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山梨山小屋逗留日記 最終日

【五日目最終日】
 朝七時起床。
ハムエッグ、ウインナーとピーマンの炒め物、レタスに白飯。今日もモリモリ食べる。
 最終日である。家族はギリギリまで営繕作業を進めてから帰りたいということで、夕方帰路に着くことにし、その間に私はお土産の買い物をして回ることになった。
 まずは山中湖方面に車を飛ばし、スーパーオギノへ向かう。オギノはきっかり10時開店なのだが、駐車場に着いた時間はちょうど開店10分前だった。実はここのところ目のかゆみと鼻水が滝のようにあふれ出ていた。アレルギー科で花粉症の治療をしていたので慢心していた(後に同科でアレルギーの血液検査を実施したら基準値の10倍の数値を叩き出して医師にかなり同情された)ので、真向かいにある営業中のドラッグストアへ駆け込む。
 市販のアレルギー剤を購入して店を出ると、店舗の屋根の向こうに白い綿帽子をかぶった富士山が見えた。
今日から天気が崩れるという予報だったので、その前兆なのかもしれないと思いつつ、開店したらしいオギノへ向かう。
 入口に入ると自動ドアの片側にサン〇オグッズの棚、反対側に富士山を模したお菓子の棚が立っている。意外と足止めを喰らっている人をよく見るので、これも戦略なのだろうと感心する。
 前日下調べをしてあったので、目当ての商品をカゴに遠慮なく投げ込んでいく。オギノでは『オギノセレクト』というプライベートブランド商品が多数あり、これがお土産に最適な商品なのである。クラフトビール、チューハイ、ドリップコーヒー、吉田うどんのカップラーメン等をこちらで購入。
よっこらせと膨らんだビニール袋を後部座席に押し込んで、次は道の駅富士吉田へ。
 道の駅富士吉田では、ごはんのあてになるものを中心に配る家族の嗜好を考えながら地元製造かをよく見ながら色々と食材をチョイス。
ここでは土産物売り場の横にある軽食コーナーで名物の吉田うどんが食べられるのだが、うどんが入っている容器には吉田うどんのPRキャラクター『うどんぶりちゃん』の顔が描かれている。
ちなみに、このうどんぶりちゃんどんぶりは販売されており、大人用と子供用の二種類サイズがある。幼稚園児がいるお宅にお土産をあげる予定があったので、子供用サイズを迷いなくカゴに入れた。
 道の駅を出て、次の目的地までの間に、北口本宮富士浅間神社東側にある『徐福碑』を眺めてちょっと寄り道。
 次に向かったのは、富士河口湖町にある『富士菓匠 金多留満』本店さんへ。
こちらは母が幼い私を連れてお土産を買ったという老舗菓子店で、私自身はその記憶がなく、今回山小屋に行くにあたり、母親と話していた際に初めて聞いたのがきっかけである。
入店すると、一組のお客様がいた。接客についている人以外の従業員の方々がきちんとした挨拶をして迎えてくれる。ラフな格好で来ている自分がちょっと恥ずかしいが、商品を買うつもりなので一応背筋は伸ばしておく。
ショーケースに並ぶ商品のラインナップを眺めていると、従業員の方がお茶とスプーンに乗ったあんこと求肥を提供してくれる。優しい甘みをお茶で流し込む。
 正方形の最中に自分であんこを注入して食べるタイプの『御師最中』と、細かい昆布と山椒を練り込んだ卵黄餡を生地で包んだ『木花咲耶姫』を購入した。『御師』とは富士山信仰が盛んだった時代に登山者の世話や指導を行った人のことをいう。
 他に気に入ったのが、慶事菓子の『蓬莱山』で、両手で抱えられるほどの大きな饅頭の中にこし餡と六つの小さな饅頭が隠れている。サンプルの断面図を見るとマントルを見ているような錯覚を感じさせる。
中に入っている小さな饅頭の中に入っている餡はすべて違っていて、その餡は五行『木(緑)・火(赤)・土(黄)・金(白)・水(紫)』に沿って色分けされている。
 また、『蓬莱山』は不老不死の仙人が住む山のことを指すので、長生きを願うという意味では慶事菓子にはぴったりのお菓子だと思う。
私はこの巨大な饅頭に喰らいついてみたい欲が湧いた。
こちらでは富士山をかたどった様々な味の羊羹も販売されていて、この商品は道の駅などでも取り扱われている。皇室献上品となったものもあり、こちらと限定品の『はまなし』という味の羊羹を購入した。
金多留満を出て今度は精進湖方面へ車を走らせる。
 目的地は樹海村として取り上げられることも多い『精進湖民宿村(精進集落)』である。
まずは精進湖を一回り、食事が出来るお土産屋さんには観光バスが一台停まり、店内はバスの乗客たちが食事を取っていた。駐車場は観光バスが泊っているので隙間にねじ込み。社外へ出る、富士五湖中一番湖水面積が狭い湖なだけあり、視界に湖が収まるほどこじんまりとしている。カヌー競技の練習場として有名らしく、目立つカラーリングのカヌーが水際に置かれているのが見えた。
ささっと車に戻り、精進湖民宿村へと道を辿る。
 元々、精進集落の人々は、精進湖の周辺に居を構えていた。しかし昭和41年に発生した台風26号により壊滅状態になり、樹海を切り開き新しく居住したのがいわゆる樹海村の始まりだったらしい。
だからこそ衛星写真で見ると不自然なくらい樹海を長方形にくり抜いた形の集落なのだ。
 精進湖民宿村へと車をゆっくり進める。目に眩しいほど濃厚な青空の下だからというわけでもないだろうが、ネットで耳にするようなおどろおどろしさは微塵もない。人気こそないが、看板を掲げる民宿が綺麗に並んで建っている。入ってすぐに消防団の倉庫があり、また進むと右手に災害時避難場所の看板に精進ちびっ子広場と書かれた公園があった。錆びついたブランコと、黄みを帯びた芝生と春の兆しを告げる草が生えた土地が物寂しさを誘う。
 ひっそりと満開を迎えた桜が舞台装置のようにも見えた。集落の中には小学校も郵便局もある、きちんとした生活がここにはあった。あまり長居しては失礼だと思い集落を後にした。
 山小屋に戻る途中で『道の駅なるさわ』へ立ち寄り、物産館でお土産を物色する。
 道の駅はさほど距離が離れていなくとも、特色が違うものだ。
鳴沢村では、鳴沢菜という蕪菜の一種である野菜があり、これを使った漬物などがある。とうもろこしや高原キャベツ、ブルーベリーも有名で、とうもろこしは『恵味ゴールド』という品種が栽培されており、物産館内ではこれを使ったカレーも売られている。ブルーベリーもジャムだけでなく、パイや羊羹もある。村内のブルーベリー農家は30名ほどいるらしく、婦人組合の方々が商品開発をしているらしい。一粒が大粒なのも売りだそうで、パックに詰めて販売されるブルーベリーも美味しそうである。ちなみにこの文章を書くにあたり、ホームページを確認していたら『ど根性ビオラ』や『キャベツワイン』という特産品もあるらしい。どおりで花の苗を購入している人が多いはずだ、また私はアルコールが一切ダメな体質だが、今度ワインをお土産として買ってみようと思う。
 買い物を終えたところで、小腹がすいたので、軽食堂で名物『ビスケットの天ぷら』5枚100円を購入。
イロモノかなと思いながら一口食べると、口内の水分がすべて没収されて罪的なカロリーを感じるがとても美味しい。個人的にはビスケット単体よりも好きかもしれない。
 お土産の最後の締めとして、いつものモールへ戻る。
 ほうとうの麺と専用の味噌を購入する為である。箱に入ったお土産専用のとは別に、地元にあるいくつかの製麺所が作ったほうとうと吉田うどんを自分の好みで選べるので、家族は自分の分のお土産も含めておつかいを頼まれていた。ちょっと余るくらいでいいので多めにカゴに入れる。
 お土産の買い出しも終えて山小屋へ帰還する。家族の作業が終わるまで一時間ほど待つ。
 車に荷物を積み込み、ガスや水道の元栓をしめて帰り支度をする。急に寂しくなって、山小屋内を撮影した。今まで全然来ていなかっただけで、またすぐ来るんだけどね。
午後四時、鍵をしめて出発。またね。
 帰りがけに談合坂サービスエリアで軽い夕食。
ほうとうをラーメンのように食べる『ラーほう』を食べて、スターバックスで季節のメロンのドリンクを家族にたかって飲みながら九時前に帰宅。
 山のような洗濯物に絶望しながらお疲れさまでした。

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