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庭のまなび

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#米光講座

「自分じゃないものになりたいと思う?」

「自分じゃないものになりたいと思う?」

「私は植物になりたい。感情をもたなくていいから」
22歳のとき、渋谷のスターバックスでMちゃんがそんなことを言った。
Mちゃんは新卒で仕事を始めたばかりだった。すこし疲れていたようにみえたけど、具体的な悩みは教えてくれなかった。
私は「植物になりたい」Mちゃんの気持ちがちょっとわかった。
わかっちゃったからこそ「逃げてる」と感じた。だから「植物だって生きるのに大変だと思う」と答えた。

この間、川

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人は本当に実用性を求めてうごくのか

人は本当に実用性を求めてうごくのか

「鑑賞用の植物を育てることと食用の植物を育てることに違いはあるか?」小石川植物園でもらったギンナンを調理しながら考えた。
イチョウは紅葉も綺麗だし、実を食べることもできる。
『イギリス庭園の文化史』という本に、イングリッシュガーデンは鑑賞用の植物を植える美的な側面と、食用の植物を植える実用的な側面の両方を備える庭であると書いてある。

なるほどイチョウは両方を持っているエライ植物だなと考えた。

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「庭は私をまもる場所」五感でたのしむ東京の庭園2

「庭は私をまもる場所」五感でたのしむ東京の庭園2

東京の庭園を、色・カタチ・音・靴で踏んだ感触・園内グルメ・香り…と五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)それぞれに届いたものからレポします。
「水の姿に魅せられる」五感でたのしむ東京の庭園1 つづき

3、旧古河庭園JR京浜東北線 上中里駅 徒歩7分
東京メトロ 南北線 西ヶ原駅 徒歩7分
JR山手線 駒込駅 12分
入場料:一般 150円
視覚:洋館、紅葉、石、庭園に設置されたもの
聴覚:滝の音

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なんとなく放っておいて、いい

なんとなく放っておいて、いい

(※前回の記事とは違う視点で書き直しました)

今朝、多肉植物の葉から、根が出た。 葉挿ししてからもう1ヶ月以上たっていた。
私は、あっちにもこっちにも根がついているのを確認して、思わずヒエっと声をあげてしまった。

葉挿しとは、ちぎった親株の葉から子株を増やすこと。
本によると、多肉植物は葉に養分や水分をたっぷり持っているので、それを使って根を生やし、新しい芽を出せるそうだ。

切断された一

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見ることをもっと楽しめたらいいのに

前回記事・蓼科バラクライングリッシュガーデンレポでの記事追加。

右を見ても、左を見ても草がこちらに向かっている。
その隙間に光が差し込んでいる。
通りぬけたあとの、ぱあっと空が広くなるきもちよさ。
野良猫たちには普段こんな風に世界が見えているのだろうか。

そのうち、通り雨は行ってしまって、雨の雫が光を浴びて、キラキラと光りだした。庭園一面に、水を浴びた植物たちが、ぐわっとエネルギーを発散さ

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書を捨てよ、”庭”をつくろう。”庭“で、はぐくむ3つの能力

書を捨てよ、”庭”をつくろう。”庭“で、はぐくむ3つの能力

庭=上品というイメージの払拭2008年に92歳で亡くなるまで、田舎でスローライフを実践したアメリカの絵本作家・ターシャ・テューダー。

私は、ある夜偶然『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』という映画に出会った。
それは今までの、庭やガーデニングに持っていたイメージをくつがえされる体験だった。

映画の中で、ターシャは、光をいっぱいに浴びた大きなピンク色の花を背に、アザミ色のスカーフを巻いた

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