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明日ノ澪
2022年7月27日 21:13
物語はいつも浮かんでいる。目を閉じる前には、この様にして、頼りない程度の灯りでこの紙を照らし、持ち前の温かな気持ちを呼び起こす事が何よりも良い夢を見せるのです。"夜には星が輝き、月は微笑んでいる。"そう思い込む猫が、居る。正確にはハクビシンという。ハクビシンは、夜がだいすきだった。彼は夜行性で「ぼくは電線を渡るのがとっても早い。流れ星よりも早く向こうの電柱まで行く事
2021年11月26日 14:35
僕はね、今も昔も、はっきり言って生きづらいんだ。今から話すのは過去にあったできごとの、ひとつ。辛かったら、途中で読むのをやめてもいいからね。靄のかかった冬の薄明かり。芳醇な香りが辺りに漂っていると錯覚するくらいに濃い夕方。中学3年生の僕はひとり、下校途中の高校生たちが行き交うのを、橋の上から眺めていた。彼らは未成年という名の下、支配され、みんなどのように息をしているのだろうか。と
2021年11月17日 11:48
蟹クリームコロッケが一欠片落ちた。そしてわたしは1か月前、新しいアルバイトをはじめた。___________________________________________決まって黒猫が横切るバス停。わたしは週6日夕方になると日曜日の夕飯を作るような気持ちで大きなバスを待つのだ。店の前に着く頃には、街は琥珀色に輝きはじめている。暖かそうに見えるが、心は冷たかった。従