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読んだ論文たち

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2020年8月の記事一覧

読んだ論文 (Early Rhythm-Control Therapy in Patients with Atrial Fibrillation. DOI: 10.1056/NEJMoa2019422)

心房細動患者における早期のリズム-コントロール療法

要旨
背景
心房細動の管理が改善されたにもかかわらず、この状態の患者は心血管系合併症のリスクが依然として高い。早期のリズム-コントロール療法でこのリスクを軽減できるかどうかは不明である。

方法
この国際共同治験では、初期の心房細動(登録の1年前までに診断された)と心血管系疾患を有する患者を対象に、早期のリズム-コントロールと通常治療のどちらか

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読んだ論文 (Low-Dose Edoxaban in Very Elderly Patients with Atrial Fibrillation. DOI: 10.1056/NEJMoa2012883)

超高齢者の心房細動患者に対する低用量エドキサバンの投与

要旨背景
超高齢者の心房細動患者における脳卒中予防のための適切な経口抗凝固薬治療の実施は,出血の懸念から困難である。

方法
我々は,脳卒中予防のために承認された用量で経口抗凝固薬治療の適切な候補とされていない非弁膜症性心房細動を有する日本人高齢者(80歳以上)を対象に,エドキサバン15mgを1日1回投与し,プラセボと比較する第3相多施設共

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読んだ論文 (Five-Day Antibiotic Treatment for Community-Acquired Bacterial Pneumonia: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Journal of Global Antimicrobial Resistance(2020))

市中肺炎の5日間抗菌薬治療:RCTのシステマティックレビュー、メタ解析

Journal Pre-proofですが、オープンアクセスですので、無料で本文を全て閲覧可能です。

抄録目的
このシステマティックレビューおよび無作為化比較試験(RCT)のメタアナリシスでは、成人の市中発症肺炎(CABP)の治療において、5日間の抗菌薬投与コースの臨床効果が、より長い(7日以上)抗菌薬投与コースと同等である

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読んだ論文 (Validation of Modified ALBI Grade for More Detailed Assessment of Hepatic Function in Hepatocellular Carcinoma Patients: A Multicenter Analysis. Liver Cancer. 2019;8(2):121-129.)

肝細胞癌患者における肝機能のより詳細な評価のための修正ALBIグレードの妥当性。多施設共同解析

日本からの報告。下記リンクから無料で本文を閲覧可能です。

要旨背景・目的
我が国では,抗ウイルス療法の進展や高齢化に伴い,肝予備機能の良好な患者における肝細胞癌(HCC)の発生頻度が増加している.そこで、肝予備能の評価ツールとしての修正アルブミン・ビリルビン(ALBI)グレードの有用性を評価した。

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読んだ論文 (Antimicrobial escalation is not beneficial for Gram-negative bacteremia in adults who remained critically ill after appropriate empirical therapy. J Infect Chemother. 2020;26(9):933-940. )

適切な経験的治療を受けた後も重篤な状態が続いた成人のグラム陰性菌血症に対しては、抗菌薬のエスカレーションは有益ではない。Ho CY, Lee CH, Yang CY, Hsieh CC, Ko WC, Lee CC. J Infect Chemother. 2020;26(9):933-940. doi:10.1016/j.jiac.2020.04.011

要旨

適切だが反応性の低い抗菌薬を経

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読んだ論文 (Evaluation of once-daily dosing and target concentrations in therapeutic drug monitoring for arbekacin: A meta-analysis. https://doi.org/10.1016/j.jiac.2020.08.002)

アルベカシンの1日1回投与および目標濃度のTDMに関する評価:メタ解析

https://www.jiac-j.com/article/S1341-321X(20)30272-5/fulltext

残念ながら、今回の論文は、無料ではないようです(私は会員なので、閲覧できます)

要旨introduction
アルベカシンは,日本で初めてメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症の治療薬として承認されたア

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読んだ論文 (Antibiotic de-escalation for bloodstream infections and pneumonia: systematic review and meta-analysis. Clin Microbiol Infect. 2016;22(12):960-967.)

血流感染および肺炎における抗菌薬de-escalationについて、系統的レビューおよびメタ解析の報告

下記から本文を無料で閲覧可能です。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1198743X16301756

要旨
抗菌薬のde-escalationは、抗菌薬適正使用プログラムにおいて魅力的な戦略である。我々は、系統的レビュー

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読んだ論文 (Occurrence and determinants of Klebsiella species bloodstream infection in the western interior of British Columbia, Canada. BMC Infect Dis. 2019;19(1):1070.)

カナダ・ブリティッシュコロンビア州西部内陸部におけるKlebsiella属血流感染症の発生と決定因子

上記から無料で全文閲覧が可能。

なお、菌名はイタリックですが、イタリックにできないのでご了承ください。

要旨

背景

Klebsiella speciesは、血流感染症(BSI)の最も一般的な原因の一つである。しかし、非選抜集団におけるKlebsiella speciesの疫学を評価した研

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読んだ論文 (Impact of De-escalation on Prognosis of Patients With Bacteremia due to Enterobacteriaceae: A Post Hoc Analysis From a Multicenter Prospective Cohort. doi: 10.1093/cid/ciy1032.)

腸内細菌による菌血症に関する, De-escalationと臨床転帰の関連性について

上記のサイトからリンクを辿っていけば、本文は無料で読めます。

背景
広域スペクトラム抗菌薬への曝露を減らす戦略として、特定の臨床状況における抗菌薬のde-escalationの安全性について、より多くのデータが必要とされている。本研究の目的は、腸内細菌科(BSI-E)による血流感染症患者のde-escalat

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読んだ論文 (Propensity score matched analysis comparing the clinical outcome of Klebsiella pneumoniae and Escherichia coli causing community-onset monomicrobial bacteremia. Medicine (Baltimore). 2017;96(26):e7075.)

https://europepmc.org/article/med/28658101

肺炎桿菌と大腸菌による市中発症菌血症の臨床アウトカムの傾向スコアマッチングによる比較に関する報告

上記リンクから本文も無料で閲覧可能(2020年8月22日現在)

要旨

菌血症は生命を脅かす疾患であり、多額の医療費がかかる。大腸菌と肺炎球菌は、市中発症型グラム陰性菌血症の主な原因となっているが、これらの病原

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読んだ論文 (Concomitant vancomycin and piperacillin/tazobactam treatment is associated with an increased risk of acute kidney injury in Japanese patients. DOI:https://doi.org/10.1016/j.jiac.2020.05.012)

日本人におけるバンコマイシンとタゾバクタム/ピペラシリン併用療法におけるAKIのリスク因子について

序章
最近の研究では、バンコマイシン(VCM)とピペラシリン/タゾバクタム(PT)の併用投与は急性腎障害(AKI)の発生率の増加と相関があることが確認されている。しかし、日本人を対象としたエビデンスは少ない。そこで本研究では,VCMとPT(VP療法)を併用した日本人患者とVCMと他のβ-ラクタム系

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読んだ論文 (Effect of Ascorbic Acid, Corticosteroids, and Thiamine on Organ Injury in Septic Shock: The ACTS Randomized Clinical Trial. JAMA. 2020;324(7):642–650. doi:10.1001/jama.2020.11946 )

Key Points
Question
敗血症性ショックにおける臓器損傷の軌跡に及ぼすアスコルビン酸、コルチコステロイド、およびチアミンの併用の効果は?

所見
敗血症性ショックの成人200人を対象としたこのランダム化臨床試験では、非経口アスコルビン酸(1500mg)、ヒドロコルチゾン(50mg)、およびチアミン(100mg)を6時間ごとにプラセボと比較して4日間投与した結果、72時間の間にSO

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読んだ論文 (Comparison of interactions between warfarin and cephalosporins with and without the N-methyl-thio-tetrazole side chain. Journal of Infection and Chemotherapy)

https://doi.org/10.1016/j.jiac.2020.07.014

【要旨】
N-メチル-チオ-テトラゾール(NMTT)側鎖を有するセファロスポリンは、血液凝固因子の産生を減少させることでワルファリンと相互作用する。しかし,NMTT側鎖を持たないセファロスポリンもまた、ワルファリンの効果を増強する。そこで,日本人の健康保険請求データベースを用いて,NMTT側鎖を有するセファロス

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