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イノベーションの課題とアイデアのマッチング

 日経電子版の記事【投資家も注目の道産子スタートアップ、目指すは世界一】と【メニコン、目からうろこの新事業 試験薬成分はサプリに】は、イノベーションの課題とアイデアのマッチングという根本的な問題について考えさせてくれます。



 前者の記事では、全国有数の農業生産額を誇る帯広市にあるスタートアップによる、農業ならではの課題=トラクターの無駄な動きを改善する運転支援アプリや、北大から生まれたスタートアップによる、雪国ならではの課題=熱で地表の雪を溶かすロードヒーティングの降雪センサーは雨と雪の区別が難しく無駄な稼働が多いという課題を解決する画像認識AIなどが紹介されています。

 また、後者の記事では、焼却すると有毒ガスを出し、水田に残っていると翌年以降の収穫が落ちてしまう稲わらの処理問題を知っていた、米どころ新潟出身の開発メンバーが、コンタクトレンズ洗浄液に使う酵素の研究開発過程で判明した植物繊維の分解力の高さを稲わらを分解する酵素という新商品に生かした事例です。

 どちらも素晴らしいイノベーションですが、これらのケースは、いずれも開発者が課題の近くにいる、課題を知っているという事が前提になっており、この事実を逆説的に捉えるなら、課題とアイデア(テクノロジー)がマッチングされないとイノベーションは生まれない、という明確な現実を物語っている、とも言えます。



 いかに卓越したアイデア(テクノロジー)を持っていても、そのアイデアを活用できる課題を知らなければ何も始まらず、逆に、どれだけ切実な課題を抱えていても、よもやその課題の解になるやも知れないアイデアの存在を知らなければ何も進展しません。――イノベーションが達成されるには、課題を見い出して、その解となるアイデア、テクノロジーを開発していくというオーソドックスなフロー以外にも、既に存在するアイデア(テクノロジー)と課題をマッチングさせることで解決への糸口がつかめるものが数多くあるのかも知れません

 日本中に潜在している無数の課題と、埋もれている技術リソースを見える化しマッチングさせるようなエコシステム、そのようなコーディネーターやプラットフォームには大きなポテンシャルがありそうです。



#COMEMO #NIKKEI

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