【広告】性格がいい人、悪い人の科学 (日経プレミアシリーズ)【新書】
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日本経済新聞社から,『性格がいい人、悪い人の科学』という本が出版されました。日経プレミアシリーズの新書です。今回の記事では,本の内容をざっと紹介してみようと思います。
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世の中に性格概念や性格を表す言葉はあふれていますが,多くの人が同じ意味で使っているとは限りません。
ジングル・ジャングル・ファラシーズ(Jingle-Jangle fallacies)という言葉があります。「ごちゃ混ぜの誤り」といった意味です。ジングル・ファラシーとは,違う概念なのに同じ名前がつけられて「同じもの」とされてしまう問題です。もう一方のジャングル・ファラシーは,同じ内容なのに別の名前がつく問題です。
同じ「自己肯定感」という言葉を使っていても,ある人は「自分を受け入れること」,ある人は「自分に自信を持つこと」,ある人は「何でもうまくできそうに思うこと」,また別の人は「将来をポジティブに捉えること」といった意味で使っていたりします。
また,自分に対するポジティブな感覚を,ある人は「自己受容」,ある人は「自尊心」,ある人は「自己効力感」,ある人は「楽観性」と表現していたりします(厳密には,それぞれ定義は少しずつ違うはずですが)。
人々をことばで表現する性格概念は,夜空に浮かんでいる星のようなもので,その位置を特定することが難しいのです。ですから,同じ方角の違う星を見て「同じ星だ」と言ってしまったり,同じ星を指さしながら違う名前で呼んだりするようなことが,よく起こるのです。
そこで本書では,そのような明確な位置を特定することが難しい中でのひとつの羅針盤として,ビッグ・ファイブ・パーソナリティをとりあげます。ビッグ・ファイブ・パーソナリティは,外向性,神経症傾向,開放性,協調性,勤勉性の5つの次元をパーソナリティ全体の大まかなまとまりとして捉える,ひとつの枠組みです。
そして本書では,ビッグ・ファイブ・パーソナリティと関連づけながら,これまでに心理学の研究で報告されてきたデータに基づいて,いろいろな心理的な特性を整理しようと試みるものです。
さらに,整理した心理特性をまとめる中で,私たちがどのように性格(パーソナリティ)を捉えがちであるのか,またどのような点に注意するのが良いのかを考えていこうと試みています。
……と書くと難しそうに思えるかもしれませんが,それらをできるだけわかりやすく,事例を交えながら書いたつもりです。
目次
第1章 あなたは、一体どんな人なのか?
性格(パーソナリティ)とは何か,それをどう考えれば良いのか,研究の歴史はどうなっているのか,性格を考えるときの注意点などを書いています。
第2章 人間の性格を表す5つの特性
人間の性格全体を大まかに示す羅針盤として,ビッグ・ファイブ・パーソナリティを取り上げます。ビッグ・ファイブそれぞれの特性(外向性,神経症傾向,開放性,協調性,勤勉性)の特徴や長所短所について説明しています。
第3章 自信満々な人、幸福な人—ポジティブな性格
この章では,ポジティブな心理特性として,自尊感情,幸福感,楽観性,感謝,レジリエンス,心的外傷後成長をとりあげて解説していきます。それぞれの心理特性と,ビッグ・ファイブ・パーソナリティとの関連も示します。
第4章 社会で「成功」しやすい性格
この章では,感謝,創造性,グリット,満足遅延をとりあげ,解説していきます。そして,ビッグ・ファイブ・パーソナリティとどのような関連をするかについても示します。
第5章 自意識過剰な、あの人の心の中—ネガティブな性格
この章では,シャイネス,自意識,HSP,先延ばしという心理特性をとりあげ,解説していきます。また,ビッグ・ファイブ・パーソナリティとの関連も示します。
第6章 あなたの隣にいる「悪の三兄弟」—迷惑な性格
この章では,自己愛,マキャベリアニズム,サイコパシーのダーク・トライアド,攻撃性,仮想的有能感を取り上げて,それぞれを解説します。また,ビッグ・ファイブ・パーソナリティとの関連についても示します。
第7章 「いい性格」は存在するのか—性格の地図を描く
この章では,ここまでに取り上げたそれぞれの心理特性とビッグ・ファイブ・パーソナリティとの関連をまとめます。そして,まとめた結果から,現代の日本で性格全体がどのように捉えられているのか,そこにどういう問題があるのかを考えていきます。
第8章 社会に望まれるのは、どんな人?
最後の章では,「世の中に望まれる性格」の問題点を考えていきます。就活で望まれる性格や,人々が素朴に「この性格が好ましい」と思うことに,どのような落とし穴があるのかを,考えていきます。
ビッグ・ファイブ・パーソナリティ
基本的なパーソナリティ特性については,noteの記事にもしています。
気になる方は,次の記事もどうぞ。
外向性(Extraversion)について
神経症傾向(Neuroticism)について
開放性(Openness)について
協調性・調和性(Agreeableness)について
勤勉性・誠実性(Conscientiousness)について
ダーク・トライアドについて
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