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クレモナで、聴いて、食べて、感動して。Part.1

バイオリン編でもクレモナが登場しましたが、今回は街歩き。バイオリンだけじゃない、小さくて偉大なクレモナ。見どころが、ギュっと濃縮されている、美しい街です。

クレモナの街歩き

冬のイタリアは、暗くなるのが早い!11月や12月の16時30分頃には、とっぷりと日が暮れます。そのため、イルミネーションが映える、夕方の散策が楽しい季節でもあります。

モダンに。とか、シックに。とか、コンセプトに合わせて建てるのではなく、昔からそこにある建物を単純に利用しただけで、まるで映画のワンシーンのようなカフェができあがり。歴史の積み重ねが成せる、美。

近づいてみると、バイオリンを飾った内装。おじさまが座っている赤い革張りのソファとのコーディネイトも素敵な、おしゃれなお店。

10分もあれば歩き終える、小さな街なのに、文化的に豊かな感じが伝わってきます。ここは、街の顔、大聖堂。すごいですねー。圧倒されますねー。

大聖堂の隣に建つのは、煉瓦を積んで造られた鐘楼。中世時代に建立された鐘楼のなかでも、その高さは、ヨーロッパでナンバーワン! 1230年に着工。

トラッツァ(Torrazza)と呼ばれる、この鐘楼。イタリア語で、塔はトーレ(Torre)。トーレの大きい版だから、トラッツァと呼ばれてるんでしょう。

ボローニャは塔の街として有名だけど、おっとっとっ、と、斜めになってるのが多いのに、クレモナのは、シャキンとまっすぐ天に伸びてます。

素晴らしい技術です。高さ112,54メートル、階段数502段。登れるようになってます。

トラッツァに嵌められている、天体時計。1583年から5年かけて、クレモナの時計職人親子が作ったそうです。星座の絵が美しい。中央の丸い窓から白く覗かせているのが、月の満ち欠け。

24時間時計のなかに、星座、12ヶ月の暦、月の満ち欠け、夏至、冬至がわかるように設計されています。

人の営みや時間が、宇宙のリズムに合わせて流れていると、視覚で感じさせてくれる天体時計。いろいろと想像し、思い巡らせ、しばし立ち止まって見入ってしまいます。

人と天文の関係は、はるか昔から続いていて、1600年代には、こんな離れ業も、してのけてます。これは、ローマに行ったときに訪れたもの。

スペイン広場の階段上にあるトリニタ・ディ・モンテ教会に、隠された回廊


バイオリンの街だけあり、右を向けば、バイオリン工房、左を向けば、バイオリン工房。

バイオリンの工房なんて、普段ではめったにお目にかかれないのに、クレモナには、スーパーやバール並みに、普通に路面にお店を構えていて、街歩きが、とっても楽しい。

食べても楽しい、クレモナ。

クレモナには、バイオリンや、歴史ある大聖堂や鐘楼のほかにも、クレモナ名物があります。

白い長方形の棒。トッローネ(Torrone)。アーモンド、はちみつ、卵白を混ぜ合わせたお菓子。ヌガーが『ふにゃん』と柔らかい食感だとすると、トッローネは『カリっ』と固め。

今年の11月には、トッローネ祭りが開催されます。2022年11月12日〜20日。

9月には、楽器の国際展示会があり、ストラディヴァリの命日12月18日には、コンサートが開催されたりと、秋以降はイベントが目白押し。

街歩きをして、トッローネなんか見てたら、お腹が空いてきたので、予約をしていたお店で夕食を。旅で食事をハズすほど、心に秋風が舞うことはない。美味しいものを味わうのは、旅の醍醐味です。

Formaggi con mostarda di nostra produzione 
チーズと自家製モスタルダ
ハーフポーション

モスタルダとは、なんぞや?
果物を、砂糖と西洋辛しに漬けたもので、チーズやお肉と一緒に食べます。モスタルダも、クレモナ名物のひとつ。

辛いのは、わさびのように、ツーンと鼻にいつまでも効いて、涙目で悶えます。果物は、オレンジピール、イチヂク、洋ナシ、栗、りんご、チェリー、などなど。

お店の自家製モスタルダは、甘すぎず辛すぎず、ちょうど良い辛味で果肉がしっかりしていて、極ウマでした。

Tortelli al torrone con scaglie di Salva Cremasco, mandorle tostate al burro versato
クレモナ名産サルバチーズと、
トーストしたアーモンドをふりかけた、
トッローネ入りトルテッリ

甘辛混在の味が苦手なイタリア人の多いなかで、甘いトッローネが入っているトルテッリは珍しい。これは食べてみなければ。

トッローネとアーモンドのカリカリした食感に、ほんのり甘さが付いてきて、そこに、チーズのまろやかな辛さが追いかけ、バターがすべてを包み込む、立体的で、含みのある一品。とても美味しく頂きました。

Marubini Cremonesi in brodo di carne
トルテッリのコンソメスープ

これも、クレモナ名物。コンソメスープが澄んでて、滋味で、ほっこり体が温まり、寒い冬にぴったり。

器が、ぽってり丸くて、両手で抱えてすっぽり収まる大きさ。オニオンスープにも使えそうなので、探して、見つけて、いま手元にあります。うふ。

季節メニュー。
コテキーノとポテトのピュレ。

コテキーノは、豚肉の腸詰。直径3センチほどと大きい。じっくり熱を通してから頂きます。ねっとり、こってり。うんまいのです。

Guancialino di suino stufato al profumo di liquirizia
リクリッツァ(甘草)で香りづけして
コトコト煮込んだ豚の頬肉

甘草はあまり好きじゃないけど、煮込んだ豚の頬肉には、かなり惹かれるので頼んだ一品。独特なクセのある甘草の甘さが、肉の甘みをバックアップしていて、濃厚な頬肉とベストマッチでした。

食べた、食べた、お腹いっぱい。食後のドルチェ(お菓子)は、トッローネを買っておいたから、ホテルに到着してからのお楽しみ。

お店はこちらです。おすすめ!

お店を出ると、しとしと、そぼ降る雨が、イルミネーションの光を地面に落としていました。

訪れたときは、クリスマスの飾り付けをしていた時期だから、街の光が華やかだったけど、これは初めてみる!おもしろい!歌詞がそのままイルミネーションになってる!

通りゆく親子は子供に、カップルは彼氏彼女に、アモーレ・ミオ(わたしの愛する人)と、歌いながら歩いていた。サビがキャッチーだから、みんな歌いたくなるんだろうなあ。

題名は、アモーレ・ミオ(わたしの愛する人)。ミーナを知らない人は、イタリアでは、ひとりもいないであろう、イタリアを代表する歌手。

大聖堂の回廊の下で雨宿りしながら、おしゃべりする人。なんでもない光景だけど、歴史と共存する日常に、すごく贅沢な感じがします。

広場にいたカップル。傘の存在がいい感じ。ちょっと遠目だけど、フランスの写真家ロベール・ドアノー風に1枚。

次回は、クレモナらしい、バイオリン博物館と、1000年代から生きている、美しい大聖堂へと、ご案内します。

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