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もっと文書を上手に書けるようになりたい。書く前の魔法のプロセス

文書をうまく書けるようになりたいな。そう思ったことはありませんか?どうすれば上達するのかいまいち良く分からない。語彙力を上げること?本を読むこと?それっぽい本はたくさんあるけど、どの本が一番いいのだろう。

以前「考える技術・書く技術」の本を題材とした社内研修を受講しました。その時のテキスト(下記市販の本の抜粋版)を復習しました。本屋さんでもよく見かける本ではないでしょうか?

本を読んで語彙力を高めることももちろん大切なのですが、同テキストでは文書を書く前に「考える」プロセスがあり、このプロセスが最も重要だとされています。この考えるプロセスは良いデザインを作成する上で重要なプロセスと共通する点が多いので、今回記事として取り上げることにしました。

本記事では1)考えを整理するプロセスの重要性2)整理する手法についてまとめました。学んだ後に実践力を高める3)練習方法にも触れています。

考えを組み立てるプロセスと書くプロセス分ける

良い文書を書くにあたり魔法の技は、文書を書き出す前に伝えたいメッセージを整理する、「考える」プロセスを踏み、書くプロセスと分けることです。全体の時間の70〜80%を考えるプロセスに費やします。考えるプロセスが確りできれば文書を書くのは20〜30%の時間で出来上がります。

どうしても忙しいとすぐに伝えたいことを考えながら文書を書き出してしまいたくなりますが、考えるプロセスを踏んだ方が早く、良い文書が書けます。

考えるプロセスは”読み手”の理解から

文書を書く前に誰のために、何のために書くのか目的を考えなければいけません。文章には読み手がいます。文書を書く目的は読み手に何をしてほしいか、読み手に何を知ってほしいか、つまり読み手に期待する行動が文書を書く目的となります。これをまず明確にしなければなりません。

目的と任務

私たちは良く文書を書く目的と任務を混同してしまいます。提案書を書く目的は「良いアイディアを提案する」ではありません。それは目的ではなく任務です。目的は読み手の視点で任務は自分(書き手)の視点です。文書を書いている途中で何を書くか、どう書くか、迷った時は読み手の視点に戻ります。目的を明確にするためには「読み手」を主語にして、読み手への期待行動を表現します。
悪い例)「考える」プロセスを理解し習慣化してもらう(書き手の任務)
良い例)(読み手が)「考える」プロセスを理解し習慣化する
デザインもユーザは何を求めているのかを考えることから始めますが、良い文書も同様で、読み手の状況、理解度、ニーズをよく考えるところから始まります。

考える→書く手順

考えるから文書を書きあげるまでの大まかなSTEPは以下の通りです。
STEP1  「OPQ」で読み手を理解する
STEP2 主メッセージを整理するピラミッドを書く
STEP3 文書に置き換える

STEP1 「OPQ」で読み手を理解する

読み手はあなたの文書をなぜ読むのでしょうか?何か役に立つ情報があるから、疑問に思っていることを解消したいから。何か目的があるはずです。その読み手についてまず書き手はよく理解しなければいけません。
残念ながら読み手の疑問・関心に答えていない文書は読まれることはありません。だからこそ読み手の分析は非常に大切なのです。

ではその読み手の疑問・関心をどうやって理解すればいいのでしょうか?そこでOPQのフレームワークを用います。
O: Objective(目標)
Objectiveとは読み手にとってのあるべき姿(良い状況)です。
P: Problem(問題)
Problemとは上記Objectiveと現状のギャップを指します。Pは「…が問題である」と表現すると分かりやすいです。
Q: Question(疑問)
PからどのようなQuestionが発生するか考えます。Qは「…か?」と表現すると分かりやすい。このQに対する答えが書くべき文書の主メッセージになります。

例えばこの記事の場合、以下のようにOPQを組み立てました。

O: 良い文書を書けるようになりたい
P: 何から学べばいいのか分からない
Q: 何を学んで練習すべきか?

OPQの役割
OPQで出てきたQ(疑問)に対して答える内容が文書で伝えるべき主メッセージとなります。

  • OPQ分析は読み手の疑問を理解するための確認作業

  • OPQ分析の結果は文書では導入部(「前書き」「はじめに」など)で書く

  • OPQは読み手の既知情報。主メッセージに入れてはいけない

  • Qを間違えると的外れの文書が出来上がってしまう

STEP2 主メッセージを整理するピラミッドを書く

分かりにくい文章の最大の原因は最も伝えたい主メッセージがあいまい、ロジックがおかしいということにあります。
最も伝えたいことは何かを絞り込むことで明確で強い文書を書くことができます。その主メッセージを導くためにピラミッドを書きます。

文書として書きたいこと、伝えたいことを箇条書きにします。そこから似ている内容のメッセージをグループ化します。そして最も伝えるべきメッセージは何か、ピラミッドを作って整理します。
できたピラミッドは以下のチェックリストに照らし合わせて何度か作り直して見てください。

  1. 最も伝えたいメッセージは単語ではなく文書で表現されているか。一つの文章で表現され、二つの文書が入っていないか

  2. メッセージに「しりてが(and)」が入っていないか

  3. メッセージに「見直し」「改善」などの曖昧言葉が使用されいないか。具体的に表現になっているか。

  4. 主メッセージを直接説明するキーラインは「なぜならば」「具体的には」などのつなぎ言葉で違和感なくつながるか。

  5. キーラインは同じ種類、レベルの考え方になっているか

  6. ピラミッドの中身にダブり、漏れがないか。(MECEチェック)

STEP3 文書に置き換える

ここまでしっかり時間を費やしてよく整理されたピラミッドができたら、あとは文書に置き換えるだけです。全体の20〜30%の時間でできます。
ピラミッド構成を順番に文書に落としていくだけです。ピラミッドで記入したメッセージは要約メッセージのみです。文書作成時には補足説明が必要になります。

ポイント:単文と接続詞
骨格がしっかり作れるようになるだけでも良い文書が書けるようになると思います。さらに分かりやすい文書を書くコツは単文でできるだけ表現することです。単文はストレートで分かりやすい文書となります。
しかし、全て単文で表現するわけにもいきません。一部複文で表現しますが、この場合もつなぐ文書は二つの単文までとします。

そして二つの単文をつなぐ際に大切なのは正しい接続詞を選ぶことです。
接続詞の役割は単純に文と文をつなぐものではなく、ロジカルに繋がなければなりません。
入門編としては「しりてが」の接続詞を避けること。英語で言うと「and」の表現はダメだそうです。

教材で紹介されていた接続詞の一部を紹介します。
時間 :…する時に /…したあとで
対照 :…であるけれども
    注)「Aであるけれども、Bだ」の表現の場合Bの文が主メッセージ
原因 :…であるが故に
目的 :…とするためには

などなどです。上記の接続詞を使うためにはピラミッドの段階でロジックが整理されていないと使えないですね。これを意識するだけでもだいぶすっきりとした文章が書けそうです。

考える力を高めるために

良い文書を書くためにはまず読み手をよく理解し、伝えたい考えを整理することが大切であることが分かりました。
考えを整理する方法を簡単に紹介しましたが、理解することと使えるようになるいことは違います。
トレーニングを習慣化させることで、考える力を高めることができます。

トレーニング1:日々のメールやちょっとした文書作成で意識する
・読み手について理解する。読み手に何をして欲しいの?読み手の状況、理解度は?
・結論(主メッセージ)は何か。今後のステップが必要な場合明確化する
・箇条書きを多用する
・文書全体を、段落を、一つ一つの文書を短くする

トレーニング2:ピラミッドを作る練習を続ける
今日書いたメールや会議内容、新聞記事などをもとに簡単なピラミッドを作る練習を1日1回心がける

<コツ>
・複雑なピラミッドは書かなくて良い
・どんなに簡単なピラミッドでもOPQは記載する
・15分以上時間をかけない。一つのピラミッドに時間をかけるよりも簡単なピラミッドで回数をこなす方が身に付く

デザインとのつながり

いきなり文書を書き始めるよりも、まずは伝えたい相手は誰か、相手の現状・理解度、ニーズは何かを理解します。
それを踏まえて伝えたいことを箇条書きにして、グルーピングして、そしてピラミッドを作っていく。
ロジックを確認して何度もピラミッドを見直し、ピラミッドが完成したら文書化していく。
この流れが大切であることは掴んでいただけたでしょうか?

私はデザイナーとして新聞記事や社会現象をできるだけ文字を使用せずVisualize(図式化)する訓練を受けています。今の仕事でも伝えたいこと、顧客へのプレゼン資料ではできるだけVisual化することが求められています。
Visual化の過程でも見る人は誰?見た人にどういう行動を取って欲しいの?見る人の理解度はどれぐらいで、どこから説明しなければいけないの?
これらをまずよく整理し、紙に落とします。
デザイナーとして最も伝えたいこと、強調すべきことは何か考えることが必要です。補足内容と主メッセージはロジッカルに繋がっているのか確認しなければなりません。
デザインでも「いきなり図式化に飛ばない。何度も何度もドラフトしなさい」と口酸っぱく言い込まれています。
表現方法が文書か図式かという違いはありますが、ビジネスパーソンにとってもデザイナーにとっても、前提の考える力の基礎力は高めるべき力だと改めて認識しました。

この記事は最初にご紹介した本の一部抜粋で、分かり辛い点も多いかと思いますが、よろしければ本を手に取っていただき、私と一緒にトレーニングを取り入れてみませんか?

ご一読いただきありがとうございました。

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