材料力学&連続体力学の入門書 #00 〜まえがき〜
今回の記事はKindle出版に向けた、最初の1ページ。言うなれば「まえがき」になります。
どんな本にも必ずある「まえがき」です。この本はどんな人が書いたのか。どんなことを扱うのか。はじめて手に取る読者のみなさんには、気になることがたくさんあると思います。
この本で扱うテーマ。それは物体の「変形」です。英語では「Deformation」と書きます。
今回は「まえがき」として、変形とは何かという概念的なことから、話を始めてみたいと思います。
物体の変形とは?
みなさんは「変形」と言うと、どんなイメージを浮かべますか。戦隊モノのロボットが形を変える。そんなカッコいいことを想像する人もいるかもしれませんね。
変形とは読んで字のごとく、物体が形を変えることを意味します。見た目でも分かる大規模変形から、局所的に発生する微小変形まで。世界には様々な「変形」が存在します。例えば、詳細は改めて説明しますが、変形には引張・圧縮・せん断・曲げ・ねじりの5種類が定義されています。
実例を挙げながら説明しましたが、この世界の変形は上記の5種類のいずれか、もしくは組み合わせとして説明できるのです。そういう視点で周りを見てみると、面白い発見があるかもしれません。
変形を知ることが重要な理由について
変形とは物体が形を変えることと説明しました。物体が単調に変形し続けると、次第に「破壊」に転じることがあります。
この「破壊」という事象を事前に予測することが、変形を知ることの重要な理由のひとつです。例えば、建物なり機械なりを設計する時は、部材(部品)がどこまでの荷重に耐えられるか(どれ程で破壊に転じるか)を事前に予測することがあります。
建物や機械が突如として破壊することに対して、ポジティブな印象を持つ人はいないでしょう。そのような結果を事前に予測して、未然に防げるように対策を施すことは、建物や機械の健全性を保つために非常に重要なことなのです。
他にも変形を知ることが重要な理由はありますが、一般的に共通して納得できる内容として、破壊について挙げてみました。
材料力学&連続体力学とは?
ここまで説明した変形という事象について、体系的に学問としたのが「材料力学」と「連続体力学」です。
材料力学も連続体力学も、大枠としては工学に属する学問です。大学など高等教育機関で初めて学習することになります(工学部・理学部に進学すると履修することになります)。
■材料力学について
機械設計において重要な位置付けの学問。物体の様々な外的要因から引き起こされる変形(形を変えること)について、力学の観点から明らかにする。機械製品の劣化や破損を事前に予測することなどに役立てられる。
■連続体力学について
材料力学を内容をより数学や物理学の観点から理論的に説明した学問。登場する用語こそ材料力学と大して変わらないが、より高度な数学の知識が要求される(マトリクスやテンソルなどを扱う)。後に説明する有限要素法の基礎になる学問である。
大学で学習する内容だけに、少なくとも高校以上の数学や物理学の知識と運用が求められます。なので、決して簡単とは言いません。
ただ、単なる数式や専門用語の羅列では「大学生の専門書」と変わりません。高度な専門内容をなるべく簡単な言葉に落とし込んで、幅広い世代の人たちに説明できるようにしたい。それが本書の目的のひとつです。
著者(私)に関するプロフィール
最後に私の自己紹介を少しだけさせてください。
千葉県を拠点に活動するエンジニアです。地元の中学校を卒業して、同県の工業高等専門学校(高専)に進学しました。専攻科過程を含めて7年間在籍しまして、その後は筑波大学(大学院)に進学します。
学生時代は材料力学を専門とした基礎研究に従事していました。物体の変形について様々な観点から見たり考えたりしてきました。この経験は今の仕事でも大いに活かされています。
学生時代の研究でよく利用していた手法として「有限要素法」と呼ばれるものがあります(大学院では別の分子動力学法を使用していました。それはまた違う観点になるので割愛します)。
有限要素法とは物体(解析対象)を小さな「要素」に切り分け、荷重領域や固定領域などの「境界条件」を与えることで、各要素の挙動を連立方程式の要領でコンピューターで計算するというものです。
数値計算法の一種であり、定性的な分析だけでなく定量的な分析が可能です。現在は有限要素法を主とした数値計算ソフトウェアの技術サポートをしています。この分野はCAE(Computer Aided Engineering)と呼ばれていて、今の仕事の核になる技術です。
この仕事の最も基礎となる話が材料力学と連続体力学なのです。専門職ではありますが、ここの面白さも時間がある時に話せたらと思います。
おわりに
今回は「まえがき」として「変形」という言葉の定義から、材料力学と連続体力学とは何かについて説明しました(私のプロフィールも付け加えました)。
私は出身こそ工学部ですが、元々は物理や数学などの基礎学問の方が好きで、数式や理論を踏まえて内容を理解するタイプでした。そんな私にとっては、材料力学や連続体力学は非常に面白い分野に感じました。
ほとんどの人にとっては、人生の上でも関わりの無い話だと思います。ただ、長く深くここに関わり続けてきた私としては、社会人の今でも興味深い学問だと感じてますし、その面白さを様々な世代の人たちに伝えたいと考えてます。
現時点ではまだ目次も考えていませんが(これから考えます)、マガジンに書き貯めていきながら、Kindle出版を目指したいと思います。
本記事を手に取られた皆さんのためにも、そして何より私が楽しみながら、このチャレンジを続けていきたいです。それでは、何卒よろしくお願い申し上げます。
-------------------------
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。
-------------------------
⭐︎⭐︎⭐︎ 谷口シンのプロフィール ⭐︎⭐︎⭐︎
⭐︎⭐︎⭐︎ ブログのロードマップ ⭐︎⭐︎⭐︎
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?