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#2020年秋の美術・芸術!コンテスト- 版画鑑賞のススメ。~トーマス・アロム「The grand gallery of the Louvre」

#2020年秋の美術・芸術 !コンテスト-中間のご報告として、基本は、ほぼ時系列に(多少の順不動お許しください)、応募いただいた作品を、1作品ごとに、ご紹介とコメントとしての評を入れさせていただき掲載させて頂きます。まずは、ご応募ありがとうございます。また、これから、応募ご希望の方も、個々の多様な、、ご自分の視点で、気軽にご応募くださいませ。

・版画鑑賞のススメ。~トーマス・アロム「The grand gallery of the Louvre」
宇佐兎三★うさうさんさま 応募ありがとうございます。

(評)版画の好きな筆者は、印刷物(複製物の位置付けの認識)にロマンを感じている。そして、ついに、購入に至るのだ。
そのていねいな、その解説には、美術に関するインテリジェンスを感じる文脈がつづく、そして、読者が、ふと気がつくと、版画の虜になっているかも知れない。そんな、観る側の視点(極)を高揚させるようなエッセイだ。

内容的に追うと・・
・日本橋の丸善でのエッジング作品を(Etching-酸による腐蝕を利用して銅板等に溝を作る凹版技法)を得て、ご自宅に飾るのだが、その繊細なまでに感性あふれる気持ちが伝わってくる。その作品は、トーマス・アロム「The grand gallery of the Louvre」からの流れのエッチング作品だ。
その版画にある「ルーブル美術館の回廊に吸い込まれそうな遠近感と、今にも動き出しそうな模写する画家たち・・」
そして、「モノクロの版画にも関わらず、油絵の再現度も高すぎる。」と綴られていてる。

また、このようなフレーズがある。
「金属凹版作品のどこに凄さ、魅力を感じるかというと、原画と比べてモノクロになった分だけ劣っているかというとそうではなくて、むしろ造形の鮮明さ、奥行き、そして正確なストロークはどれを取っても原画の良さを際立たせ、オリジナルを超えるものばかりだと私は思うのだ。」

そう、モノトーンの版画の世界(例えば、モノクロ写真にも)、色彩はあるのだ。
また、色彩のみならず、そこには、表面的には、見えない物が構成されて、観る者の感性を揺さぶっているのだ。それを、見事なまでに言い当てているのは、筆者の感性だろう。そして、造形の構成はもちろんだが、ブラシストロークに至っては、筆者が描いた経験値や美術に対する、従来から持ち合わせているインテリジェンスを想像される。

原画はThomas Allom(トーマス・アロム,1804-1872/UK-建築家・画家)から、それは、日本での時代背景で言えば、確かに、葛飾北斎(1760-1849)や歌川広重(1779-1858)・・
そして、書籍という記録メディアによって、時間と場所の違いはあれど、感性の同一性に至った視点で述べているのだ。
また、この版画の彫師がCharles Mottramヴァージョンも、推測の域から、より的確に解説されている。

最後に、版画ならではの良さを詳細に、また、学際的な視点もいれて、まとめられている。
版画の本来像を分かりやすくまとめてあり、今後、版画のファンもより増えていくだろうと思えるエッセイだ。
ご応募ありがとうございました。

(註)*色彩は、私たちの側の問題
また、簡単に申し上げると「Color as a concept」という事だ。
色は、色彩の科学というより、我々の内面で、その解釈がなされるのだ。
例えば、「Red」を考えると、情熱の赤、フェラーリの赤、共産圏の赤、血の赤、赤十字の赤、と私たちの側で多様な解釈がなされるのだ。
(例えば、ヨハネス・イッテン色彩論の解釈もそうだろう)


(追記)版画に限らず、美術作品の価格だが、その作品に感銘を受けて、本人がその価値を感じとり購入時に納得して購入するのが適切な価格だろう。
絵画の本来像は、当然だが値段ではないのだ。
この版画を購入されて、筆者はどれだけの想いが駆け巡ったのだろう、それは状態からも、良心的な価格だと感じる。そう考えると、版画の位置付けを、このエッセイから、より、観る側の個々の多様性と共に、アートを身近に感じるのだ。そして、私的には、良き意味合いでの、ベンヤミンの複製技術時代の芸術を思い出すフレーズをいくつか感じた。


(今後のお知らせ)
このコンテスト #2020年秋の美術・芸術  は、コンテストの形式として、3名の入選はございますが、ある意味、ドクメンタ(カッセル/ドイツ-一人のディレクターによるキュレーション)の展示会ように賞はございません。そして、主催者は、多くの企画をされている秋氏のデレクションと、私(artoday)のコメント(評)で構成されております。         
それは、「そもそも美術エッセイは発表の場すらない」という視点や、小生(artoday)の、もっと、身近に気軽に、美術、芸術の裾野の広がりを願っての事でもございます。この間は、私のアート系コラムをランダムに、連載致しますが、入稿があり次第、応募作品にシフト致します。
どうぞ、気軽に日常のことで、思いつかれた事を応募なさって下さいませ。(註) #2020年秋の美術・芸術  は全角ですので、よろしくお願い致します。


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