宇宙開発、最後の有人月面着陸から46年を経て
日経電子版の記事【新計画「アルテミス」、推進力は国威より新技術】は、あの「アポロ計画」の再来を期す「アルテミス計画」に関する興味深いリポートです。
私が、この記事で最も考えさせられたくだりは、次の一節です――
最新の世論調査では米国民の44%が有人月飛行に否定的という。
――これを読んで思うのは、むしろ、「何故46年以上も有人月面着陸が行われていないのか?」という素朴な疑問です。半世紀近くというのは、あまりにも長すぎる……。
そこで、改めて、その理由、「46年以上月に人類を降り立たせようとしなかった」理由を考えてみると――
▶何故、人類は46年以上月に降りていないのか?
(1)『政治的理由』・・・アポロ計画で米ソの宇宙開発競争に決着がつき、
政治的な動機としては燃え尽きてしまった。
(2)『技術的理由』・・・当時の技術力では、月の過酷な環境に人間を
長期間滞在させることは難しく、あれ以上有人月面着陸を続けても、
それ以上の成果を上げるのは難しく、むしろ、惑星探査など他に有意義
な計画がいくらでもあった。決して失われた46年間だった訳ではない。
(3)『財政的理由』・・・軍事費を含め、予算的に様々な優先事項があった
ため。
他にもあるかも知れませんが、大きくはこの3点に尽きるのではないでしょうか。それぞれに説得力のありそうな理由ではありますが、現代的な視点では、再考が必要なようにも思われます――
▶「有人月面着陸」中断の3つの理由への再考
(1)『人類共通の目的』・・・宇宙開発は、本質的に言って、政治的な理由
で左右されるべきものではなく、民間の積極的・自発的な参加による
人類共同体の為にあるべき。
(2)『科学探査から人間の生活圏・経済圏拡大の時代へ』・・・46年間の時
を経て、宇宙開発は、いよいよ人間の生活圏・経済圏を宇宙へと拡大
するステージに入ったのではないか。経済的・民需的視点から、民間
事業として果敢にチャレンジし続けていけば、大きな成果が期待できる
可能性が。
(3)『予算頼みから民間事業へ』・・・もし、人類がいがみ合うことなく、
また、既得権などの非効率を排して、軍事費をはじめとした予算が減縮
されていたら、宇宙開発はもとより、医療など様々な分野に投資(予算
配分)できたはず。これからは、民間独自の事業として宇宙へと飛び
出していく時代。
月探査をはじめとした宇宙開発は、第4次産業革命が現在進行形の今、民間企業、そして私達一般市民一人ひとりの手に委ねられようとしている、と考えるべきだと思います。宇宙開発の歴史には時代の息吹が色濃く反映しているのかも知れません。
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