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雑誌マンガvs.アプリマンガ~自由度が生んだ躍進~

 日経電子版の記事【LINEマンガが生んだシンデレラ 漫画サバイバル(2)】を読んで、改めてアプリマンガの躍進と、その背景にある『自由度』の高さというものに気付かされました。


 アプリマンガ躍進の背景にあるものは何か、この記事などから浮かび上がってくるのは、『読む(閲覧)』、『書く(執筆)』、『選ぶ(評価)』、『作る(制作)』、『配る(配信)』、5つのレイヤーでの圧倒的な『自由度』の高さです。


(1)『読む(閲覧)』自由度

 ① 場所を選ばない手軽さ。(マンガを読んでるとは分からない、など)
 ② (スマホさえあれば)時を選ばない手軽さ。
 ③ 携帯にかさばらないスマホ。
 ④ 片手で読める。

(2)『書く(執筆)』自由度

 ① ページ数が自由
 ② 内容の制約が少ない(あらゆるジャンルに開かれている)。
 ③ 読者層を絞らなくて良い(読者の方から選んでくれる)。
 ④ ページの一部に、音(音楽)やアニメを組み込むことも可。
 ⑤ 紙媒体でないので、カラー化も。
 ⑥ デビューのハードルが低い(デビューの間口が広がる)。

(3)『選ぶ(評価)』自由度

 ① 雑誌マンガのように、予め編集者によって、雑誌コンセプト・想定
  読者といった篩(ふるい)
にかけられることがないので、読者の作品を
  選ぶ自由度が各段に高い。
 ② 『編集者のボツ』=『読者のボツ』ではない現実。編集(売り手)の
  都合で読者に届くことのなかった埋もれたヒット作が世に出る。
 ③ 読者と作者の距離が近い
 ④ ネットの評価は、読者のダイレクトな評価で、分かり易い。

(4)『作る(制作)』自由度

 ① 出版社と比べて編集者の数を絞れる。
 ② マンガ発表までのコストが低い

(5)『配る(配信)』自由度

 ① 雑誌に比べ、海外への配信が容易
 ② 国内のマンガ市場が縮小しても、世界を舞台に読者拡大できる。


 このうような、『読む(閲覧)』、『書く(執筆)』、『選ぶ(評価)』、『作る(制作)』、『配る(配信)』、5つの自由は、互いにシナジー効果を出し合って、アプリマンガの世界を加速度的に豊かにしていっていると考えられます。この成長する芳醇な世界から取り残され、ガラパゴス化しない為には、スマホという媒体に最適化したWebトゥーン流の縦読みのフォーマットへの適応が必須ではないでしょうか。


 このマンガ文化での事例をあえて一般化するなら、デジタル化の進行する第4次産業革命の時代には、文化・社会を構成するあらゆるレイヤーでの自由度、ポテンシャルが増大し、そのシナジー効果によって、作り手と受け手の距離が縮まっていくと考えられます。そして、作り手と受け手のインフォメーションとコミュニケーションが密になる事で、その進化が加速していくのです。

 注意しなくてはならないのは、このような進化から取り残されガラパゴス化しない為には、新しく進化したフォーマット、様式(例えば、家電製品なら音声入力方式)への適応が不可欠だという事ではないでしょうか。よしんば、旧来のフォーマット(マンガの場合は雑誌独特の読み方)への愛着を持続するユーザー層が一定の割合で存在したとしても、新しいフォーマットへの切り替えも進めていかなくてはならない事は明らかです。


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