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名文を読んだ後の読了感を味わう吉田ユニ展

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 東京都港区白金 5-12-21
 OUR FAVOURITE SHOP内「OFS gallery」
 〜7月3日(日) 入場無料
 /木~日 12:00~19:00
  ※最終日は17:00まで

7月3日(日)まで開催中の
#吉田ユニ さんの個展「THE MOMENT」。
 ☞帰省もあって、初日に伺ったのに
  テキストがなかなか整わなくて
  今頃の投稿になってしまった🤧

星野源さんやPerfumeのアルバムジャケット、
渡辺直美展のビジュアル、
NHK「あさイチ」のキービジュアルなど、
度肝を抜く発想力で構成された
不可思議なのだけど
何故かどこか自然に存在するように感じてしまう、

そんな唯一無二のデザインを作り続ける
吉田ユニさんの世界に触れてきた。



🍏🍀
🧩
ユニークさに取り憑かれる吉田ユニ世界


連結、重複、共通、相似、親和……、
ユニさんの作品を鑑賞していると
そんな言葉たちが頭を巡ってくる。

まるで短い詩を読んでいるような感覚。

比喩表現に優れた名文を目で追った後の
ハッとするような読了感に似た感覚。

確立されたグラフィックから、
ストーリーやロジックを
読み取りたい欲求に駆られる。


ふと作品への滞留時間が長くなってしまう
吉田ユニ(さん)ワールドは、
脳に針が突き刺すような刺激とともに、

ペーパーフィルターに
時間をかけてお湯が伝っていくような
ゆっくりと染み込んでいく感動がある。


🌼🍋
🧽
THE MOMENT——

生命がコラボする一瞬の表情がアートになる



CGなどの加工や合成に頼らず、
本物のフルーツや植物を使って出力する
ユニさんの作品から覚えるのは
〝一瞬〟を捉えた美しさ。

あと数秒早かったら、
あと数分遅かったら成立し得ない、生命の息吹。

一度なくなってしまったものが、
また新しいものとして再生されていく、
ピースを埋め合わせると作品として完成する
パズルやモザイクアートに似た
痛快さとユニークがある。

と同時に、細やかな自然の神秘さや
花鳥風月が織りなす表情の数々を
日頃どれだけ気遣うことができているか、
感動や娯楽を自分で生み出せる人間の
尊さを考えさせられる空間だった。

「これとこれが繋がるんだ!」と
類義語辞典を読み漁っているような感覚で、
ユニさんの脳内のほんの一部が覗く個展。

モード、ブランド、スタイル……
概念が難しい言葉は様々あるけども、
もはや「吉田ユニ」というジャンルが
ひとつのカテゴリーなんだと確信する。
 ☞でも、新作は常に新しい不思議。


👠🌹
🍒

デザインについて考えたこと


(大変僭越ながら)
ライターの端くれとして、
文章にせよ グラフィックにせよ
新しいものを創作するということは、

ぼんやりと浮かんだアイディアを
いかに言語化/記号化/形象化……していく、
僕にとっては自問自答と
半ば自暴自棄とを繰り返す作業。

夢日記をつけるような感覚で、
フェードアウトしていく前に
頭に浮かんだイメージを
消えてしまわないように刻んでいく。

そして、紙の上に集った要素を見渡し、
連結や通底するものがないか、
これまで堆積した
自分の記憶や知識や考えで筆を運んでいく……
こうしてテキストやデザインにも
途方もない時間の消費が必要になる作業だ。

何をテキストにしたか 何を参考書にしたか、
その人の人生を彩ってきた経緯論が
作品のあちこちに宿って、
その人にしか描けないアートが完成する。

ユニさんの作品の一つひとつを見るたび、
どんな経緯論が流れているのか
気になって仕方なくなる。


🧶🍁
🍯

ときには美術館にいる感覚で自然を気遣う
手作りする意味と娯楽と感動


つい「意味がない」と
その場の損得や利害で
目の前の物事を判断してしまうけども、

それは「意味がない」じゃなくて、
自分で「意味付けしていない/できていない」だけなのかもしれないと、
今回のユニさんの個展鑑賞から
数週間考えるようになった。

「意味付けしようと努力していない」だけ、
と表現すると言葉が乱暴だけれども、
いつだって無条件に「意味」や「感動」が
自然とあちらからもたらされるわけじゃない。

だからこそ、せめて余裕があるときには、
自然を眺めるときも美術館にいる感覚で、
どれだけ事象の数々に意味を大きく育てられるか、
自分の日々を考え直して、
もっと想像力を重ねて、健康的に生きたいなと
小並感満載ですが思いました……。

お店を出た帰り道、
東京は白金の路地裏で
そぼ降る雨に打たれて開いたビニール傘も、
見ようによっては
誰かのアートになっているのかもしれない……、
ユニークをどれだけ毎秒毎時間に埋め込めるか、
もっと牧歌的に楽しく生きていこうと決めました。




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