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戦コンは思考体力がとても大事という話

戦略コンサルタントのアップルです。

過去に、戦略ファームの採用面接(主に中途採用を念頭)で面接官がどんなところを見ているのか、地頭をどうやってチェックしているのかというようなことをパラパラと記事にしてきました。こちらのマガジンに格納しているので、ご興味ある方はご覧ください。

戦略ファームの面接プロセスは、一般的な事業会社と比べるとかなり丁寧です。人がすべてと言ってもよい仕事なので、何人もの面接官で、その人物が戦略コンサルタントの適性があるか二重三重で見極めます。

ただ、そのように丁寧なプロセスを経ても、戦略コンサルタントに向いていない人、適性があるとは言い難い人を一定の割合で採用してしまいます。そういう方は、まず本人が非常に苦労をしますし、ファーム側としても重荷になるため、お互いにとってハッピーではありません。

では、なぜそれだけ丁寧に多面的に面接をしても、そういう方が一定割合混ざってしまうのでしょうか?

今日はその点について書いてみたいと思います。

戦コンは地頭のキレだけでは不十分

地頭には5つの構成要素があるということを以前こちらのエントリーで描きました。

地頭には、広さ、深さ、高さ、回転、発想、の5つの要素があります。ケース面接の中では、候補者の方がこれらをバランスよく具備しているかどうかを質疑応答やディスカッションも交えながらチェックします。

ですが、実は、戦略コンサルティングの仕事において、上記の5つにプラスアルファの大事な地頭の要素があります。

それは「思考体力」です。

思考体力という言葉は、あまり使わない言葉だと思います。アップルも戦略ファームに入ってから初めて聞いた気がします。

一般的に体力という言葉は身体の運動能力の持続性のことを指します。同様に脳みその働き、すなわち思考についても持続性という軸があります。それを思考体力というわけです。

思考体力はいわば地頭の隠れた第6の要素です。

思考体力がアウトプットの深みを左右する

戦略コンサルティングとはどういう仕事かと言えば、超単純化すると「考える仕事」です。直面するイシューについて徹底的に考える。クライアントの何十倍も、何百倍も考える。これが戦略コンサルティングの価値の本質です。

そのため、戦略コンサルタントにはひたすら考え続ける力、つまり思考体力が不可欠です。思考体力があって四六時中考え続けられる人と、そうでない人のどちらが深いアウトプットが出せるか?明らかに前者ということになります。

頭の回転の速さや論理的思考力などももちろん大事なのですが、これらの地頭の良しあしはある意味「瞬間風速」です。瞬間風速は強くても、その持続性が弱ければ、決してクライアントを唸らせるような深いアウトプットには到達できません。

それくらい戦略コンサルタントにとって思考体力は大切なのです。

思考体力は面接での見極めが難しい

このように思考体力は戦略コンサルタントの素養としてかなり大事なのですが、かなりアップルの経験上、戦略コンサルタントの中でもかなり個人差がある気がしています。

学歴や職歴はピカピカで、一見頭が良さそうな人でも、思考体力がおそらくなくてアウトプットがものすごい浅いというタイプの人が一定数います。

なぜこうなってしまうかというと、思考体力の見極めが面接ではなかなか難しいからです。ケース面接で瞬間風速的な側面で地頭をチェックすることはそれなりにできますが、その持続性(=思考体力)となると、1時間の限られた面接の中ではそもそもチェックできません。

つまり、思考体力という側面での地頭チェックは、結構ザルになっている可能性があり、だからこそ思考体力のない人を一定割合で採用してしまっているんじゃないかと思います。

その中でも、思考体力をチェックするには?

思考体力をダイレクトにチェックできないにしても、その「片鱗」くらいは面接官も見抜かないといけません。アップルが考慮している要素をベースに、この辺から片鱗が読み取れるんじゃないか、ということを参考までに記しておきたいと思います。

1.ディスカッションに食らいついてくる人は思考体力が高い可能性

ケース面接では、面接官と応募者との間で仮想ケースをもとに少しディスカッションをします(少なくともアップルはそのスタイルをとっています)。面接官からの突っ込みに対して、どれだけ自分で考えた自分の言葉で食らいついてこれるか。これが思考体力の一つの片鱗だと思います。

2.院卒は思考体力が高い可能性

理系の人は、曲がりなりにも大学院に進学して一つの研究テーマを掘り下げている方が多いので、その過程で思考体力が培われている確率が高いです。文系でも大学院に進学している方は(あまり多くはありませんが)思考体力がある可能性は高いでしょう。

またひょっとすると、専攻した学問からも思考体力が窺えるかもしれません。例えば大学で哲学を専攻していた人はおそらく思考体力が高いと思います。

3.試行錯誤した経験がある人は、思考体力が高い可能性

考え続けられるから試行錯誤するという側面があるように思うので、人生の中で試行錯誤をどれだけしてきたか、そうしたエピソードをどれだけ持っているかも思考体力を推定する材料になるように思います。



今回はここまでです。

戦略ファーム志望者は、思考体力に自信があるかどうかを自己評価してみるのが良いと思います。考えることが大好きで、考える対象が何であっても考え続けることができる人じゃないと、正直適性があるとはいえず、戦略ファームに入ったとしても苦労することになります。

逆に、考えることが好きな人には、超お勧めな仕事です!

最後までご覧いただきありがとうございました!


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