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読書感想文 人新世の「資本論」 斎藤幸平

久しぶりに人生観変わる本でした。読書会で共感したい!読書会やろう!

前回「地球SOS それいけコロリンが私に残したもの。」にも書きましたが現代の持続可能性、特に気候変動に懸念を持った状態ではありました。人新世という考え方も知っていました。

でもそれはSDGsやカーボンニュートラルで解決できる と淡い期待も抱いていました。しかし、この本は

そうじゃない、資本主義こそ気候変動の原因である!

と説きます。

「わたし何のためにこんな頑張ってんだろ?」と思ったら読むといいと思いました。目の前の課題は解決したい・するべきだろうが、その行為は現代・未来まで通じた誰のために役立ってるのだろう?後世に胸がはれる行為だろうか。

いよいよ気候変動も身近なものになってきました。自分の行為と未来への貢献に1本の筋が通ると自分の中の納得感が出ると思いました。

坐禅会で復唱している、久松真一の「人類の誓い」を思い出します。

人類の誓い
わたくしたちはよくおちついて本当の自己にめざめ、
あわれみ深いこころをもった人間となり、
各自の使命に従ってそのもちまえを生かし、
個人や社会の悩みとそのみなもとを探り、
歴史の進むべきただしい方向をみきわめ、

人種国家貧富の別なくみな同胞として手をとりあい、
誓って人類解放の悲願をなしとげ、
真実にして幸福なる世界を建設しましょう。

以下、私が印象に残った内容です!

1、SDGsやカーボンニュートラルでは気候変動は解決しない

資本主義は外から収奪することによって成立する社会。外とは産業が未成熟な南側の国、そしてそこが成長すると次は未来。南側の国にプラゴミを押し付けたり未来に問題を先送りしたりすることで今を豊かに暮らしている。

そのため表題のような取り組みがされているが、成長と環境負荷を切り離す=デカップリングすることはできない。できたとしても間に合わない可能性が大きい。それらは結局、経済成長のための免罪符となり環境負荷をさらに増大させることになる。

⇒確かに身近な例でいっても「リサイクルしてるもん♪」と行ってペットボトルを買ってしまうことはあります。買わないのが一番いいのに。

2、脱成長こそが答え

気候変動を防ぐには脱成長しかない。それは山奥で自給自足の生活をするわけではなく他者とのコミュニケーションや協業していく技術が必要。そして身の回りにあるコモン=「人々により共有され管理される富」を共同で持続可能に管理していくことが必要。

そうすることで人々は潤沢さを手に入れ、無理に働き、ストレス発散のために爆買いをし、果てない欲求に苦しめられることがなくなる。大量消費による気候変動が抑えられる。

⇒田舎暮らしだと生活費が下がると聞きます。山に住む知り合いの家も飲み水は山から引いてるし、お風呂も薪でわかしているし。そこにはコミュニティがあって、潤沢さの中で暮らしている例かもしれません。

3、脱成長には生産の転換を!

気候変動対策として、節電・ふんわりアクセル・マイボトル・エコバックなど「我慢を強いる」消費策が強調される。でも一番見直されるべきは生産である。

生産は使用価値=「本当に役立つかどうか」、よりも価値=「売れるかどうか」が重視されている。例えばコロナ禍で発覚したマスクがほとんど外国で作られてたという事実、エッセンシャルワーカーの人たちが圧倒的に低い給料で働いているという事実。

人類にとって本当に必要なものへと生産を切り替え、効率だけをもとめた分業をやめ、仕事を「やらねばならない」から創意工夫・助け合い・やりがい中心に変えていく必要がある。

⇒水素エネルギーや電気自動車などが話題になっていますが、一番の気候変動対策は「作らないこと」。その労力を使用価値の高いものに振り分け、それらが足りたら仕事をやめて地域や家庭のために時間を使う。幸せな国になりそうだと思いました。

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アドラー心理学の「共同体感覚」にも近いかもしれません。私の行為が現在未来につながり貢献できている。それは目の前の人たちの欲望を満たすためではなく、(もはや生存レベルかもしれませんが)人々の幸せに貢献できている。

全体の3.5%が動けば世界は変わるそうです。だからその一歩が踏み出せればと思っています。

だから読書会やろっと。

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