マイ・メロディ
あんたとあたしは幼なじみだった。かわいくて、かわいくて、明るくて、いつも笑ってた。あんたがいなかったらあたし幼稚園にも行けなかったよ。きっと。
あんたはあたしが小学生の頃はあんまり人気なくて、キティちゃんに耳つけたやつじゃん!て笑われるたんびにお腹が沸騰するぐらいムカついた。あたしのメロディは世界一かわいいのにって。
「あやかちゃんがかわいいって言ってくれたら大丈夫だよ。おこらないで。」
あんたほんと優しい子だね。赤い頭巾をなでてあげたら嬉しそうにふふって笑った。
高校ぐらいのときあんたはアニメ化されてめちゃくちゃ人気が出た。
「ねぇ、あやかちゃん、、、アニメ見た?」
あたしは目の前のあんたのことが好きだから興味ないよ。
「そっか。ありがと。ほんとはやなんだよね。ああいうの。」
「ぜったい、ぜったい、見ちゃいやだよ!そしたらきっとあやかちゃんはメロディのこと嫌いになるから!!!」
あんたは見たことないようなぐちゃぐちゃな顔であたしの胸で泣いた。
地雷女子に人気が出たりぴえんのグッズが出たりクロミとの絡みも増えたころ、ティックトックのおすすめであんたのアニメが流れた。
なにこれ!さいあく!メロディはこんなこと言わない!あたしの天使を返してよ!!
スマホを投げて泣きわめくあたしをメロディは冷ややかに見ていた。
「ねーあやかちゃんのママ、あやかちゃん最近つまんないんだよね。へんな音楽と漫画の話しかしてくれないの!メロディもういやだ。新しい彼氏できたし別れたい!」
それからあたしは女王のキティさんと付き合いだした。キティさんはいつも正しくて、綺麗だった。メロディとはぜんぜん違った。おじさんも今はキティちゃんとマイメロの違いがわかるぐらい認知度上がったんだってさ、よかったね。メロディ。
それでもメロディはしつこかった。
サンリオショップに行っても
「あやかちゃん!あたし!あたし!」
てピンクの花柄やらリボンをぎらぎらさせてあたしを誘惑した。
やめて。あたしの天使じゃないくせに。
メロディに触れもしないあたしを見てしょげたけど次の瞬間には違うお客にしっぽを振っていた。
あやかちゃん!あやかちゃん!
こっちみてよ!
もう顔も見たくなかった。
ある日サンリオのガチャガチャを回したらメロディが出た。
「あやかちゃん、ごめんなさい謝るから。メロディがぜんぶ悪いの。嫌いだよね。友達でいいから。キティちゃんの次でいいからそばにいたいの。あやかちゃんがだいすきなの。ええーん」
ずるいよ。
出たメロディのガチャガチャをカバンをそっとしまった。
あたしの嫌いになれない元カノ、マイメロディ。大好きだったんだよ。でも同じぐらい嫌いだったんだよ。本気だったんだよ。
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