講師と学生という立場から、同じ職場で働く、互いに励みになる存在へ。社員紹介制度をきっかけに、二人の間に生まれた新たな絆とは?
ヒューマンアカデミー株式会社・人材開発室で働く田中香織さんと、児童教育事業部の平栗貴也さんの出会いは8年前。総合学園ヒューマンアカデミーに入学した平栗さんにとって、田中さんはクラス担任の先生でした。卒業後、いったん社会に出た平栗さんは2020年、採用候補者を自社の従業員から紹介してもらう「社員紹介(リファラル採用)制度(以下、社員紹介制度)」を利用して、ヒューマンアカデミー株式会社に入社。お二人に、入社までのいきさつと社員紹介制度を利用した感想を伺いました。
※普段は、お互いに役職をつけて呼ばれていますが、学生時代に戻ったつもりで対談をしていただいたため、その関係性もあり、文中は「先生」「君づけ」にさせていただきました。
平栗: 私は高校卒業後、ファッションビジネスを学ぼうと総合学園ヒューマンアカデミーに入学しました。田中先生にはクラス担任として、入学から卒業までの2年間ずっとお世話になりました。当時、「学校で一番怖い先生」と噂されていたそうですが、私にとって田中先生の印象は「すごく人間らしい先生」。何かを相談したときも正論を諭すのではなく、気持ちをわかってくれて「それはキツいよね」「嫌になるよね」と、建前じゃない本音の部分で共感してくれるんです。だから、学校や就職のことはもちろん、恋愛相談までしていました。
田中:恋患い、してたね(笑)。彼の第一印象は、今とあまり変わらないですね。礼儀正しくてソツがない、好青年。何事にも積極的で、発言を求められたときや、何かをやろうという場面では、真っ先に手を挙げるタイプです。20人くらいいたクラスの中でも中心的な存在でしたね。確かに私は、怖い先生だったはず。平栗君はよくぞ、ひるまず懐に飛び込んできてくれたな、と思います。
平栗:田中先生に怒られることもありましたが、先生の言っていることはもっともで、怒られるのも当然と納得せざるを得ない。叱られるのは怖いし嫌でしたけど、先生は自分のために叱ってくれている、という信頼関係はありましたね。
田中:平栗君は人懐っこくて、卒業後も事あるごとに連絡をくれたり、学校に顔を出してくれたりして、交流は続いていました。そんな中、2020年の夏に、思いもよらぬ連絡が来たんです。
平栗:「ヒューマンアカデミーで求人ありませんか?」と、田中先生にLINEを送りました。私はヒューマンアカデミーを卒業後、アパレル販売を経て人材紹介会社で営業の仕事をしていました。けれども当時はコロナ禍の影響で求人先が激減し、人材紹介営業の仕事を始めて3年たったこともあり、「そろそろ自分の中で区切りをつけて次のステージに行く時期かな」と考えるようになりました。次にどんな仕事をしたいかと考えるうちに「大好きだったヒューマンアカデミーで働いてみたい」と思い、先生が人材開発室に異動したことを知っていたので、相談してみました。
田中:平栗君がヒューマンアカデミーで働いているイメージがすんなり浮かび、彼なら、この会社に合うだろうな、と直感しました。卒業後、アパレル販売と人材紹介会社で「人と関わる仕事」をしてきたので、当社で活躍できるポジションもあると思いました。すぐに人材開発室長に「中途採用の募集をしている部署はないですか?」と問い合わせたところ、児童教育事業部で募集があり、すぐに知らせました。
平栗:先生から「児童教育事業部の仕事に興味を持てる?」と連絡が来て、早速ネットで調べてみました。「STEAM教育(科学・技術・工学・芸術・数学の5つの英単語の頭文字を組み合わせた造語)」という言葉すら知らず、まったく門外漢でしたが、すごく面白そうな仕事だと思いました。「喜んで!ぜひお願いします!」ということで、面接を受けることにしたんです。
田中:そこからは早かったですね。2020年9月に連絡が来て、10月に面接、11月に入社と。
平栗:児童教育について一通り勉強して面接に臨みましたが、実際の面接では、知識よりも心構えを問われる感じでした。「僕たちは、こういう気持ちで仕事をしているんだよね。どう?合いそうかな?」というお話がメインだったように思います。
田中:面接に入る前に、私は学生時代から見てきた平栗君の人となりを前もって児童教育事業部の人たちに伝え、「やる気は十分あるから、育ててあげてください」とアピールしました。人事の目から見ても、平栗君はヒューマンに合っている。よくも悪くも生意気で、自分の意見をしっかり持っている。やりかけたら最後まで究める面もあり、学生時代には、カリキュラムの一環としてパーソナルカラー診断の初級資格を取得することがあったのですが、彼は上位資格にチャレンジしていました。応募者がどんな人かを事前に担当者に伝えておくことで、不要なやりとりやミスマッチが起こる可能性が減り、スムーズに採用のステップが進むのも、本制度のメリットだと思います。
平栗:1年目に任されたのは「ロボット教室」と「科学教室」の教室指導です。フランチャイズの教室をまとめるスーパーバイザーの業務で、仕事をする中で痛感したのは、自分の責任の重さと影響力の大きさです。教室に通っている子どもたちはもちろん、その親御さんたちや、教室を運営する先生方にまで、自分の発言の影響力が及びます。責任の重さを自覚した上で、よりよい教室にしていくための指導を行うのは、難しいけれどもすごくやりがいを感じました。
2年目の秋からは、新しいプロジェクトである「さんすう数学教室 ヒューマス」を担当しています。「ヒューマス」を導入していただく教室の経営安定と、教室に通う子どもたちと保護者の満足を両立させるための、あらゆるコンサルタント業務が私の役割です。ヒューマンアカデミーでは社歴に関係なく、大きな仕事を次々と任せてもらえることが自分自身の成長にもつながっていると感じます。
田中:平栗君は今、拠点長、ジュニアマネージャーとして後輩を指導する立場にいますしね。職場では近くに席があり、元気に電話する声が聞こえてきます。
平栗:田中先生は今どんなお仕事をされているんですか?
田中:私は人材開発室で講師管理の業務に就いています。ヒューマンアカデミーは約2,000名の講師を抱えていますが、その先生方の人事労務管理の仕事です。加えて、講師組織を作ること。講師の組織化や適切な評価を行うことで、講師の活躍の場をもっと広げていきたいと考えています。私はもともと、ファッションの現場にいた頃から「ファッションについて教える先生になりたい」と思っていました。ヒューマンアカデミーで講師になり、その夢を叶えることができましたが、次に「先生を育てる人になりたい」という夢が芽生えました。今、取り組んでいる仕事は、「先生を育てる人になる」という夢の序章を創るステージに立っているのかな、と感じています。
平栗:制度のあるなしよりも、自分が勤める会社に紹介したい仲間がいて、それを受け入れてくれる体質や環境が会社にあることの方が重要だと思います。ヒューマングループは幸い、知人や友人を紹介しやすい環境があり、制度として整っているのがありがたいです。この制度があること自体を知らない人も多いですが、紹介したい人がいれば、気軽に人事の人にアポを取り、情報収集だけでもやってみるといいと思います。
田中:社員が社員を紹介するだけではなく、私たちのケースのように、講師が卒業生を紹介するのもアリです。ただ、自分の教え子や大切な友達、知人を自分の会社に紹介することは、けっこう勇気のいることです。その人の人生に責任を負わなくてはいけないから。自分にとって大切な人が働く場として安心してお勧めできる会社であることと、彼のように成長し、活躍できる環境があることが、社員紹介制度の成功要因なのかな、と思います。
実際、私も平栗君を紹介したときは、学生のときの就活指導よりも重い責任を感じました。でも、ヒューマンアカデミーへの入社が決まったあと、平栗君のお母さまがとても喜び、安心していただけたのが嬉しかったです。入社後の平栗君との関係は、同僚や上司、先輩・後輩とはちょっと違う、ある意味「運命共同体」のような感じです。行き詰まったときに相談しやすいし、お互い励みになる存在。そんな特別な存在の仲間ができるのも、社員紹介制度のいいところだと思います。
平栗:そうですね。会社で出会った同僚は、過去のことまではわかりません。その点、田中先生は学生時代の頃からの私を、酸いも甘いも、失敗も成功も全部知っている。仕事でくじけたとき、田中先生から「そんなの大したことじゃない」と言われると、他の人とは言葉の重みが全然違います。今も自分の中で、先生と学生という関係性は変わりませんが、ずっと自分を見守ってくれる存在が職場にいることは、すごく心強いですね。
<ヒューマンアカデミー株式会社・会社概要>
1985年の創設以来、159万人以上※の修了生・卒業生を輩出するヒューマンアカデミーは、「学びは、面白い。」を創造する Edutainment Companyとして、未就学児童から中高生・大学生・社会人・シニア層とあらゆるライフステージにあわせて、学びと成長を支援する「リカレント教育」、「STEAM教育」を推進しています。
IT分野、語学・留学、保育、資格・就転職、趣味・教養、ココロとカラダコンディショニング、なりたい人を応援する専門教育など大きく8つのカテゴリで、時代や社会の変化にあわせながら800以上の講座を編成し、多様なニーズに対する学びの提供を行っています。
※延べ人数1997年10月~2021年3月時点
※2022年12月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。
肩書き・役職等は取材時のものとなります。