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「つい、やってしまう」"ナッジ理論"特集

あなたは「ナッジ理論」というものを知っているだろうか?

ナッジ理論は、「人は感情で動く」という観点から経済活動を体系的に組み立てた学問 「行動経済学」の理論の1つであり、2017年にリチャード・セイラー教授が同理論を提唱し、ノーベル経済学賞を受賞するなど、注目が高まっている理論だ。

現在では、企業のマーケティング戦略や施設の導線設計、公共政策や医療などに使われるなど、 活用幅が広がっている。

ナッジ(Nudge)というのは「ひじで軽く突く」という意味があり、 「ちょっとしたきっかけで相手により良い選択を促す」ための理論だ。

今日はそんなナッジの事例をまとめてみよう。


ナッジについて細かな解説はこちらの記事をご覧ください。



エレベーターの待ち時間を解消したひとつのアイディア

とある商業施設では「待ち時間が長い」とよくクレームが入るエレベーターがあった。

これを解決しようにもエレベーターを追加することも買い替えるなんてこともできないし、どうすればいいかと悩んでいた時に新入社員がひとつのアイディアをつぶやいた。

それが「エレベーターホールに姿見を置きましょう」だった。

人は「自分のこと」に意識があるので姿見があると、それまで気にならなかったこともついつい服装やメイクの乱れがないかなど確認してしまう。自分に意識を持たせることでエレベーターの待ち時間という外部への意識を薄めることができ、結果として待ち時間を長く感じなくなるという仕組みだ。

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取捨選択もコントロール

社員食堂にて中年社員たちのぽっこりお腹が目につくようになってきた。

そこで栄養管理士を雇って特別なメニューを開発して、告知もしているのだがどうも改善されている感じがしないし、売れ行きもよくなさそう。

その食堂はすきなおかずを棚から取っていくスタイルなのだが、そんな中で食堂のおばちゃんが社員たちがまずはじめに目にする棚の真ん中の位置に健康メニューを置くようにしたところ売り上げが35%も向上した。

適切な課題と適切な広告、そして適切なアプローチがあって成功する事例だ。

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ピアノ教室ならではのアプローチ

YAMAHA音楽教室の前には「らしさ」が光るナッジがあった。

手指消毒を「つい、やってしまう」ように楽しく促そうとすべく、なんとピアノ型の装置をつくっていたのだ。

上の鍵盤を押しても、下のペダルを踏んでも消毒ができるようになっており、使い方はもちろんインパクトもあって、普段なら無視しているようなこどもたちでも喜んで消毒を行うような装置になっている。

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ナッジの大切な仕掛け

ナッジを考えるときには「EAST」というフレームワークを使うことでより効果の高いナッジを生み出すことができる。

E:Easy(簡単)
人は簡単で楽な行動を選びやすいので一目でわかるような選択肢を絞ることで、行動へのハードルを下げることが重要である。

A:Attractive(魅力的)
人は自分のことや関心があるものを選ぶ傾向があるので、相手の注意を引きつける訴求力を高める要素となる。

S:Social(社会的)
人は社会規範に影響を受けるので他の人がどのような行動を取っているかを伝えることで人を動かすことができる

T:Timely(タイムリー)
人はタイムリーなアプローチに反応しやすいので適切なタイミング(相手がその情報・サービスを欲しがっている時)に  情報を提供することで価値を最大化できる。


この「EAST」を意識することで、あなたも日常のちょっとした課題を解決することができるかも?

ぜひ試してみて欲しい。

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