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短編小説

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りんちゃん

りんちゃん

わたしは20代の半分を水商売に使った。

コンカフェ、ガールズバー、キャバクラ、ラウンジ、クラブ、、、

やったことない飲み屋はないってぐらい。

りんちゃんとは勤めたいくつかのキャバクラのうちのひとつで出会った。

りんちゃんは細い。すごく少食。同伴のとき困るみたい。

好きな食べ物ないの?と聞いたら斜め下を見ながら
 
「グミ。」

て言ってた。

タバコは吸わないのか、とわたしが続けて問う

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夏はギャル

コンビニで働いてると色んな人が来る。これはコンビニで起こったなんでもない話のきれはし。

19時。

きた。

いつもこの時間帯にソルティライチを買っていくおねーさん。なんかいつも憂鬱そうなんだよな。

夏だもんね。熱中症こわいよね。

「袋、けっこうです。」

環境問題に取り組むギャルサイコーだな。と思いながらPayPayをスキャンする。

今日はPayPayくじ当たったのに全然嬉しそうじゃなか

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キティに願いを。

でろ、でろ、

心で唱えながらあたしはハンドルを回す。

ぽん、

「あー!」

思わず声が出てしまった。ハズレ。ポムポムプリン。

あたしは出勤前に絶対ガチャガチャの専門店に寄り道してなにか回すのが日課になっている。

かわいいのが出たら今日はいい日、そう思うとなんだか愉快だ。

あたしはサンリオではキティさんが大好きでカワイイことで会社を守っている彼女をひそかにリスペクトしている。キティさんの

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マイ・メロディ

マイ・メロディ

あんたとあたしは幼なじみだった。かわいくて、かわいくて、明るくて、いつも笑ってた。あんたがいなかったらあたし幼稚園にも行けなかったよ。きっと。

あんたはあたしが小学生の頃はあんまり人気なくて、キティちゃんに耳つけたやつじゃん!て笑われるたんびにお腹が沸騰するぐらいムカついた。あたしのメロディは世界一かわいいのにって。

「あやかちゃんがかわいいって言ってくれたら大丈夫だよ。おこらないで。」

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