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『シェアオフィス』モデルの多極化~実効性のある交流の追求~

 実は、この投稿の最初のタイトルは、【『シェアオフィス』という名の文明の十字路~新しいモノが生まれる場所~】というものでした。日経電子版の記事【首都圏シェアオフィス つながりで新たなビジネス生む】を読んで、シェアオフィスの可能性について、自分の考えをまとめてみようと思ったのです。……ところが、自分で付けたタイトルの『文明の十字路』という言葉を見ているうちに、あることに気付いて、気持ちが変わりました――「文明の十字路というけど、十字路にも色々ある。住宅街のほとんど人通りのない十字路のようなものも……」――。


 『文明の十字路』という表現は、ダイバーシティな人々が行き交い新しいモノが生まれる場所、というニュアンスですが、シェアオフィスが、実際に記事にあるような「入居者の交流から新たなビジネスが生まれる」ような場所になるためには、その『交流』の質と量が問われていることは言うまでもありません。

 自分が実際にシェアオフィスへの入居を検討している企業の人間だと想像してみると、「自分の会社に一体何が出来るんだろう?」ということ、自分の会社のスキルと言うか技術リソースが気になるはずです。その事は、裏を返せば、「今から自分が入居しようとしているシェアオフィスには、本当にいいものを持った会社が入っているんだろうか?」という事に他なりません。つまり、『交流』の質と量に直結する『入居企業の技術リソース』のポテンシャルがビジネスモデルの分岐点となるのです――


【モデル1】プレミアム・シェアオフィス(仮称)

 入居に厳しい審査があり、詳細な技術リソースの見える化(機密に触れない範囲で)が求められる。逆に言うと、審査さえ通れば、高い技術力を持った企業との交流が可能となる。


【モデル2】バーチャルリアリティー(VR)・シェア
     オフィス(仮称)

 審査はさほど厳しくないが、入居時に見える化された技術リソースのデータ提供が求められる。VRのオフィス(リアルのシェアオフィスがあって、そこからVRオフィスに移動するイメージ)なので、原理的には無数の入居者がいて、その事によって、『交流』の質と量を担保している。出会いたい企業とスムーズに出会えるようなユーザビリティーの機能が必須。


【モデル3】特化型(特定目的型)シェアオフィス
                   (仮称)

 特定の分野、テーマに特化して入居者を募るシェアオフィス。入居企業が、同じ目的へ向かってスピード感ある交流を行える反面、ダイバーシティ(多様性)の程度は若干落ちる。


【モデル4】リゾート型シェアオフィス(仮称)

 イノベーティブなアイデアの生成を第一義とし、徹底してリラックスした環境を追求したシェアオフィス。


【モデル5】エコノミー・シェアオフィス(仮称)

 ごく普通の一般的なシェアオフィス。賃料は比較的安い。


【モデル6】ローカライズ・シェアオフィス(仮称)

 特定の地域、都道府県での活動に力を入れる(特化した)シェアオフィス。


 他にも多様なビジネスモデルがあるかも知れませんが、『実効性のある交流』を追求する過程で、シェアオフィスのあり方、ビジネスモデルが多極化していくことが想像されます。シェアオフィスという開かれた空間に、いかにセキュアでイノベーティブなコミュニティーを構築できるかが、シェアオフィス業界における差別化のキーポイントだと思います。


 

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