退職の練習⑥池波正太郎の世界
蕎麦屋で日本酒と、板わさで、一杯飲み始め、最後は蕎麦で〆る。
そんな池波正太郎の世界を言葉で知ったのは、
20代の時だったか、30代の時だったか?
どこか昼から、蕎麦屋でそっと飲み始めるというシチュエーションに
憧れていた。
年末、いつも弘前の温泉のついた宿をとり、大晦日だけ、姉夫婦家族と
合流して正月を迎えるというのがここ5年ぐらいの我が家の過ごし方。
宿は、食事なしで取り、美味しいとんかつの店とか中華料理店、
スペイン料理、立ち飲みの酒屋など、お気に入りの店で、
食べるのを楽しみにしていた。
昨年末、2人がめっちゃ、ハマった店がある。
蕎麦屋で飲むこと。
まず、そこの店で、開眼したことは、熱燗である。
近所に、えらい旨い日本酒を出す居酒屋があって、
いい日本酒は冷に限る!と春夏秋冬、冷酒を楽しんできた。
熱燗とか、ちょっととんでもないという気分でいた。
しかし、しかしである。
そんな美味しい日本酒を置いている店などあまりないのが、
現状ではある。
そうか、じゃ、熱燗にしてみるか?寒いしね~!
そんな軽いノリで、旨くないだろう酒の熱燗。
お猪口を啜る。
え?ヤバい!
冬、暖かい飲み物ってだけで、こんなに美味いの!????
ビールとチャーシューメンマで始まった、
冷たいカラダがどんどん温まる。
おつまみは白菜の漬物を注文。
甘い日本酒と、しょっぱい白菜の漬物。
なるほど、お酒があったかいと、冷たいつまみでも、イケるんだ。
その組み合わせ、
苦い珈琲に甘いケーキぐらい、最強。
(酒飲みにはイマイチなたとえ?ビールと唐揚げで、どうだ?)
〆にはもりそばもあるし、カレー中華もある、
なんでも頼める💛
そのお酒とつまみと、雰囲気と、ほどほど感が気に入って、
年末の冬の日、三日連続で通った笑。
店の人も気が付いたらしく、三回目には、
「毎度有難う御座います」と、笑っていた。
その店に、花見酒の後、行くことを楽しみにしていた。
公園に行くためにも45分ぐらい歩いたが、
蕎麦屋に到達するために、また30分ぐらい歩いた。
13時ごろは混みあっていて入れず、一回時間をつぶすために、
ジュンク堂書店へ行った。すでに本を読む気はあまりないのだが笑、はかはかした気持ちを鎮めつつ本棚を見る。
早々に書店を後にする。
二回目は、混んでいた店内はほどよく空いていて、
瓶ビールの乾杯から始め、チャーシューメンマ、
熱燗、ちょっと熱めに、2本と漬物。
ラストは盛りソバと天中華で〆た。
蕎麦屋で飲むことの醍醐味がやっとわかってきた60代。
やっと池波正太郎の世界を体感と共に理解できたかもしれない。
これはオトナの飲み方だわ。旨い!