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雪柳 あうこ
2023年1月15日 00:30
前略本日は名も知らぬあなたにお手紙差し上げる次第ですあの日、雪の街角のブロック塀の先のところに傘も持たずに佇んで車に轢かれた猫の消えゆく温もりを眺めていてくれた、あなたへ死と同じくらいまで冷えながら猫の最期の吐息とくたり、とした尻尾の一振りが薄く積もった雪にすぐ消える跡を残すのを涙目で受け止めていた、あなたへわたしはその傍を、さくさく、さくさくとただただ転ばぬよう