行ったときだった。

フライヤーを見せながら恐る恐る「主催者ですけど、どんな感じですか・・?」と聞いたら「出ます!」とあっけなくOKをもらえて拍子抜けした記憶がある。
そこからは「フライヤーに書いてませんが、今日出ていた のあのわ も出ま~す♬」とルンルンで会場の人たちに配ったことは言うまでもない。

そしてフライヤーデザインは、syrup16gのmixiコミュニティで知り合った上野くんに頼んだ。実家同士はどうしようもないほどご近所。
彼とは5バンドが出揃う前から連絡を取っていて、バンドが増えるたびにデザインを変更してもらえたのは本当に助かった。
彼もまた一緒になって、ブッキングの進行状況に一喜一憂してくれた。

上野くんのデザインのこだわりは、「車」という文字がちょうどセンターに来ていることだと記憶している。間違ってないよね?
左下のQRコードを読み取ると予約フォームに飛ぶようにした。ほぼ使った人がいない割にデザインに影響してくるから、2回目以降はなくしたけれど・・

そして出演バンドの構成をみると、ARTLESS NOTE以外は男女混合である。これは今後の出演バンドにも多い特徴で、なんかそういうメンバー構成が好きなのだろう。僕自身も男女混合のバンドにいたし。

開催期間が迫るにつれ、細かいことも気にしだす。

ナインスパイスは入ってしまえば快適空間であることは間違いない。
でも駅から少々離れていて、道のりが分かりにくいことを懸念していた。ルート的には歌舞伎町を思いっきり通る。絶対に迷いたくない。

そこで、僕が歩きながら駅からライブハウスまでの道のりを写真に撮り、説明を加えてイベントのブログに掲載することにした。
しかも「時間短縮ルート」「雨の日ルート」「治安重視ルート」の3パターン。我ながら親切すぎる。

また、ライブハウス特有の「取り置きシステム」に慣れていない人たちへ向けて、予約から当日の流れを全て書きだしてブログに掲載した。
さらに気分を高めるべく、ドリンクは冷えたグラスで提供してくれることや、ロッカーの数と値段、トイレがウォシュレット付で男女別になっていることまで網羅した。
もちろん、来てくれる人のためではあったけど、イベントに関わること全部がやっていて楽しかったことが大きい。

出演バンドの動向も細かくフォローしてブログに書き出していて、とにかく「どこよりも速く細かい」を意識していた。当時はツイッターがなかったから。

そうこうしているうちにイベント前日を迎える。
イベントへの予約とバンドでの予約数を合わせると150を超えており、西田さんと相談してソールドアウトの告知を出すことになった。
キャパとしてはもう少し入るが、僕自身すし詰め状態のイベントが嫌いなので、少しでも余裕のある状態にしておきたかった。

いよいよイベント当日。

出演バンドのリハーサル順も僕なりに考えて組んだ。

当時は「逆リハ」と呼ばれる順番が一般的だった。本番の出演順の逆から順にリハーサルをこなしていくというものだ(今はどうなのだろう?)

しかし逆リハだと、トリを飾るバンドが一番最初にリハーサルをしてもらうことになる。拘束時間が圧倒的に長くなってしまい、否が応でもコンディションに影響してくる。
本番のトップバッターはリハーサルの最後となり、セッティングそのままでライブできるため動かさなかったが、そのほかのバンドは拘束時間がなるべく均等になるような順番にした。

リハーサル時間は特有の緊張感とソワソワ感がある。これには全く慣れることなく、イベントを何回やってもソワソワし続けていた。
僕自身はあまりやることがなく、雑念の波が押し寄せてくるからだ。

リハ押さないかな?メンバーちゃんと来るかな?お客さんどれくらい来るかな?

・・思ったところで自分ではどうしようもできないことばかりだが、この感覚を味わうだけでもイベント開催する価値はあった。

開場して本番が始まると、あとは早い。トップのhaltからトリの のあのわ まで一瞬だ。
楽屋からステージに向かうhaltのメンバーを見届け、自分が組んだイベントで初めて音が鳴らされたときの感動といったらなかった。
のあのわが『ゆめの在りか』をやってくれたときには、最後の大サビで両手を挙げて、その素晴らしい音を全身で浴びたことを今でもハッキリと覚えている。

打ち上げでは忘れられない言葉をかけていただいた。
とあるバンドのメンバーがお酒で少し赤くなった顔で「出演の返事が遅くなって申し訳なかったけど、最後はケーイチさんの熱意で決めました!本当に出てよかったです!」と言ってくれたのだ。
どちらかというとクールな印象があったその人から、そういう言葉が出てくる雰囲気になったのが最高に嬉しかったことを覚えている。

大車輪をやっていなければ会っていない人たちが多すぎて、イベントなしのパラレルワールドを思い描くことはできない。
ちなみに、最重要人物である関根と知り合うキッカケになったのはmixiだった。SalyuとPANICSMILEを愛聴しているという共通点があって一気に打ち解けた。

これにて大車輪vol.1振り返りnoteは完結。
読んでいただきありがとうございました。

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