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発達障害の子が8.8%だという記事、読みましたか?誤解があるかもしれません。

文科省のアンケート調査の記事、読みましたか?

この記事を読んでいくつか気になった点があったので、まとめたいと思います。

単純に「公立の小中学生の8.8%が発達障害なのか」「1クラスが35人だとしたらその中の3人は発達障害を持っているということなのか」「結構多いなぁ」と捉えるだけで終了、にならないでほしいです。

見出しだけを読んで解釈すると、誤解が生じるかもしれないです。


1.支援級在籍の児童は含まれていない

見出しの「公立小中学校の8.8%」からは読み取れませんが、本文を読むと、対象になるのは「公立小中学校の普通級に在籍している児童」のみだそうです。
公立小中学校に通っている支援級在籍の児童は含まれていないのです。
給食だけ通常級で食べるけど、授業は支援級で受けている等、そういう児童を除いての調査ということになります。

単純に「公立小中学校に通ううちの8.8%」ではないのです。


2.私立の児童も含まれていない

私立小学校に通う児童、私立中学校に通う児童、対象外です。
支援学校に通う児童も対象外です。

少し前は、私立なんて聞くと、お金持ちのお嬢様や頭のいいおぼっちゃまのイメージがありましたが、今は時代が変わり、私立進学を選択する人も増えています。

特に、特性のある子の保護者の方々は手厚いサポートを望むため、私立受験に挑戦させる率も高いようです。
また、一斉の指示が通りにくい特性がある子には少人数制のクラス編成になっている私立中学を選んだり、生き物や植物にものすごい興味を示す子には自然いっぱいな環境の私立中学を選んだり、公立中学校よりも「自分に合った環境」で学べるということで、私立中学校を選ぶ人が多いようです。

うちの息子も小6ですが、私立中学受験を目指して勉強中です。
今は公立小学校で普通級在籍のASDなのでカウントされている立場ですが、来年私立中学校に通えたらこの子はカウントされない立場、ということになります。


3.一人で困り感を抱えて頑張る児童も含まれていない

このアンケート結果は学級担任の目線でのものなので、気づかれずに埋もれている子もいると思います。

クラスでは人間関係に問題がないように見えても、実は人の何倍も無理をしてお友達に合わせている場合、家に帰ったら全てのエネルギーを使い果たして倒れ込むように寝てしまう等、よくある話だと思いますが、担任の先生の目には「問題がない子」に映るのでカウントされません。

そして『学年が上がるに連れて減少傾向にある』という結果から読み取れるのは「発達障害は治っていく」でも「最近増えてる」でもなく「成長とともに、担任に気づかれないレベルにまで当事者が頑張っている」だと思います。

逆に、例えば家庭環境に問題があって心に問題を抱えているため授業に集中できない、というような子も「学習に困難を抱える」としてカウントされている可能性があります。

とにかく、お医者さんが全児童1人1人の成長過程や検査結果を見て判断したわけではない資料だということを踏まえて、結果を考察するべきです。


私の考察

この調査結果を見て、割合が思ったより多いとか少ないとかを議論するのではなく、「特性を抑え込む方向」ではなくまずは「"生まれつきの脳の特性"の存在を知る」ことから始めて、みんなが生きやすい世の中づくりに勢いがつくといいなと思います。

目立つ子を抑え込むのではなく、
「みんな違ってみんないい」という社会になってほしいです。

記事の中には「『発達障害』の支援に何が必要かの判断は、経験があっても簡単ではない」という教員の方の言葉がありましたが、本当にその通りだと思います。

実際に私もASDとADHDの診断がついている息子を育てて13年目になりますが、息子の特性にしか詳しくありません。さらに、息子の中でどこからどこまでが発達特性によるものでどこからどこまでが本人の性格なのかといった線引きもしていないので、とにかく「息子をひとりの人間として捉えて育てているだけ」という感覚です。

何が言いたいかというと、「ASDの子の担任をしてうまくいったことがあるから他のASDの子もうまく対処ができる」というわけにはいかないことが多い、ということです。(もちろん、うまくいくこともあります。)


で、ここからは完全な私の個人的意見なので賛否両論あるかもですが、
然るべき専門家や先生方を頼ることは当然必要だとは思いますが、
頼った上で本人のことをいちばん理解するのは
将来的には「本人」であり、子どものうちは「保護者」だと思います。

専門家が何人もの児童を担当して「こういう時はこうしなさい」「ダメだったらああしなさい」といちいち対策を練って指示をするよりも、私や本人で色々試行錯誤しながら生きやすい環境を創っていったほうが良いと思う。

困った時にアドバイスをもらうのはもちろんありだけど、専門家や先生に頼ってばかりではなくて自分で道を切り拓いていく力があったほうが良いと思います。

発達障害の特性は、人それぞれ違いすぎるので。


「8.8%かぁ」という数字をどう捉えるかよりも、記事の内容、教育現場での実態、どういう課題点があるのかを社会全体の問題として深く考察し、発達障害についての正しい知識が広まってほしいなと思っています。





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