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「美しい」も変わったねぇ という話と、自己紹介。
自己紹介
えーっと、とつぜんですが。あなたの夢はなんですか?
わたしの夢は、80歳くらい、頭が動く限りは鉛筆1本を握りしめてライターとして生きていくこと。そのときまで美しい人間でありつづけることです。
はじめまして、AyaUと申します。外資系の広告会社でSenior Copywriterをしております。欧文表記にしたのは英語できますねんというアピールのためです(ドヤァァ
前職はIT企業でUXライター、キャリアのスタートは、資生堂・宣伝部のインハウスコピーライターでした。また2018年からはフリーランスでも活動しており、泣く子も黙ってシャンパンを飲む東京カレンダーで小説を連載したり、美容やジュエリーなど女性商材のコピーをこさえたりしています。
化粧と、言葉。そして「美しい」ってなんだ?
ということを真ん中におきながらいろんな仕事をしてきて、気づいたことをnoteに書くことにしました。今回はその第一回です。
日本の女性は美しい…のか?
わたしが資生堂に入社する数年前、街頭をジャックしていたこの広告。
![](https://assets.st-note.com/img/1676172890367-p4dGoqvMsX.jpg?width=800)
日本の女性は、美しい。
有名女優を贅沢に並べた写真と心を掴む名コピー。なんとすばらしい広告でしょう。資生堂ってすごいなあとポーッとした記憶があります。
がしかしですよ。令和5年のいまこれを見ると、ちょっと違和感ありませんか?ほのかに感じるSmell of Keshikaran -けしからんの香り。ポイントは2点あります。
美しいのは日本人だけとは、けしからん(日本国籍じゃない人は含めないのか)
美しいのは女性だけとは、けしからん(LGBTQや男性は含めないのか)
多様性が尊重されているいま、美を定義すること自体がナンセンス、その対象を絞るなんてなにをかいわんや、ということですね。
十ウン年、広告業界のすみっこに暮らしていてとみに思うのは、「美しい」の価値観や女性の描き方がここ数年で激変しているということです。
今日はその変化のありかたを写しとった、そして少なからず社会に影響を与えた広告クリエイティブを3つご紹介します。
「美しい」のありかたに影響を与えた広告たち
① Dove|Real Beauty Sketches(2013年)
他人の目から見たあなたは、あなた自身が思うよりもずっと美しいかもしれない。だから自分を過小評価しないで、というシンプルなメッセージを、元FBIの似顔絵師を通じて表現しているのがなんともユニーク。
Doveはずっとこのようなリアルな美をテーマにしたキャンペーンを続けており、その始まりは2006年に発表されたこちらの”Dove| Evolution”という広告でした。
2006年はくしくも、資生堂TSUBAKIが「日本の女性は、美しい。」を発表した年と同年ですね。
昨年Doveは、この2022年版とも言える”Dove|Reverse Selfie”というフィルムを作っています。扱う対象はフォトショップから、少女たちを悩ませるセルフィーの加工へ。
②P&G|Like A Girl(2015年)
世間が「女の子らしさ」を押し付けるたびに、
少女達は自信を無くしていきます。
ネガティブな意味で使われることが多いこの言葉。
女の子らしくあることは素晴らしいことだと、意識を変えませんか。
「女性らしさより、あなたらしさ(ハート)」みたいな広告コピーが日本でもやたら増え始めたのもこの頃かなと思います。
言葉は、使われ方によって<祝い>にも<呪い>にもなります。「女の子らしいね」そんなさりげない一言がじわりじわりと呪いとなって少女たちを閉じ込めていくのでしょうか。
そんなモヤモヤを過去、東京カレンダーで「女子力の呪い」と言うシリーズで小説にして連載していました。いま読むと作品としてはつたなくてお恥ずかしい限りですが。
![](https://assets.st-note.com/img/1676196050636-B6TV7nkFsQ.png?width=800)
③Libresse| Viva La Vulva(2018年)
このビデオを見る人たちの「お、おぅ…」という顔を見るのが好きです。
Viva La Vulva、意味はずばり、女○器万歳。メッセージは先ほどのDoveと同様、人と比べずに自分自身の美しさを讃えようということです。
これ、2019年のカンヌライオンズはじめ広告業界で絶賛されたキャンペーンなのですが、もしこのタイトルが"Viva La Pxxis(男○器万歳)"だったら、果たしてどうだったんでしょうね。
同ブランドは2020年に"Pain Stories"というキャンペーンも公開しています。
ちょっと場所が上がって(?)、子宮のお話。痛みや苦しみが十人十色であることを表現していますが、私はこれも「美しさ」の一つの側面だととらえました。
「美しい」も変わったねぇ。
わたしは広告が好きです。特にビューティーの広告が。
時代は変わっても、そこにあるメッセージは変わらず
世界は美しさに満ちている。生きる価値がある。
ということに集約されるからです。(だから商品買ってね、なんですが)
でもその「美しさ」の意味は変化していくもので。2006年TSUBAKIの時代の美しさが、憧れや誇り、見上げることであるならば、2023年の美しさは、見つけること。一つひとつの命の輝きを見つめることにあるのかなと思いました。
「美しいだけでは生きていけない。美しくなければ生きる意味はない。」
わたしの好きな言葉です。ではまた。
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