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プロシューマー(生産消費者)の時代の到来

戦略コンサルタントのアップルです。

みなさんはプロシューマー(生産消費者)という言葉を聞いたことはあるでしょうか?アップルが最も好きな概念の一つです。非常に広範故、社会学でも経済学でもビジネスでも重要な概念だと思います。

そこで今回は、
・このプロシューマーとは何か
・これからプロシューマ―が台頭する時代になる

ということを、いくつかの実例をもとにお話します。

プロシューマーとは何か?

プロシューマとは、日本語に訳すと生産消費者です。アルビン・トフラーという米国の未来学者が1980年に提唱した概念とされています。
「第三の波」という本の中で提唱されています。

時代をさかのぼると、農業などの第一次産業が中心だった時代は、多くの人は生産消費者でした。自分で作物を生産し、自分で消費する。生産と消費を両方行っていたわけです。

それが、産業革命を契機に工業化が進むと、生産と消費の分断が進みました。当然、個々人をみれば、何かしらの生産活動に従事して所得を得て、その所得で消費活動をしています。ただ、生産活動と消費活動は分断されました。

例えばアップルの場合、戦略コンサルティングサービスの生産に従事し、それで得た所得をもとにいろんな消費をしていますが(浪費も含めて(苦笑))、私自身が戦略コンサルティングサービスを消費することはありません。会社勤めの多くの人が、このように生産活動と消費活動のリンケージが切れていると思います。

トフラーが、この生産と消費の分断の時代の次に来ると予測したのが、プロシューマーの復活です。経済が成熟化すると、個々の消費者のニーズを深く捉えて商品やサービスを提供していく必要が出てきます。プロダクト起点ではなく、ユーザーニーズ起点へと軸足が移ります。これに伴い、ある商品の消費者が、その商品の生産活動に踏み込んでいくことの価値が生まれてきます。

農業の時代とは異なる形で、生産と消費が融合するわけです。消費者の視点を持ちながら、それを武器として生産活動に参画する、いわば生産と消費の架け橋のような人たちが新たなプロシューマーとして出現します。

note貼り付け用

トフラーがこの概念を提唱をした1980年は、工業化真っただ中の時代でした。日本はバブル前夜。生産と消費は思いっきり分断されていた時代です。しかし、世の中は確実にトフラーが予測したプロシューマ―の時代に向かいつつあります。その先見の明には驚かされるばかりです。

一つ、身近な具体例をご紹介しましょう。

プロシューマーの例:無印良品

無印良品という製造小売りがあります。統一された商品ブランドイメージで、雑貨から家具まで様々な商品ラインナップを展開しています。女性を中心に多くのファンを抱えています。

製造小売りなので商品開発・生産も自ら行っていますが、そのやり方はまさにプロシューマー的アプローチです。つまり、消費者のニーズを、消費者のコミュニティ(=無印のファンで形成される「モノづくりコミュニティ」)を巻き込んで徹底的に吸い上げ、分析し、それを商品開発にフィードバックしています。

実際、こういう活動から、ヒット商品が生まれています。アップルの知り得る範囲だと、「体にフィットするソファー」です。

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この商品は、めちゃくちゃ売れた大ヒット商品ですが、実は消費者の声が起点となって生まれたという背景があります。プロシューマ―だからこそを生み出せた商品と言えるでしょう。(※体にフィットするソファーの開発経緯の詳細については、例えばこちらの記事をご覧ください)

プロシューマーの時代の到来を象徴する事象

他にもプロシューマ―の時代の到来を予見する動きは色々あります。

①ユーチューバー

子供のなりたい職業の上位にまでランクインするようになったユーチューバー。まさにプロシューマ―です。自分のやりたいことを突き詰めていった結果、それが他人にとっても価値があるということが分かり、YouTubeを通じて提供する。消費活動から生産活動にシフトしていく過程はまさにプロシューマーです。

②米津玄師

今や超人気アーティストとなった米津玄師。もともとはニコ動で活動していた無名の作曲家でした。趣味が高じてニコ動に楽曲をアップするようになり、徐々に世間の耳目を集めてメジャーデビューに至ったわけですが、この過程もまさにコンシューマーからプロシューマ―への変態(ちゃんとした意味の変態です!)と言えるでしょう。

③note

このnoteというプラットフォームも、プロシューマーを育てるプラットフォームと言えます。

世間の注目を浴びてはいないが、すごいいいコンテンツを持っているクリエイターは世の中にはたくさんいます。そういう人たちが日の目を見る機会を与えているのがnoteというプラットフォームの本質的価値だとアップルは理解しています。

実際に、noteでブログを書いていた人が注目を集め、出版社の目にとまり、出版に至るケースもたくさん出てきているようです。

このように成功した人たちもプロシューマ―といえるでしょう。

大きなテーマなので続編を書いていきます

このプロシューマ―が台頭するという話は、非常に視座の高い話で、経済学やビジネスで言われているいろんなコンセプトやトレンドを包含しています。

思いつくだけでも、

・ユーザーイノベーション
・UGC(ユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツ)
・ビジネスのファンクラブ化
・ファンビジネスの台頭
・カスタマーエクスペリエンス

といった最近ホットなキーワードは、プロシューマー化の文脈に当てはまります。

BtoCのビジネスを展開する企業にとっては、このプロシューマーの波を捉えてうまく取り込んでいかないと、競争力が減衰していくリスクもあると思います。

アップルとしても関心ある領域なので、続編としてまた論じていきたいと思います!

今回はここまでです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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