イノベーションとは何か?~金属銘板のメーカーが作るワサビのおろし板~
日経電子版の記事【ワサビの力引き出すおろし板「鋼鮫」、静岡の金属加工会社 (わが社の一押し)】は、金属加工会社がワサビのおろし板を作るという、まさに卓越した商品の開発、小さなイノベーションの好例ではないでしょうか。
まず、記事から、おろし板製作の経緯を整理してみると――
▶おろし板製作の経緯
(1)『ワサビの辛み成分の特性』・・・細胞組織が壊れ、空気に触れること
で生じる。
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(2)『従来の最適なおろし板』・・・表面に細かい凹凸のあるサメ皮の
おろし板は、空気を含むように細かくすりおろせて、辛みや香りが
強まる。
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(3)『サメ皮のおろし板の課題』・・・① すり方にコツがある。
② 手入れに手間が掛かる。
③ 有限の漁業資源を使用。
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(4)『ワサビ関連食品製造会社と金属加工会社の出会い』・・・ワサビ関連
食品製造会社の社長が、エッチング加工で金属銘板を作る会社を
知っていて、話を持ち掛ける。
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(5)『試行錯誤からイノベーションが』・・・字の空いた部分が下・右・上
と別々の方向を向いている「わ・さ・び」の文字のエッチングで、
バランスの良いすりおろしを実現。
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(6)『評判が広がりプロからの引き合いも』・・・主力の機械銘板が景気に
左右されるなか、安定したBtoC事業が立ち上がる。カード型ミラー
「いなせな手鏡」も成長。
この一連の流れからは、いくつかのポイントが引き出せそうです――
▶イノベーションのポイント
(1)今ある最適なソリューションと言われているものに、疑問の目を
向け、もっと良くするにはどうすればよいか、課題を探る。
(2)異質なもの同士、異業種が繋がって、アイデアを実現させる。
(3)アイデアの実現した尖ったプロダクトが、SNSなどで情報拡散=
話題となる。
(4)卓越した技術力を持つ中小企業が、BtoCという販路を持つことで、
自社の技術リソースを創造的に活用・事業化するエンジンを獲得する。
この記事の事例は、私達の身近のごく小さなイノベーションかも知れませんが、イノベーションの特徴、ポイントが見事に浮き彫りされたケーススタディーだと思います。
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