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一人で働くのではなく、みんなで百点を採ることができる組織で在るように

会社や環境によって違うとは思う。ジョブ型企業であれば、一人で百点を取ることが求められるだろう。しかし現職においては、私はみんなで百点を採ることができる組織で在ることを心がけている。

当然ながら技術者よりも法務担当者の自分の方が契約に詳しい。だから自分が全部を確認して、全部をこなすことでも仕事の完成としては問題がない。むしろ能力が不足している者に教育を施し、確認をお願いすることは骨が折れる。ともすれば勝手に一人で進むことも手に見える。
しかし、自分ですべてを抱え込み目標を達成することは百点ではない。
実際に契約を結ぶ技術者が、自分が発明をするのに必要な内容の契約を結べるよう考え、自ら契約内容を確認することが百点。自分の仕事は、それを助ける支柱となる教育を施すことにある。自分一人ではなく、みんなで百点を取りにいける仕組みを作るのが本来のあり方だろう。
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思うと、いかなる場面であっても一人で満点なんて採れるわけがない。働いているのは、機械ではなく人間なのだから、交渉でたまったストレスの解放には周りの人の理解や共感が必要だし、人が居てこそ喜びがある。
もちろん、一人でやった方が早いし、衝突がなくて楽な場面もあるだろう。しかし、長い目で大きく見た時に、ひとりの仕事は人に奪われて終わってしまうし、一人で達成した仕事に味はない。
嬉しい気持ちも、しんどい気持ちも共感してこそ味があるのだ。
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組織にも社会にも多くの人がいる。
「この人は職場で何をしているのだろうか。」と思うような一見、何もしていない人もいる。しかし、働いていないように見えても、例えば庶務を積極的に引き受けることで誰かが働きやすい状態にしているし、他人の愚痴を聞いて、人をストレスから解放している人もいる。
人と会話をしなくとも会社の未来を担う発明をしている人もいる。

こうして多くの人が重なり合って、動きあって一つの仕事が出来上がる。会社や組織とは、プラスとマイナスが組み合わさり、少しばかりのプラスで前進している。
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また、組織の中にいると、理不尽なことばかりある。例えば、優秀な人よりも好かれる人や親族が選ばれることもある。それでも大きな会社という生き物を動かすには、誰かのエゴを通す場面も必要なのだろう。

だから、小さな綻びがあっても、全員が加担し、全体として形になっていれば、それは完成で、成果は前進しているとなる。
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手元に回ってきた契約書を見る。
自分が全部を書き込んで、GO出来たら説明という労力を省けるし、定時に帰ることができると思うと人と話すことを避けたくもなる。
しかし、長い目で見ると、話すことを避けると話をしてもらえることも減るのだろう。不完全な自分は、誰かの思いやりに何度も救われてきたから、話す労力を惜しむことは違うと感じる。
そう、みんなで百点を取りたい。
みんなで百点を取ることができれば、自分一人で完全な回答を出すよりも大きな成果になる。
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作成した教育資料と、回ってきた契約書を持って、担当者のところに行く。

「業務の範囲をもう少し丁寧に限定しないと、せっかくの発明が契約相手のノウハウになってしまうよ。」
説明はゆっくりで時間がかかる。しかし、それでも共に満点が採れたら仕事の完成として有り難いし、嬉しい。

だから私の仕事のポリシーは、一人で完成するのではなく、みんなで満点を採れるようにすること。

とても嬉しいので、嬉しいことに使わせて下さい(^^)