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「何度言っても変わらない」はなぜ起こる? 行動と意識のメカニズム

こんにちは。コーチの佐藤草(さとうそう)です。
オランダから持っている力を発揮するためのヒントをお届けしています。

今日は行動と意識のメカニズムについてご紹介します。

<こんな方に>
・より良い結果や成果を出したいと思っている方
・行動を変えたいと思っている方
・「何度言っても変わらない人」に手を焼いている方
・コーチをつけているけれど、いまいち効果を実感していない方
・経営者や管理職など周囲のパフォーマンスに影響を与える立場の方
・クライアントにより効果的なセッションを提供したいコーチの方

<こんなことが分かります>
・自分や他者の行動が変わらない理由
・自分(クライアント)に合った効果的コーチングのアプローチ

1. 心が変われば行動が変わる?

こんな言葉を聞いたことがあるでしょうか。

心が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる

これは、アメリカの心理学者であるウィリアム・ジェームズの言葉だと言われています。(諸説あり)

私はこれまで、コーチとして様々な方とご一緒するとともに、人間の行動や意識・心に関するメカニズムを学んできました。

その中で、

心が変われば確かに行動が変わる。
行動が変われば、運命(結果)も変わる。

ということを実感しています。

「なんとなくそうだな」と思う方も多くいらっしゃるかと思いますが、実際にはどんなメカニズムになっているのか。

それを整理したのがこちらの図です。

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2. 行動は感情から、感情は欲求から生まれる

「運命が変わる」というのは、「現実世界に起こることが変わる」とも言い換えられます。それは「体験」であり「結果」でもあります。

「体験」や「結果」は何で決まるかというと「行動」で決まります。

では、「行動」は何から起こるのでしょうか。

「行動」は私たちの「感情」もしくは「思考」から起こります。

さらに「感情」や「思考」は「欲求」から起こります。

例えば、「細かい指示を出さない上司」がいたとします。
それに対してAさんは、「自分で考えて実行する」ということをしているとします。

その行動の元には、「やってみよう」とか「面白そう」といった思考や感情があります。

そしてさらにその思考の元には「一人前と認められたい」や「自分らしく仕事をしたい」という欲求があります。(他の種類の欲求かもしれません)

一方で、同じ上司に対して「指示をされるのを待っている」という人もいるでしょう。その人は「不安」という感情を持っているかもしれません。そしてさらにその元には「失敗したくない」「確実な方法を実行したい」という欲求があるかもしれません。

このように、同じものごとに対して人が違う行動を取るのは、ものごとに対して起こる感情や思考が違うためであり、感情や思考の元になる欲求が違っているためです。

3. 欲求は価値観から、価値観は認知から生まれる

では欲求は何から生まれるのでしょうか。

欲求の根底にあるのは価値観です
価値観とはは、「ものごとのに対してつけられた評価や価値基準の判断」のことです。

「失敗する人」=「かっこ悪い」

という価値観があると、「失敗したくない」という欲求が生まれます。

そしてさらに価値観は認知から生まれます。

認知とは、ものごとを知覚するプロセスそのもののことを指します。
「思考のプロセス」とも言い換えられます。

例えば、ある人は「上手くいかないこと(失敗)」のネガティブな面にだけ焦点を当てる一方で、ある人は上手くいかないことによって得られるものにも焦点を当てるかもしれません。

そのものごとをどんな視点から捉えるかによって、物事の価値づけは変わってきます。

4. 認知は体験から生まれる

そして認知は体験から生まれます。

上手くいかないときに頭ごなしに怒られて苦しい思いをしてきた人と、上手くいかないときに「そこからの学びは何か」と問いかけてくれる人がいた場合では、ものごとに対する認知のプロセスが変わり、その結果捉え方や価値観も変わってきます。

このように、体験は行動から、行動は感情から、感情は欲求から、欲求は価値観から、価値観は認知から、認知は体験から…というように、私たちの外側と内側に起こることはつながり合い、影響を与え合っているのです。

冒頭の言葉はこんな風に置き換えることができます。

心が変われば行動が変わる→感情が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる→行動の積み重ねで結果が変わる
習慣が変われば人格が変わる→結果が変われば認知や価値観が変わる
人格が変われば運命が変わる→認知や価値観が変わればさらに結果が変わる

5. 行動についてだけ話しても行動は変わらない

コーチングの中には目標達成のための行動に焦点を当てるものもありますが、行動や物事についてだけ話していても結局行動が変わらず、結果も変わらないということが起こる場合があります。

それは、行動のおおもとにある感情や欲求が変わっていないためです。

さらにそのおおもとにある価値観や認知が変わらないと、「ネガティブな気持ちなのに無理やり行動を続けて、ストレスが溜まる」ということや「体調を崩してしまう」ということが起こってしまいます。

私自身、コーチとしてのキャリアをスタートさせた当初はコーチングファームに所属するビジネスコーチだったこともあり、「行動」や「物事」について焦点を当ててコーチングをしていましたが、そこから、感情や価値観、そして認知の枠組みそのものに焦点を当てるようになって、クライアントが、より楽な状態で本質的な変化を起こすようになったことを実感しています。

行動や物事について焦点を当てることが無駄だという訳ではありません。しかしアプローチする領域に偏りがあると、結果としてどこかで流れが止まってしまうということが起こります。

もしあなたが「コーチをつけているけれどあまり効果や成果を感じない」、もしくは「コーチをしているけれどクライアントに貢献できているか自信がない」という場合、扱っている対象がどこかの領域に偏っていないか確認をしてみてください。

6. 「今の自分」を味わいつくせば、認知は自然に変わってくる

行動や価値観のおおもととなる認知が変化していくことは、「世界の捉え方自体が変わる」と言ってもいい、とてもパワフルな体験です。

ではそれを認知の変化をどうやって起こすか。

それは現在の認知(思考のプロセス)を味わい尽くすということです。

心理学の大家であるカール・ロジャースはこんな言葉を残しています。

奇妙な逆説だが、ありのままに自分を受け入れるとき、私は変わることができる
ーカール・ロジャース

人は今の自分をしっかりと味わい、認めることができてたとき、人は自然と変化していくということは、これまで実際に何度も体験をしてきました。

しかし、一般的には性急な行動や成果を求めるがあまり、「今の自分をしっかりと味わう」ということがなかなかできないのが実情です。

しかし、本質的な意識(認知)の変化がなければ、目の前のある一つの課題を解決したとしても、同じ性質の課題にぶつかり続けるということが起こってしまいます。

「思い返してみるとぶつかる課題の性質が変わっていないな」と思うときは自分の深い部分と向き合うタイミングかもしれません。

行動や結果を変えていきたいという方はぜひ、そのおおもとにある感情や欲求、価値観や認知に目を向けて、まずはそれを味わってみてください。


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