![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/99511582/rectangle_large_type_2_c17960c0046ccb94168b861f4811ccd2.png?width=800)
Photo by
lumi1964
【エッセイ】春は名のみの
同じ気温でも、やっぱり違うのだ。
ある日、ある時、ふと理解する。もう、冬の空気ではない。
土のやわらかさや、しっとりとした匂いや、光の様子がそれを知らせてくれる。雪が降っても地面が凍りついても、やはりもう冬とは違うのだ。
しかし春と言うにはまだ早く、風は冷たくて、室内では相変わらずストーブを炊くし、手足は冬と同じように(あるいはそれ以上に)冷える。
春は名のみの風の寒さや、という歌詞の意味が昔はわからなかった。ただ音で「ハルーワナーノミーノ」と歌っていた。今なら文字だけでなく、その意味も、感覚もよくわかる。
ああ、大人になってわかることの多さよ。そして大人になってわからなくなることの多さよ。
冬と春の境目で、寒暖だけでない季節のうつろいを想う。
冬の終わりの暖かな日、春の初めの寒さ残る日。
より素敵な文章となるよう、これからも長く書いていきたいです。ぜひサポートをお願いいたします。