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淡園織葉の短編小説たち

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自作の短編小説をまとめています。 それぞれ10分程度で読めるお話ばかりですので、どなたさまも、お暇な時やちょっと物語を補給したいなというときにご活用ください。
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2024年8月の記事一覧

【短編小説】徒情

【短編小説】徒情

「拝啓って書くのって」
「ん?」
「だから、手紙でね」
「あ、灰が落ちるよ」
 おっと、と慌てたのも束の間、彼女は灰皿の上までそっと煙草を運ぶと、丸い灰皿のふちをトントンと叩いた。太鼓の達人で言う『カッ』の部分。三回ほどカッを鳴らし、仕切り直しとでも言うように煙草を一口吸うと、口に含んだ煙を僕の顔に向けて吐き出した。とっさの煙幕に対応できずに咳き込む僕を彼女は笑いながら眺めたあと、さっきの話をもう

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