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旅の体験価値は『日常』にあり

 日経電子版の記事【「分散型ホテル」町の風情味わう 古民家など活用】は、改めて、私達が旅という体験に求めている『価値』は何なのか?、考えさせてくれます。



 そもそも、私達が異国の地を訪ねて、そこに求める『体験価値』は、その異国の地の生の姿、つまり、その国にとっての今と昔、『日常』と『歴史』であるはずです。――例えば、シルクロードの隊商の息吹を感じたければ、その国の首都にある西洋化された高級ホテルに宿泊しても、あまり意味はありません。廃墟と化した往年の隊商宿を訪れ、砂漠に沈みゆく夕日を遠望しながら、人肌の温もりのあるローカルな宿に宿泊することで、心の琴線に触れるような記憶が刻み付けられるのではないでしょうか?

 旅というと、ともすれば『非日常』を連想しますが、実は、旅の体験価値は、その国の『日常』にこそあるのです。旅人にとっての『非日常』は、現地の人間にとっての『日常』である、という古くて新しい永遠の課題は、ツーリズムにおいて見過ごしてはならないポイントだと思います。

 その意味で、いったい自分の国の『日常』のどの部分にインバウンドが引き付けられ『非日常』を感じるのか、外国人のパートナーとの情報交換などを通して、思い込みではない正確なニーズの把握が重要となりそうです。



 記事で紹介されるような、町に根を張り、町に鏤(ちりば)められたような『分散型ホテル』には、ユーザー=旅人の心情に寄り添った大きなポテンシャルがあり、コト消費の時代の体験型観光と併せて、ツーリズムの大きな潮流となっていく予感があります



#COMEMO #NIKKEI

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