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東京路地紀行 31 港区高輪 ~東禅寺裏~

そして高輪の路地シリーズの締めは、東禅寺と高野山東京別院にはさまれた崖下の路地です。

高輪消防署二本榎出張所

高野山東京別院は、高輪の背骨ともいうべき尾根道の二本榎通りに面しています。ここから一気に崖になって下っていき、東禅寺はほぼ東京湾に面した低地の高さの場所に建っています。
その二本榎通り沿いに建っている高輪消防署二本榎出張所で曲がって桂坂の通りを下りていく途中に今回訪れる路地はあります。
ところでこの出張所は灯台を思わせるデザインの建物で古そうですね。
東京消防庁のホームページで調べてみると、
昭和8年(1933年)12月28日に落成しており、近代建築の遺産
(ドイツ表現主義)として東京都の保存建築物に指定されているそうです。

路地へは、桂坂の通りの途中にある階段を下りていきます。
下の写真がその階段の入口にあたります。
右手が高野山東京別院裏にあたり、垂直におちている崖下の窪地に
路地が広がっています。見ての通り、窪地にある家屋の屋根は、
右手の崖上の建物の基礎にも届かない、深い谷です。
そこに民家がぎっしりと建っています。

上が桂坂の通り

2020年に訪れたときは、白黒ではなく、オール黒色階段だったのですが、左側は工事をして張り直したようですね。

崖下まで下り切ったところです。
民家2階建て相当の擁壁に明るい緑色の苔が生えています。梅雨の季節に
訪れたので、生き生きした色になっていますね。

谷底の路地のメインストリート

谷底の路地を歩き進んで振り返ると目の前に現れる光景。
いつ見てもその崖の高さとのギャップに圧倒されるお気に入りの場所です。
途中にはアパートも数棟あり、そのあいだをのぞいてみるとこれまた生活感あふれる渋い一角が現れます。

傘を乾すのも一苦労

煉瓦が挟まっているところもありますが、しっかりと石を組んだ構造の擁壁です。今のようになる以前はこのあたりには何が建っていたのか、気になるところです。

路地ならではの駐輪方法!?

路地あるある、自転車置き場には苦労するのでこのように縦型にして
駐輪スペースを確保するのは同じ高輪のほかの場所でも見かけました。
ただこれができるのはこのような軽いタイプの自転車。ママチャリでは
ちょっと難しいですね。

いつまでも変わることのないと思っていたこの路地なのですが、
最近山小屋風の家がなくなり、白い住宅数棟に代わっていました。
ちょっと残念。。。

2020年9月にはまだあった山小屋風の家
「山小屋風」は私が勝手に呼んでいただけですが・・・

そして路地を道なりに進むと寺の境内と墓地に挟まれたうっそうとした森の雰囲気の坂道を抜けて東禅寺の正面へと出ます。

歴史ありそうな東禅寺の三重塔
ちょうど紅葉しはじめの頃ですね。奥に見えるのが表門

東禅寺は、江戸時代末期に英国公使館がおかれたこともある由緒ある寺院。寺院のホームページによると、開創400年を越えているそうです。
この寺院の本堂の裏奥には池があります。高輪台地の地面に浸み込んだ
雨水がここで湧き出ている池です。
非公開で見られないのは残念。その代わりに池と周りの緑地の自然を保全、育てているようなのでそれは素晴らしいことですね。
陰ながら応援したいと思います。

最後になりますが、
先ほどの路地のアパートの裏手に実は井戸がありました。
でも2023年7月に訪れたら、なくなっていました…
階段の件といい、井戸の件といい、2021年から23年のあいだに
工事がはいったようです。すでに使われていない井戸だったので、
ここにお住まいの方々の生活向上を優先したのだろうということで
納得です。

2021年12月の風景。
手前側に水を流して共同で使用していたようです
2023年7月の風景
きれいさっぱりになっちゃった


参考文献:
東京消防庁ホームページ

東禅寺ホームページ


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