【旅×映画】中米・キューバ編
「ずっと行きたかった中米・キューバで幸せについて考えた話」
−まえおき
今年の4月に終えた約200日の世界一周。
わたしはやっぱりヘタレで特に何もできず、ただただ土地を巡る普通の世界一周だったけど、そのベースには映画がありました。
そしてこれから【旅×映画】というマガジンで、そのエリアごとに思い入れのある映画を紹介していこうと思います。
キューバはどうしても“いま”行きたい国だった。
だから事前準備が苦手な私でも出国前にツーリストカード(キューバのビザのようなもの)は日本で申請して取得しておいたし、入国時に持っていなかったら拒否されると噂の、海外旅行保険の証明書も取り寄せた。
私が予約したキューバ行きの便はその1か月前に開通したばかりのアメリカから飛び立つ便だった。国交が回復したばかりのキューバ。そこにアメリカから向かう。
キューバに向かう当日の朝6時。慣れていないのかまだチェックが厳しいのか、アメリカ国籍とキューバ国籍の人以外はチェックインにめちゃくちゃ時間がかかった。乗り込んだ後の出発も大雪でなかなか飛び立たなくて、結局1時間半遅れでニューヨークを出発した。乗り換えのアトランタで全速力で走る羽目になった。
ちょうど世界一周を再スタートさせる少し前、11月くらいの新聞でキューバのカストロが死んだという欄を目撃していた。
“キューバ”という国の存在を初めて知ったのは2年位前だったと思う。
大学を卒業してまだ1ヵ月もたたない頃。当時はすでに世界一周をすることは決めていてそのためにフリーターをしていた。周りからは馬鹿にされてあきれられて、でも自分の中では絶対にすると決めていた。だって、もうするって決めていたから。
そして私はそのころ世界一周のためにとあるイベントに通っていた。世界一周経験者や留学経験者が集まるそのイベントに行けば、何かしら具体的な情報が聞けると思った。
そこでいろいろな世界一周経験のあるお兄さん・お姉さん・同世代にたくさん出会う。みんないろいろ教えてくれる中でたまたまキューバの話を誰かがしてくれたんだと思う。
キューバはインターネットが使えないこと、その人が訪れたときは食料が配給制だったこと、マクドナルドもコカ・コーラもキューバには存在しないこと。ネットがないから事前に宿の予約が出来ないこと。でもめちゃくちゃいい国であること。
他にもいろいろ教えてくれた。
内容はハッキリとは覚えていないけれど、夢中で聞いていたことだけは覚えている。
そのときからキューバは絶対行く国リストに入った。テレビでキューバが映れば自然と目がいく。キューバの4文字をネットで見かければ普段読まないニュースでも読んだ。
アメリカとの国交が回復することを知って、早く行かなければキューバが変わってしまうと思った。変わるのはいいことなのかもしれないけれど、あのレトロだと噂の世界観を見れないのだけは嫌だった。
でもそれから半年ほどたって、お金が苦しくて徐々に世界一周も遠ざかりつつあった。もうできないかもしれないと思った。でも何とかしたい気持ちはあった。
そんなときに見たのがこの映画だった。
-「モーターサイクルダイアリーズ」(2003)
確かこれも、何となく知っていながら見たことなかった映画だった。
簡単に言うと、アルゼンチンに住む医学生・エルネスト(後のキューバの革命家であるチェ・ゲバラ)が7歳年上の放浪科学者・アルベルトとアルゼンチンからベネズエラまで、バイクに乗って横断する話。アルゼンチンからチリ、ペルーと通ってベネズエラへたどり着く。途中、何回もバイクが故障したり鉱山で働く人々と出会ったり、ハンセン病患者の人たちと仲良くなったり。チェ・ゲバラが革命家になるきっかけがたくさん詰まっている。
そして何となくお察しの通り、この映画にキューバは出てこない。出るのはアルゼンチンからベネズエラにかけて。だから南米大陸のみである。
でもこれはキューバのチェ・ゲバラの話だから。私はゲバラが作ったキューバを見たかったから。だから中米の映画として紹介する。
この映画を見るまで中南米は場所は知っているけれどまったく想像のできない場所だった。マチュピチュがあって最近流行りのウユニ塩湖があって、あとは治安が悪い。ブラジルとアルゼンチンは治安最悪らしい。その程度だった。
でもこの映画でそのイメージが変わった。
途中、エルネストがペルーを通るシーンがある。
インカ帝国の名残で民族衣装を着るおばちゃんたち。なぜかそのシーンだけ、そのおばちゃんたちの衣装だけやたらと印象に残っていた。カラフルでかわいい民族衣装なのに、おばちゃんたちはつらそうだった。でもその瞬間に、得体の知れなかった南米を少し知れた気がした。
−ペルー・プーノにて。チチカカ湖の最寄の街。
(実際わたしもペルーに行ったときにインカのおばちゃんたちは見ることが出来た。普通にかわいかった。)
そんな長旅を終えてゲバラが作りたかった国。
実際行ったけれど、キューバの人は24か国周った中で一番幸せそうだった。
治安もいちばんよかった。夜でもハバナは女ひとりで出歩けるくらいだった。
確かにネットはないしわたしたちの生活で当たり前になっている物がまったくない。特に発展しているわけでもない。スペイン語はわからない。二重通貨制度もややこしい(観光客と現地人で使うお金がちがう。とは言いつつも、現地人用のお金を手に入れることは両替所で普通に出来る)。
特にネットがないと宿の予約が出来ないので、入国してから目星をつけていたところを1軒1軒まわるしかなかった。わたしは幸い1軒目のいちばん泊まりたかったところにベッドの空きがあったので泊まれたけれど、10軒以上まわった人もいたらしい。
不便なはずなのに、みんな幸せそうだった。
みんな葉巻くわえてアメ車乗ってその辺で野球して。サルサ踊ってモヒート飲んで、毎日楽しそうだった。
世の中知らなくていいこともあるし、そういうことの方が多いのかもしれない。(徐々にWi-Fiが課金制度で導入されつつはあったけれど)ネットの存在も知らないから依存もない。みんな与えられるものは同じだから奪い合うこともない。差がなくて国に守られてるって幸せなのかもしれない。たとえ一生キューバから出ることが出来なくても。
“知らないことが多いと人生の選択肢が少なくなる”
そう思ってたのに。
めちゃくちゃ濃い4日間だった。
またあのアメ車がズラーッと並ぶところを見たい。
中米・キューバで幸せについて考えさせられた話。
旅が終わった今、この映画はもう一度見たい。
(この映画ほんとうにおすすめなので、旅がしたい人・バイクがすきな人、中南米に興味がある人はぜひ!)
次回は南米編・ペルー!
マチュピチュまで10km歩いたあのコースのもととなった映画の話です。
−最後に
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