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TimWalker「Wonderful Things」展

TimWalker「Wonderful Things」展
V&A(London)



お気づきの方もいらっしゃると思いますが、言わずもがな写真家のTimWalker先生は私の憧れです。一方的で勝手極まりないですが、あまりにも多くのことを学ばせていただいてるので「先生…!」と呼んでいます。師です。祖です。範です。大先生です!!!!!(もうええ)


先生が生み出すドラマチックでファンタジックな世界の数々に今までどれだけ想像力を刺激され、心が震え、そのあまりの美しさに何度涙してきたでしょう。


先生には様々な文化や自然などへの敬意と愛があり、そして写真について強い探究心があり、常に最高を更新し続けていて、こんな熱量でものを産み出したい…!と創り手としての姿勢にも尊敬するばかりで、とにかく何が言いたいかというと、『TimWalker先生が大好き!!』ということです。


さて、時を遡ること2008年、遠藤が大学生の頃、ロンドンのDesign Museumで開催された先生の個展の様子が撮影された会場内の写真をTumblrで見かけたんです(あの頃はTumblr狂いだった…)。もうそれを見た瞬間に心に矢がグサァアァッって刺さったような感じで、ときめきまくったのを今でも覚えています。


どんな展示だったかというと、写真作品はもちろん、実際に撮影で使用された大きな手袋や大きなカメラなどのプロップが展示されてたんです。


もう、なんていうか、プロップスタイリスト見習いの自分にとって究極にたまらないポイントで興奮が止まらないと同時に、実際に本物を見にいけないことに対してめちゃくちゃ悔しい気持ちが沸き上がってきて、「次チャンスがあるときは絶対に行く!!」と心に決めていました。



そして2012年に写真集「Story Teller」の発売の時にロンドンのサマーセットハウスで大規模な個展が開催されたのですが、この時遠藤は『仕事がすべて。がむしゃら期』だったので目の前のことに盲目過ぎて海外にわざわざ展示を観に行くなんて選択肢はなかったので、この時も行けず。

もちろんあとで個展会場の夢みたいな様子のレポート記事をネットで読んでがっつり後悔しました。



それから10年経ち、ロンドンのV&Aで過去最大級の個展が開催されるという情報を得て、つつつついにきた!!これを逃すとわたしは行く行く詐欺でウソつきになってしまう!!自分の欲求に蓋をしてたまるか!!仕事よりも大切なことがわたしにはあるっ!!!(年々オタクとしての肝が据わってきた)ということで満を持して即チケットを購入し、これを観に行くためにロンドンに行って参りました。



そしてついに来ましたこの時が。会場入ってすぐに本展のタイトル『WONDERFUL THINGS』の文字が虹色に照らされながら浮いてるのを見て、遠藤は勝利を確信し、涙がこぼれないように天を仰ぎました。(大げさ)


最初のエリアは代表的な過去作品が展示されている部屋だったのですが、その部屋にはなんと、まだ始まったばかりなのにもうクライマックスですか?!?!級に号泣必至なムービーが流れていたのです。

どんなやつかというと、大好きな過去の作品の撮影の様子を撮ったメイキングムービーでした。

私の心を掴んで離さない愛するあの作品もこの作品も写真に切り取られていない瞬間にもこんな奇跡みたいな場面があったのか…!!ともうそれはそれは大興奮!!!!被写体である俳優さんモデルさん著名人さんたちがお伽噺の住人になったような、一挙一動の神がかり方はもちろん、セット、衣装、ヘアメイクとその何もかもがTimWalker色に染まっていく様子がさながら魔法みたいで、そのプロフェッショナルたちの技術が共鳴した世界の煌めき具合に遠藤心が震えまくり、動悸、息切れを伴いながらも何ループもそのムービーを夢中で見てしまいました。



序章から感情の起伏がとんでもないことになってしまいましたが、そう、まだ、序章です!!Wonderful Thingsはじまってません!


ということでやっと新作の展示部屋へ。



.。*゚+.*.。ぱぁああぁあぁあぁぁキラキラキラキラ+..。*゚+

(語彙力)



いや、あえて前知識なく行ったんで、どういう展示の造作になってるかも知らずに行ったんです。
そしたら目の前にある荘厳なステンドグラスからの鮮やかな光が床を彩ってて?さながらゴシック建築の教会の中に入ったみたいな演出に?わたしゃもうびっくりしてしまいまして?要は自分が先生のセットの中に入り込んでしまったみたいなもうとんでもねぇことが起こってしまってまして?え、夢叶った…??????って感じで猛烈に鳥肌が立ちました。



というわけで、今回の新作、「Wonderful Things」とはなんぞやということを先に説明すると、V&Aに所蔵されている素晴らしい芸術作品からインスピレーションを受けて撮り下ろされた新作写真の展示なのです。


新作を展示した会場は大きく10セクションに分かれてて、写真とそのインスピレーションのもととなったV&Aの所蔵作品と、実際に撮影で使用した美術セットやプロップの一部や絵コンテやメイキングムービーなんかが展示されていました。


そして遠藤的やばいポイントが、最初の部屋がゴシック建築の教会みたいとお話したように、どのセクションもただの白壁に写真を展示されているわけでは決してなくて、それぞれ作品のテーマごとに空間まるごと信じられないくらいファンタジックに作り込まれているところなのです…!

なんてったってこの展覧会の空間デザインをされているのはいつも先生とお仕事をされている大大大好きなセットデザイナーのショーナ・ヒース!4年もの構想を経てつくられた空間は、もう鼻血が出るとかいうレベルを越えた過呼吸からの心配停止級の興奮ぶりで、イッツ・ア・スモールワールド乗ってる時より100倍興奮しました。




・フランシス・ベーコンの絵


・死をモチーフにつくられた15世紀の涙型のステンドグラスやトビアスとサラをモチーフにしたステンドグラス


・遠藤が愛して止まない世紀末芸術を代表するオーブリービアズリーの絵


・様々なよくわからへん動物が登場する色鮮やかなヒンドゥー教の神を描いた宗教画


・柔らかく裾が広がる18世紀のロココ調ドレス


・17世紀に手先の器用な少女が刺繍をしたり、蓋を開けたところに庭のミニチュアを施した宝箱


・宝石が散りばめられ、龍があしらわれたシノワズリ調の嗅ぎたばこ入れ


・ビクトリア女王がびっくりしないようにつくられたダビデ像のヌードを隠すためのイチジクの葉の彫刻


・魚眼レンズ


・保管用に白布で包まれたある種の新しいオブジェ的な見え方をするAlexander McQueenの服


・詩人のイーディス・シットウェルの履いてた靴やバッグ、膨大なジュエリー


・25mにもおよぶバイユーのタペストリー


と文字を読んだだけでもおなかいっぱいなV&Aが所蔵するバラエティー豊かな芸術作品と共に、先生がそれぞれの作品に真摯に向き合われて新たな解釈をされて撮影された新作写真が同時に見れたので、
あぁこのディテールがここに現されてて、この方へのリスペクトがここに現されているのか…!と芸術作品と写真を照らし合わせながら色々な発見ができ、あまりにも豪華過ぎる至福な体験でした。


わたしだったらこんな解釈をする~とかそんなバカなことは考えられないほど、TimWalker先生の解釈はこれ以上ないというくらい深い知識と愛と敬意をもって捉えられてて、尚且つそれを昇華させた写真たちは誰も想像し得ないこの世の美しさの極みみたいな域に達してて、暗も明もどちらの面もそれぞれに美しく、もうほんと語彙力ないからうまく言えないけどどんなものにも醜さや負の感情の中にでさえも美しさは宿っていると思わせてくれる世界で、もうお気づきだと思いますが遠藤はこの展覧会会場にいる間、感極まりすぎてほぼずっと泣いてたぐらいもうほんとに何もかもが最高な展示でした。




写真ってほんの一瞬にいろんな偶然が重なることで信じられない夢みたいな1枚が生まれるけれど、先生の今回の作品を見て、偶然が一瞬どころではなくていつどこを切り取っても唯一無二の奇跡みたいな美しさで溢れていて、それってきっと、用意周到な準備をしてわざと創り出していくぎこちなさみたいなのが削がれていったからなのと、チームTimWalker全員が全力でその偶然を楽しんでるからだと思いました。
ファンタジーは意図してつくったその先にあるものなのかもしれない。

今まで様々な努力をされて様々な壁を乗り越えられてきた上で、先生は運命を操る側から、運命に味方される境地に行かれたのだと感じました。


そして、今回の展示で何がいちばん嬉しかったって、アートを愛する私がこれからやっていきたいこと、守っていきたい想いの方向性がド直球ド真中このまんまだったことです。

何十年何百年と時を経て芸術作品が残ってくれていることがなによりも嬉しいと改めて思ったし、守り続けてくれてる美術館に対して尊敬の気持ちでいっぱいになりました。

まさかの大好きなV&Aが大好きなTimWalker先生との最強タッグで芸術作品にこのような形で新たに価値を与えられたのは本当に素晴らしい取り組みだと思う。こういうの、今後増えればいいなぁ。



最後に。
こんなに行ってよかったと思えた展覧会は初めてでした。多すぎるほどの学び、感動があったし、自分に必要なことも見つかって、目標もできました。

自分が信じる、愛するものにはためらわず会いに行くということは私にとって凄く大事なことだと身を持って感じたので、これからも推しのために海外遠征に行くことぐらいなんらためらわない精神で生きていこうと思います。お金タメルたくさんハタラク…(現実)


(2月に行った時の感想です)

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