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ダン・フレイヴィンの蛍光管での光の異世界

ダン・フレイヴィン(Dan Flavin, 1933–1996/US)
ミニマルアートのコンセプチュアル・アーティストだ。
ミニマリズム(Minimalism/最小限の表現手法)のパイオニア(主唱者/ミニマリズムを唱える主だった作家だ)の現代アートのアーティスト。
ミニマルアートとして、照明器具(蛍光灯)の独創的なインスタレーションで著名だ。商業用の蛍光灯を異なる幾何学的構成した作品が著名だ。それは、純粋な光を用いる作品制作を通して、伝統的な芸術の概念へ挑戦したという事だろう。
フレイヴィンの選択する素材が持つ、その流動性は、線や色彩といった絵画的な要素と、作品の持つ物質性は空間性を生み出す、インスタレーションの世界だ。

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(c)Dan Flavin

どこにでもある、ありふれた蛍光灯は、その当時(あるいは現在も)の工業社会の象徴である、それと同時性には、空間、色、線 等といった造形要素をある意味、混乱させる存在だろう。また、フレイヴィンの光への関心は、西洋絵画史(洋画の基本は、光によって、それは見えるという視点で構成されている/反面-日本画は暗闇でも物は存在する)に由来し、精神性のメタファー(暗喩)としての存在をも示唆しているのだろう。
ダン・フレイヴィンは、ハンスホフマン美術学校で学び、コロンビア大学に進んでいる。
「私はいつもこの方法(概念をアシスタントが制作)を維持してきました。私は手を汚さないことが重要です。それは私が本能的に怠惰だからではありません。それは宣言です。そして、芸術は考えらています。」-Dan Flavin

ダン・フレイヴィンは、その同時期の、ドナルド・ジャッド(Donald Judd,1928–1994/US)や、ソル・ルウィット(Sol LeWitt ,1928–2007/US)、ロバート・ライマン(Robert Ryman,1930–2019)、ロバート・マンゴールド(Robert Mangold, 1937)たちと出会い、双方に影響を与えて合っている。
そして、そのキャリアは、グッゲンハイム(NY)での回顧展(1992)、シカゴ美術館、Dia:Beacon(NY)、メニル・コレクション(Menil Collection/ヒューストン)、ワシントンDCの国立美術館(National Gallery of Art)他、多くの機関での展示収蔵されている。
最後になるが、1933年、ニューヨーク州ジャマイカ生まれ、そして、1996年11月29日、ニューヨーク州リバーヘッドにて亡くなる。そういう時代の蛍光灯でのインスタレーションだ。

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Dan Flavin

Light Tree : Interactive Dan Flavin by HYBE (2011)

(追記)ちなみに、現在系の照明の経緯として、LEDは、Blueを、中村修二氏(Shuji NAKAMURA,1954-/UC Santa Barbara)達により発明され(ノーベル物理学賞-2014)、それまでのGreen,Redで、光の三原色(RGB)が揃った訳だ。それによって、その3色を合わせる(加法混色)と白色の発光が行われる。街中の強大なディスプレイ(渋谷のスクランブル交差点のスーパーライザ)等の発生は、そういった科学の発展から、技術が増進され、そして、アートの世界にコンテンツとして展開されている。そういった、学際的(がくさい:知の共有)な視点が現在だろう。ダン・フレイヴィンは、その生きたスパンで、蛍光灯という当時の先端技術を使い廻して、自らの概念(極)を表象したと言う事だ。

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