AIによる『好み』のアドバイスは何故刺さるのか?
日経電子版の記事【米国で店舗の閉鎖が過去最高に 女性衣料が不振】は、「(記事より)米国で2019年の小売店の閉鎖数が過去最高となった模様」を詳細にリポートしています。
ネット通販が拡大し、さらには、リアル店舗でのようにアドバイスを受けたり、カメラでサイズを推定するなど、ネット通販にリアル店舗の良さを実装する施策が次々と打ち出されてくる中、リアル店舗はどのように対抗していけば良いのでしょうか?
――例えば、①EC・リアル店舗で蓄積されたビッグデータをAIで解析し
⇨②最新のデジタル技術を活用して⇨③オンラインとオフラインを融合させ
⇨④消費者・店員が効率的に『小売体験』ができるような仕組みを作るアリババの『ニューリテール』など、様々なオムニチャネル・IT化の施策が考えられます。
(付記:ネット通販にリアル店舗の良さを実装する施策や『ニューリテール』などのオムニチャネルについては、下記の拙稿でも考察しています。)
そんな中、この記事でひときわ目を引くくだりは次の一節ではないでしょうか――
(記事より)女性向けカジュアル服では、好みの服を選んで自宅などに届けてくれる、米スティッチフィックスの躍進が目立つ。人工知能(AI)を利用して顧客の好みの服だけでなく、普段は選ばないけど似合いそうな服を選び出してくれるサブスクリプションサービスだ。
このさりげない一節は、実は、消費者の嗜好=『好み』というものの性質を見事に捉えており、ECであろうとリアルであろうと、その点を押さえることが非常に重要ではないか、と思えてくるのです。
それは、つまり――
▶『好み』というものの性質
(1)『好み』は、自分でも正確には分からない、説明しにくい場合が
ある。
⇨ ユーザーの『好み』の推定
⇨ 自分の『好み』を知っているアドバイザーがいる、という
ベネフィット。
(2)『好み』が分かっている事と、それに合ったプロダクト(モノ・
サービス)を見付ける事とは別物である。
⇨ ユーザーの『好み』のモノの発見(レコメンド)
⇨ 自分の『好み』のモノを見付けてきてくれる、という
ストレスレス。
(3)『好み』というバイアスがかかって、冒険できずにいる。
⇨ ユーザーに『セレンディピティ(偶然の出会い・予想外の発見)』
を提供する。
⇨ ワクワクする体験。
この3つの『好み』の特性をカバーできるポテンシャルがAIにはあって、その力を活用する事の優位性は明白である、と言えます。
AIによって、刺さる『好み』のアドバイスをユーザーに提供する施策は、オンライン・オフラインに共通の店舗課題であると思われるのです。
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