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アルワルフェス(インド)2017


Alwar アルワル

 アルワルはラジャスタン州の北に位置し、デリーから南にわずか160キロほどだ。今回のラジャスタンの撮影旅はウダイプルに空路で入ってアジュメール、ジャイプールと北上し、そして最終の目的地であるアルワルで祭りを撮影することであった。ラジャスタンの祭りだとプシュカルのラクダ祭りやジャイサルメールの砂漠祭りが有名であるが、どうしてもあれほどの大混雑で多くのカメラを構えた人たちで押し合いへし合い状態というのもちょっと今回は避けてみたいなという感じで田舎のマイナーな祭りでも行ってみようかという感じだった。
 しかし事前にあまりリサーチしなかったせいもあるが、思ったほど田舎でもなく街にはなんと宮殿があるという。しかも結構立派な宮殿でどうやら祭りの会場の一つでもあった。いつも思うことだがインドは結構ガイドブックなどには知られていないけどとても素晴らしい建造物がインド国内様々な所にあって世界遺産級のものがゴロゴロしているといった感じだ。調べるとこのアルワルには昔、アルワル藩王国というものがあったらしい。道理で宮殿があるわけである。

 

 

祭り一日目

 祭りは二日間にわたって行われる。初日は未明に宮殿そばのヒンズー寺院で儀式が行われる。多くの人が寺院に押しかけお祈りをし、祭りが始まるのである。おそらく状況からしてこの寺院がアルワルの守り神みたいな存在なのではなかろうか。ランプを手にした人々であふれかえる寺院は祈りの後には音楽で踊りまくりとなりダンスフロアと化した。


 午後には メヘンディ&ランゴリ(Mehendi&Rangoli)大会が行われるという。メヘンディは日本ではヘナといった方がわかりやすいかもしれないが、ヘナの木から採れる天然染料で手などに模様を描いていくアートである。ランゴリは色を付けた砂で模様を描いていくもので分かりやすい例だと砂曼荼羅のヒンズー版と思えばいいのかもしれない。なおこのRangoliは南インドではコーラム(Kolam)と呼ばれている。今回のランゴリ大会はどうやら型紙や、砂曼荼羅で使われるような細長い先端で砂を落としていくような道具は禁止されているようで、基本的に「手」のみで作成されていた。ちょっと細かい部分が描けないし、時間制限もあるので微細で緻密な模様とは全く異なるがそれなりに味のある絵が作られていった。


祭り二日目

 二日目の方が色々とイベントはあるが何といっても見どころとなるのは午後から行われるTraditional Procesion。いかにもラジャスタンらしい雰囲気の出るパレードだ。先頭の方にサリーを着た女性が踊っているが実は男性である。ヒジュラーと呼ばれる女装した男性なのか、またはこのような祭りのために女装しているのかは定かではない。プシュカルのラクダ祭りの時もそうだったがおそらくこのような日本の歌舞伎でいうところの女方の芸能が昔から存在していると思われる。


 日が暮れると宮殿の池の周りにランプが灯される。噴水もありライトアップされとても美しい光景だ。これが日本なら多くの人が押し寄せそうな雰囲気なのである。が、しかし不思議なことに、観光客はおろか地元民でさえこのライトアップを見に来ない。元々観光客が少ない祭りではあるが、ほとんど誰も見に来ないというのは祭り主催者側的には残念な状況なのではなかろうか。これだけ多くのランプに火をつけるだけで結構な労力を必要としているわけだし、その労力に報いて大勢の住民がインスタ映え的にスマホで撮りまくってSNSにアップしてあげないと流石に可哀そうだろうと思うのだが。


 夜になると宮殿でLok Rang Night Show が行われる。要は様々なラジャスタンの伝統芸能である。ラジャスタンは基本がラージプート族ではあるが多民族となっているためステージでも色んな民族舞踊が行われる。インドだとどの州でもきっと多民族で構成されているのだろう。

 背景にライトアップされている宮殿が見えているがこのように実に立派な宮殿である。内部は博物館になっていて翌日見学したがアルワルの伝統工芸や住んでいたマハラジャの生活用品などが展示されておりこれも中々見ごたえがあった。


 この写真では全体がわかりにくいが女性の頭には壺が六つほど重ねられている。壺のバランスを取りながら、体勢をかがめていって床の瓶の上にある皿を口で拾い上げるといういかにも首の筋肉がものをいいそうなラジャスタン芸能。このような壺を頭の上に重ねていくのはアルワルだけでなくウダイプルでも見かけたのでこの地方名物のものであろう。

 ナイトショーは結構多くのグループが出演しており見学者も多くアルワルの住民はこれを目当てにしていたのかもしれない。


 祭り全体としてはこじんまりとした祭りで比較するのが難しいが強いて言うならプシュカルのラクダ祭りのラクダ抜きにしてさらに思いっきり小型版という感じではなかろうか。しかしながら観光客はかなり少ないし、撮影もほとんど他のフォトグラファーと接触することもないので撮り放題に近い。距離的にデリーから近いのでここだけピンポイントで行ける。たまにはこういう祭りというのも悪くはないのかもしれない。

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ホムペ
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