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短歌もらいましたⅥ✧♡

 さて、いよいよ、穂村弘さん以外からもどんどん短歌をもらうことにした。今日は永田和宏さんの「NHK短歌・作歌のヒント」から。
 えりりん先生推薦の本。一見堅いタイトルの本だけど、とてもいい本で、自分で買って持っていようかなと思う本だった。(本を断捨離しようとしている最中なので、本は、図書館から借りている笑)
 早速頂いた短歌紹介します✧♡ 永田さんのコメントは太字で。

らーめんに矩形の海苔が一つ載りて関東平野冬に入りたり

高野公彦「天泣」(てんきふ)

 格調の高い歌を作ることでよく知られる高野公彦にこの一首を見つけたとき、私はとてもうれしかった。(中略)「どうでもいいこと」が、人の生死や、命をかけた恋を歌うような劇的な場面と同じように、あるいはそれ以上に、強いインパクトをもたらす場合もあるということは、もう一度ふりかえっておいていいことかもしれません。そのような、一見どうでもいいようなことに意識的にこだわっている歌人に小池光がいます。

午後二時となりしばかりに鹿の湯のえんとつよりはや煙はのぼる

小池光「日々の思い出」

 あの猫の額をかゆいところはありまひぇんかって言った歌人だ笑!
「思い出に値するようなことは、なにもおこらなかった。なんの事件もなかった。というよりなにもおこらない、おこさないというところから作歌したともいえる」小池光「日々の思い出」あとがき。
 
ヒント1歌の素材「どうでもいいことの大切さ」という章である。
 ヒント1から、この本に、かじりつき!みたいな感じなのだが、そうなのだ。日々に、それほどの事件はドラマのように現れないのだ。しかし、それでは、歌は詠めない。どうでもいいことを詠めるようになって一人前ではないのかなと私も思った。現に小池さんのこの歌は、温泉好きの私にはワクワクする銭湯の仕事開始の歌である。

流しの下の扉あければゆっくりとずり落ちてくる夜の鍋

花山多佳子「春疾風」(はるはやち)

 あるある!
 鍋ではないけど野菜の水切りのボールがゆっくりとずり落ちてくる時が!
 台所に立つもの大共感の歌。

我がジャケツのポケットに手を差し入れて物言わぬ子の寄添い歩む

高安国世「眞實」

 これは子供の頃って、こういうことがあった気がする。今は、冬になると湯たんぽを使っているけど、自分が母のあったかい湯たんぽだった気がする。一緒に重い、冷たい布団の中に入ってくっついて眠った記憶がある。
 幼い頃ほど母とくっついて、眠った。それは自然なことだった。
 しかし、この一首が発表されて、何年か経ってから、実はこの子は耳が不自由であったことを作者が明らかにしました。(中略)この一首は、そんな背景を知って読むと、はるかに悲しみの深い一首として味わうことができます。

本の途中に、作者である永田さんの写真が本に入る。優しそうで素敵な人だ。

税務署に届けに行かむ道すがら馬に逢ひたりあゝ馬のかほ

斎藤茂吉「つきかげ」

 斎藤茂吉という人は、近代歌人のなかにあって、とてつもなく可笑しい歌人の筆頭でしょう。本人は大まじめなのですが、その大まじめさがどこか可笑しい。可笑しいと言うよりは、滑稽といったほうが当たっているでしょう。(中略)私はこの可笑しさ、滑稽さが、茂吉という歌人を、近代最大の歌人たらしめているところの深さであると思っています。茂吉が、声調の透った、格調の高い歌だけを作っていたなら、その魅力はまちがいなく半減していたでしょう。(中略)
 必死で計算をし、なんとか納税額を少なくする算段をし、ぼろぼろに疲れてやっと税務署へ行く「道すがら」、そこに涼しい顔をして立つ馬がいた。その茂吉の心境とはあまりにもかけ離れた馬の顔に、思わず漏れたことばが、「あゝ馬のかほ」。思わず笑ってしまいます。

〈あの人って迫力ないね〉と子らがささやく〈あの人〉なればわれは傷つく

花山多佳子「空合」

 あれ?流しから鍋がずり落ちてきた人だ!好きな歌人2人目ゲットかも。
 親の立場の歌なのだそうですが、私は自分がカリスマ性のないただの教師だったので、この歌は結構刺さりましたw。
 でも、教師ならまだいい。自分の子供に言われたショック。親って大変ですね。親でない自分が、非常に、きりきりしました。

寒の夜を頬かむりして歌を書くわが妻にしてこれは何者

永田和宏「華氏」

 永田氏の奥様も歌人なのだろうか?
 寒いからって頬かむりして歌を書く妻を見て動揺している様子。
 だって、頬かむりしたじさまって、津軽にはいましたね。
 なんかかっこよかった。頬かむりして、警察犬みたいな犬を連れて現れた。それだけで、じさまは、達人だっていう雰囲気を、子供心ながら醸し出していた。そんな頬かむりを、自分の奥さんがしていたら、びっくりして笑っちゃうと思いますw。

早寝して子はみづからの歳月を生き始めをり夜の露草

高野公彦「天泣」(てんきふ)

 高野公彦の一首は、娘が就職をし、初出勤の前夜でしょうか。自分とはもう関わりの無い場で生活を始めようとしている娘を、傍らで見ている父親の気分。
 高野さんもらーめんの海苔の人だ!嬉しい。好きな歌人をまたゲットしたかもしれない。
 好きな歌人の歌を偶然選び取っている自分に感心した( ´艸`)

 この本は、私の貼った付箋もまだまだいっぱいあるので、1回で終わりそうにないと思った。
 2000字を楽々越えたので、また次に(⋈◍>◡<◍)。✧♡

 穂村さんと違う歌人の話もタメになる✧♡








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