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赤ちゃんの最初の仕事は保護者探し

ウサギ仙人(ウ仙)から子育てについて学んでいた亀子であったが、

本当は白鳥だったアヒルの子

ウ仙「おぬしは『みにくいアヒルの子』という物語を知っておるか?」

亀子「アンデルセンの有名な童話ですよね」

ウ仙「アヒルの子なのに、一人だけみにくくて、兄弟からいじめられるという内容じゃ」

亀子「でも大きくなったら、白鳥になるんですよね」

ウ仙「そうなんじゃよ。要するに、白鳥の子が間違ってアヒルの兄弟に紛れておったんじゃよ」

亀子「それが子育てと何の関係が?」

刷り込み

ウ仙「白鳥の子が生まれて、一番初めに見た動くものがアヒルの母親じゃったということじゃな」

亀子「一番初めに見た動くもの?」

ウ仙「正確に言えば、生まれて48時間以内に認識した動くものじゃな」

亀子「何の意味があるんですか?」

ウ仙「鳥は48時間に認識した動くものを『自分の保護者』と考えるんじゃよ。これを『刷り込み』というんじゃ」

亀子「動物学者のローレンツさんが『インプリンティング』と仰っていますが・・・」

ウ仙「同じ意味じゃよ」

人間にも刷り込みがある

ウ仙「実は人間にも刷り込みがあるんじゃよ」

亀子「えー!一番初めに見た動くものが保護者なんですか?」

ウ仙「いや。それじゃ産婦人科の医師か助産師になってしまうじゃろ」

亀子「ビックリした!」

ウ仙「人間の赤ちゃんは生まれて約6か月の間で、自分が泣いたときに、たくさん抱っこしてくれた人を保護者と認識するんじゃよ」

亀子「泣いた時が重要なんですね」

スマホで乱れたミャンマーの子育て

ウ仙「コロナ禍が始まる前に、わしはミャンマーの山奥の村にある保育園に呼ばれたんじゃ」

亀子「どうしてですか?」

ウ仙「その村にはずっと電気が通ってなかったんじゃが、電気が通った途端に、みんながスマホを持ち始め、とくに子育て中の母親がスマホに夢中になって子どもを抱っこしなくなったんじゃ」

ミャンマー山奥の保育園

亀子「その結果、どうなったんですか?」

ウ仙「落ち着きのない子どもたちが増えてしまって、夜泣きがひどくなって、母親たちが子育てを放棄し始めたんじゃよ」

亀子「だから保育園ができたんですね」

ウ仙「子どもが生まれて半年は、子どもの保護者探しにしっかり付き合わないといけないんじゃよ」

亀子「うちは大丈夫かな?」

こうして亀子のレベルが上がった。
『刷り込み』の術を覚えた(つづく)


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