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『可視化する消費行動』と広告~体験を可視化する広告~

 日経電子版の記事【パスチャー、インスタ分析で消費者心理まる見え】は、インスタグラムなどのSNS上の膨大なデータを独自システムで心理分析し、広告に活用するという手法を紹介しています。言わばインスタグラマーを心理学するわけですが、とても興味深い内容を含んでいると思いました。


 記事では、インスタグラマーに2タイプある事が紹介されます――

●トレンドセッター・・・新商品の機能に関心・・・商品単体の写真を投稿
(フォロワー数少なめ)       ⇒【発売初期のブームの火付け役】

●ミーハー系女子・・・流行商品を生活に取り入れる・・・自身のライフスタイル
(フォロワー数多い)               を強調する投稿
                 ⇒【ブームの広げ役】


 これを見て私がすぐに思い出したのは、商品の普及を表すイノベーションのベルカーブです。敢えて対置するなら、トレンドセッターは『イノベーター』に、ミーハー系女子は『アーリーアダプター』に、そして、彼らのフォロワーが『アーリーマジョリティー』に相当すると考えられます――

●トレンドセッター≒『イノベーター』(革新的採用者)・・・リスク許容度 大  
             ⇓
●ミーハー系女子≒『アーリーアダプター』(初期採用者)・・・リスク許容度 中
         (オピニオンリーダー)
             ⇓
         【キャズム(溝)?】
             ⇓
●(フォロワー)≒『アーリーマジョリティー』(前期追随者)・・・やや慎重派


 この対比から明らかとなるのは――

① 消費行動がインスタグラムなどのSNSによって可視化されている。
 【SNSによる消費行動の可視化】

② 『アーリーアダプター』(初期採用者)であるミーハー系女子は、自身の
 ライフスタイルを強調する投稿をする事で、体験を可視化している。
 【SNSによる体験の可視化】

③ 『アーリーアダプター』から『アーリーマジョリティー』(前期追随者)
 への波及は、『可視化』されていることで迅速に進む。しかも、可視化
 されるのがライフスタイルという『体験』であることで、『アーリー
 マジョリティー』の共感(気付き)を得ることが可能となり、普及が加速
 する。【SNSによる普及の加速】
 (註)動画によって可視化されれば、共感はさらに強化される、と考え
   られる。

④ SNSによる体験の可視化によって、キャズムはもはや存在せず
 (あるいは、キャズムはあっという間に飛び越され)、爆発的に広がる
 『バーストマジョリティー』が形成される。
 【SNSによる市場の席巻】


 記事にもありますが、このような状況を認識する事で、無駄を省いた効果的な広告を打てるようになる事は明らかです。インフルエンサーの影響力を活用する事はもちろんですが、ネット動画CMの特性をフル活用して、企業自らが商品のUXを効果的に訴求した広告を打ち出すことも有効と考えられます。


(追記:ネット動画CMの特性については、下記の拙稿で考察しています)



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