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【フロサポ遠征記】セレッソ大阪戦を観に行ったら、自分のルーツを辿ることになってふくらはぎが死んだ話。(前編)

近そうでまだ遠いか!?大阪


「何度ここへ来てたって~♪」

大阪へ向かう道中必ず口ずさみたくなる、ドリカムの大阪LOVERS。共感いただける人がいることを願っていますが、私はこの時、まさに大阪に向かう新幹線の中にいました。

11月の頭に700日振りとなるアウェイ旅を解禁し、鳥栖へ行ってきたばかりなのですが、そこから2週間後となる11月20日に再び旅行カバンを稼働させることとなったのです。

まさにサッカー用語で言うところの、「ケチャドバ」というところでしょうか。

※お分かりの方がほとんどだと思いますが、念のため解説です。「ケチャドバ」とは、かの本田圭佑選手の言葉をお借りすると「ゴールはケチャップみたいなもの、出ないときは出ないし、出るときはドバっと出る」という意味を持ちます。

「出ない」もとい、「アウェイ旅に出たくても出られなかった」時間が長く続いた反動かもしれませんが、この2021シーズンのJリーグ終盤戦において私は、「ケチャドバ」よろしくドバっと旅に出ることにしたのです!

え?大澤のお財布は大丈夫なのかって?なぁに、明日は明日の風が吹くさ!

そんなこんなで朝6時過ぎの新幹線に乗った私は、大阪LOVERSの歌詞である「0時ちょい前」どころか、8時半には大阪に着きました。サポーターの朝は早いのだ。ちなみに今回は、同い年かつ同郷の友人であるフロンターレサポーターとの2人旅です。

近そうで遠かったけど、もう遠くないよ、大阪!

――ふくらはぎが死ぬまで、あと約30時間――。


大阪はん、おひさしぶりやで!~久しぶりの大阪、勝手が分からない~


新大阪から宿泊予定のホテルがある梅田に移動した私たちは、まずロッカーに荷物を入れようとしました。

しかしお互いに大阪が久しぶりすぎたせいか、「エスカレーターで右に立つことを忘れまごつく」「地下鉄がよく分からない」「ダンジョンと称される梅田駅で迷う」など、大阪ビギナーあるあるを連発していました。

やっとのことで荷物を置いて、なんばまで移動します。

そしてなんばに着くや否や、朝からやっているうどん屋に突撃し、関西だしのうどんを堪能します。

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すっかりわかめで隠れてしまっていますが、色が薄いのにしっかりうまみのあるおだしに癒されます。私自身は長野の出身ですが、実は祖父が奈良生まれであることなどから、大澤家の味付けはやや関西寄りなのです。

そのどこか懐かしいほっとする優しい味に「あー、飲んだシメにも食べたい。」と、どこまでもお酒のことを考えてしまう私の中の「妖怪あるこほる」もついつい顔を出しましたが、さすがに時間が時間なので、あるこほるさんにはもう少し寝ておいていただくことにしました。

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※妖怪あるこほる イメージ


続いてお年頃の独身女子2人が向かうのは、縁結びで有名らしいこちら。

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「いくたまさん」の愛称で知られる生國魂神社です。

34歳は果たして女子と呼べるのかという疑問もありますが、「女子旅」ってキャッチーですし、美人の友人に免じて良しとしておいていただけると幸いです。

こちらでしっかりとよきご縁が結ばれるよう神様にくれぐれもお願いをし、少し寄り道をしながら今回の旅の目的地へと向かいます。

――ふくらはぎが死ぬまで、あと約27時間――。


スタジアムに入るその前に。~お昼ご飯は密輸の趣~


長居駅に降り立った私たちは、そのままスタジアムへ......は行かず、ある場所へと寄りました。

「“長居駅の5番出口を出て、ミスドの向かいの駐車場”だって。」友人の口から出たその秘密の合言葉通りに、指定された場所へと向かいます。

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路地裏の駐車場。普段であれば人通りもあまりないであろうその場所には、なぜか大量のフロンターレサポーターが集結していました。私たちを含めたフロサポがこの路地に集まった理由。それは、あるお弁当屋さんのツイートがきっかけでした......。

枚方市にある「車屋」という名前の鳥重弁当のお店なのですが、我らが川崎フロンターレに「車屋 紳太郎」という同名の選手がいることから、ここ数か月の間にじわじわとサポーターの間でその存在が注目されていました。

そして「ノリで始まった企画にはとりあえず乗る」というフロサポの性質もあいまって、ここから車屋さんはフロサポの洗礼を受けることになるのです......。

なんと11月に入ってすぐに、試合当日である11/20のお弁当が予約でいっぱいになってしまいました。

ちなみに試合当日の車屋さんによるツイートはこちらです。

そんなこんなで、ノリとフロンターレに関するものが大好きなフロサポは、車屋さんのお弁当を食べ尽くしました。「出前サービス」というにはあまりにも大がかりになってしまったこともあり、枚方から何便にも分けて届けられるお弁当と、それを待ちわびるサポーターの面々。路地の雰囲気とあいまって、なんだか密輸現場に遭遇したようでした。仮に密輸だとしたら数の多さですぐに足がつきそうでしたが......。

「約束のブツ」を受け取った私たちは、足取り軽く今度こそスタジアムに向かいます。

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......おっと、今日の会場はヤンマーじゃなくてヨドコウでした!目と鼻の先だけどね!

――ふくらはぎが死ぬまで、あと約26時間――。


新生スタジアム!ヨドコウはん、お初でっせ!


2021年4月に改修を終えて竣工した「ヨドコウ桜スタジアム」。以前は「キンチョウスタジアム」の愛称で親しまれていました。

セレッソ大阪戦のアウェイ参戦は2度目ですが、1度目の時はまさにキンチョウが改修に入る直前で、試合もヤンマースタジアムで行われました。

そのためこのスタジアムとは正真正銘の「はじめまして」になるわけですが、アウェイのセレッソ戦には実は苦い思い出があったのです......。


―2018年11月10日、第32節―

この試合が引き分け以上であれば、2試合を残して優勝が決まるという大事な試合でした。

だがしかし、後半アディショナルタイムもあとわずかであろうというその時、当時セレッソ大阪に所属していた山村和也選手に逆転弾を許し、すんでのところで勝ち点がこの手からすり抜けていったのです......。

結局、試合終了後まもなくして、2位のサンフレッチェ広島も負けたことで優勝が決まったのですが、もちろん嬉しいながらもなんだか苦笑いをしてしまうような、なんともいえない雰囲気の中でセレモニーが行われていたことが、脳裏によみがえります。

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まあでも、あの時とスタジアムも違うし、やまむーこと山村選手も今となってはフロンターレ所属になっていてすっかり味方だし、鬼木監督はしばらく連敗してないし、更に言えばもう優勝決まってるし!!

苦い思い出となったあまりにもはや記憶から抹消した2週間前の鳥栖戦と、大阪での当時の思い出を振り切るように、スタジアムの階段を上ります。

普段はスタジアムであまり飲酒をしない私ですが、好きな銘柄のひとつであるシンハービールが売っていたため、それをお供に加えて......。

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いい天気!ビールがおいしい!

そして、先ほど密輸した車屋さんの鳥重弁当ともついにご対面!

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お弁当を開けると、熱い気持ちが伝わってくるメッセージが入っていて感動します。

さらにフロンターレの公式アカウントが、おふざけ系の企画の際に「#川崎フロンターレはサッカークラブです」というハッシュタグを使うことにかけて、「#車屋はサッカークラブではありません」というニクいハッシュタグまでついていて、いったい何人のフロサポの心が盗まれたことでしょう。

ニクいのはメッセージのみでなく、山椒をたっぷりかけた鳥重はこれまたニクいほどビールに合い、世界の中心でウマイを叫んだ私は、そっと瞳を閉じたのでした。......このネタ通じますでしょうか。

――ふくらはぎが死ぬまで、あと約25時間――。


キックオフから、試合が終わるまで。さよならの前に。


試合は、焦らしもへったくれもなく結果から言ってしまうと、4-1の快勝でした。

実はブラジル人CBのジェジエウ選手が2週間前の鳥栖戦で負傷し、治療のために母国に帰っていたのですが、そのジェジエウ選手に捧げるような形で、同じブラジル人であるレアンドロ・ダミアン選手が2ゴール、マルシーニョ選手が1ゴールを挙げたのです。

マルシーニョ選手はリーグ戦初ゴールであり、ダミアン選手も約半年振りとなる複数ゴール、そして得点時にはジェジエウ選手のユニフォームを掲げていたことなどから、ブラジル人選手同士の絆を感じ入っていました。

80分には奥埜選手に1ゴールを許し、攻め込まれて耐える時間も続きましたが、89分に宮城 天選手のゴールで勝負あり。久しぶりに手放しに気持ちよく、「アバンテ」(※勝ち越している試合の終了間際に歌われていたチャント)のリズムに合わせて颯爽と腕を振ります。

そして勝利を手に収めたので、試合終了後いそいそと撤収......。

そんなわけないですよね。

忘れてはいけない、彼の存在。

川崎フロンターレに4シーズン(と少し)在籍し、その間3度に渡って得点王に輝いた大久保嘉人選手が、試合前日となる11月19日に引退を発表しました。

フロンターレサポーターにとっては、特別な存在である大久保選手。このタイミングで試合が行えたこと、そしてその試合を見届けられたことに、得も言われぬ思いがこみ上げてきます。

一緒にタイトルが取りたかったな。

フロンターレにたくさんのものを残してくれてありがとう。

今は違うユニフォームを着ていても、大久保選手への気持ちは変わりません。

選手たちが退場したスタジアムには、「まだ何かあるはずだ」という空気が流れます。そして間もなく流れたのは、フロンターレ時代の大久保選手のチャントでした。

「嘉人 大久保 ゴールを奪え 嘉人 大久保 川崎の嘉人」

そのチャントが流れる中、桜色のユニフォームに身を包んだ大久保選手が、フロンターレのゴール裏に駆け寄ってきました。そしてその後には、大久保選手と同じ時間を過ごしたフロンターレの選手たちも続きます。

サポーターたちの思いが詰まった弾幕の前で、かつての仲間たちからフロンターレ時代の背番号と同じ「13」回胴上げをされる大久保選手。

このようなことをさせてくれたセレッソさんの懐の深さに感謝しつつ、Jリーグの温かさ・良さを噛みしめつつ、一方で高所恐怖症の大久保選手が胴上げに耐え切れるのかちょっぴりハラハラしつつ、その姿を見守っていたのでした。

嘉人、また違う形で、どこかで会おうね。


......。

そして今度こそ会場を後にし、久しぶりにいわゆる「フロンターレらしい」試合が見られて満足した私たちは、4点取った嬉しさを思わず写真に収めたのでした。

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――ふくらはぎが死ぬまで、あと約22時間――。


コッテコテな大阪の夜でっせ!


さて、試合内容に大満足をした私たちは、祝杯を上げるべく街へと繰り出しました。

「せっかく久しぶりに大阪に来たんだから、大阪らしいものを食べたいよね。」

たこ焼き?お好み焼き?肉吸い?もしや金龍ラーメン?......と見せかけて福島でホルモン!?

いいえ、串カツだるまです。

すみません、こんな振りをしておいて「実は全然大阪らしいものじゃなかったんですてへ!」というオチはありません。コッテコテのベッタベタです。だってわれわれ、真面目一筋、冗談なんて生まれてこのかた言ったことのない長野県民ズだもの。

というわけで、真面目な私たちは真面目に串カツをむさぼります。

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私は「だるまハイボール」なるものがすっかり気に入ってしまい、一口飲むごとに「くぅー!」と叫んで、友人から「何回言うの!?」と突っ込まれてしまいました。嬉しさとおいしさでつい......。

もちろん串カツも絶品でした!

そんなこんなでたらふく食べてお腹がいっぱいになり、ようやくホテルにチェックインです。

友人は日本シリーズを観たいと言ってテレビを点け始めたのですが、この頃には完全に、私の中で「妖怪あるこほる」が元気に暴れ回っていたため、あるこほるさんの仰せのままに、ホテルに荷物だけ置くと再び夜の梅田に繰り出したのでした。

一度どんなところなのか歩いてみたかったお初天神通りを散歩しながら、目ぼしいお店を探します。

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そして1人でも入りやすそうなバーにたどり着き、イイカンジにお酒をいただき、イイカンジにほろ酔いになりました。

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本当はもっともっと飲みたかったのですが、翌日も早くから活動すること、そして無理のきかない年齢に差し掛かっていることを考慮し、後ろ髪を引かれながらも帰路に着きます。

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次こそはベロベロになるまで飲んでやる!そんな謎の決意を胸に抱きながら、ゆっくりと眠りにつくのでした......。

――ふくらはぎが死ぬまで、あと約15時間――。


後編につづく。

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