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旅について考える。【感想】村上春樹『ラオスにいったい何があるというんですか?』紀行文集

 この本は、村上春樹さんにしか体験できないことが、まるで宝物ものように随所に散りばめられた本だと感じました。

 村上春樹さんには、世界中のさまざまな所に、村上さんと縁のある場所がある。村上さんが、世界の、いろいろな場所に行くと、そこには、村上さんの来訪を喜んで迎え入れる人たちがいる。

 素直に、これは、すごいことだと思いました。

 他の人が、これと同じような体験をすることは、なかなかできないと思います。

 でも、現地に知り合いがいなかったとしても、自分にとって、大切な場所を世界中に作れたら、素敵なことだなと思いませんか。

 人生のある段階で、好きな国に何日間か行ってみる、あるいは何週間か、時には何ヶ月か滞在してみる。そして、10年後、20年後、ふと、そこを訪れてみる。

 再び、訪れてみて、何が起こるかは、分かりません。

 変わらない風景、変わっていく風景に驚き、感情が揺さぶられるかもしれません。20年前と同じレストランが残っていて、味が全く変わっていないことに感動するかもしれません。10年前は特に気にならなかった物が、今の自分からすると、とても大切なものに見えてくることもあるかもしれません。10年あるいは20年の自分の人生の歩みを振り返ってみて、また挑戦しようという勇気が自分の中から湧き上がってくるかもしれません。

 本書には、村上春樹さんしか体験できないであろうことが、いろいろ書かれています。

 私たちも、私たちにしか体験できない旅ができたら、素敵な人生になりそうですね。

 良い旅を!

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