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ロジックの強さには3段階のレベルがあるというお話②

戦略コンサルタントのアップルです。

第一弾に引き続き、ロジックの強さのレベルについて論じる記事の第二弾です。昨日投稿した第一弾が非常に好評でしたのでぜひ併せてご覧ください!

今回は最もレベルの高いロジック力「レベル③:全体の構造化ができる」について解説します。これができるようになれば自信をもってロジックは強いといってよいと思います。少々長いですが、ぜひ最後までご覧ください!

<想定読者>
・そもそもロジカルシンキングとは何かを知りたい
・ロジック力を強くしたい
・戦略コンサル流のロジックの鍛え方を知りたい

前回記事の振り返り

前回の記事では次のようなお話をしました。

・ロジック力(左脳の強さ)は決してコモディティ化はしていない。ただし、ある一定のレベルを超えないと競争力になりにくいので、ロジック力にはレベルがあることを理解しておくことが大切

・具体的には3つのレベルがある。レベル②から競争力になってくる
  -レベル①:MECE、So Whyが自然にできる(易)
  -レベル②:全体を捉えるフレームワークが作れる(やや難)
  -レベル③:全体の構造化ができる(難)

・レベル①はロジックツリーを描いたり、常に自分の主張を理由や論拠とともに語れる状態。本もたくさん出ているし、多少の経験を積めばできるようになる

・レベル②は、軸をとって全体像を描写する力。軸をセンス良くどう設定するかが難しいポイントであり、センスと相応の経験が求められる

今回の記事では、前回に引き続き、「レベル③:全体の構造化ができる」とはどういうことか、またそれを適用するシーンについてお話をします。

全体の構造化とは?

戦略ファームでは構造化という言葉を非常によく使います。日常的にはあまり使わない言葉なので、ややコンサル業界特有の用語といってもよいでしょう。

まずはこの構造化とはどういうことを意味するのか、概念的に説明をします。やや抽象度が高いですがお付き合いください。

全体の構造化とは、次のように定義できます。

「分析の対象を構成する事象を洗い出し、かつ、それらの事象がどのような因果関係で結び付いているかを描写する」

一般に、複雑な対象を分析しようとするとき、その対象は複数の事象で構成されています。全体感をもってその対象を捉えるためには、まずそれを構成する事象を洗い出さないといけません。これが「全体」という言葉に込められた意味合いになります。

また、それらの複数の事象は、互いに独立ではなく、相互に絡みあっているケースがほとんどです。その絡み合い方、つまり「因果関係」を紐解くのが構造化という言葉の意味合いです。

「事象Aは事象Bが原因で発生している。さらに事象Bの根っこには事象Cがある。」

このように「なぜ?なぜ?」を繰り返し、因果の連鎖を浮き彫りにしていくのです。

全体の構造化の利用シーン

では、この全体の構造化は、どういう対象に対して適用するものなのか?
具体例とともに説明していきたいと思います。

構造化の対象となるのは「複数の事象が絡みあって、ある大きな事象が発生している」もの全てになるので、ビジネス、社会、さらには日常生活のあらゆるシーンに適用できるものです。その中でビジネスにおいて全体の構造化が有効なシーンは大きく2つあります。

①課題の構造化
企業活動を進めていく中では常に何かしらの課題が発生しています。課題が全く存在しない企業などないでしょう。

その課題がどのような構造・メカニズムによって発生しているのか?
これを明らかにするのが課題の構造化です。

これはお医者さんに例えると「診断」に該当するものです。医者に行くとまず症状を聞かれます。患者は症状を色々というでしょう。熱があって、とか、体がだるい、とか、のどがいたい、とか。そこからお医者さんが診察をして原因を探り、病名を特定し、処方箋を出します。原因まで含めて患者に起きている事象を構造的に捉えているわけです。

ちなみに、課題の構造化を的確に行えないとすれば、それはいわば「やぶ医者」です。適確に構造化してはじめて効果的な手が打てるという意味でとても重要です。

②ビジネスの構造化
ビジネスというものも、様々な事象が絡み合った結果として成立しています。「一見すると良くわからないが、なぜかあの会社はすごく儲かっている」。こういう会社やビジネスモデルを目にすることがあると思います。

そういう会社やビジネスモデルを対象に「なぜあの会社は業績が良いのか」「なぜあのビジネスは成長して儲かっているのか」というメカニズムを明らかにするのがこのビジネスの構造化です。

百聞は一見にしかずということで、それぞれのアウトプットイメージをご紹介しましょう。

課題の構造化のアウトプットイメージ

日経BP「XTECH」の記事にぴったりのアウトプットがあったので引用の上ご紹介します。

画像1

これはとある企業での接客における課題を構造化したモデルケースです。

灰色の〇が現象として発生している課題で、四角い箱がその原因の事象です。矢印が因果関係を表しています。様々な事象が複雑に絡みあっていることが見てとれます。

こういう絵を書くことが課題の構造化です。一発で構造の絵を描けることはまずないので、仮説ベースで描いた絵を様々な角度から検証を重ねてブラッシュアップしていくことになります。

ビジネスの構造化のアウトプットイメージ

これは別の記事でも紹介しましたが、Amazonの「紙ナプキンの絵」がアウトプットイメージとして一番わかりやすいです。

画像2

Amazonのビジネスを構成する主要な構成要素を因果関係で結んでおり、まさにAmazonのビジネスモデルの構造・メカニズムを描いた絵といえます。

例えば、真ん中に「TRAFFIC→SELLERS→Selection→Customer Experience」という循環がありますが、これは、

・サイトのアクセス数が増え、ECサイトとしてでかくなると、
・出品したい企業が増え、
・そうすると品揃え(顧客にとっての選択肢)が増え、
・顧客の満足度が上がり、更にトラフィックが増える

というメカニズムを表しているわけです。うまくいっているビジネスには必ずこうしたいい感じのメカニズムが背後に潜んでいます。

このようにビジネスを構造化することは、自社のビジネスを構造化した上で効果的な事業戦略を練る上でも重要ですし、ライバル企業に勝つためにライバル企業のビジネスを構造化して強みや弱点を浮き彫りにする上でも重要です。

まとめ

前回と今回の記事の総まとめです。

・ロジック力(左脳の強さ)は決してコモディティ化はしていない。ただし、ある一定のレベルを超えないと競争力になりにくいので、ロジック力にはレベルがあることを理解しておくことが大切

・具体的には3つのレベルがある。レベル②から競争力になってくる
  -レベル①:MECE、So Whyが自然にできる(易)
  -レベル②:全体を捉えるフレームワークが作れる(やや難)
  -レベル③:全体の構造化ができる(難)

・レベル①はロジックツリーを描いたり、常に自分の主張を理由や論拠とともに語れる状態。本もたくさん出ているし、多少の経験を積めばできるようになる

・レベル②は、軸をとって全体像を描写する力。軸をセンス良くどう設定するかが難しいポイントであり、センスと相応の経験が求められる

・レベル③は、全体を構造化する力。事象を網羅的に把握しつつ、かつその因果関係を分析し、全体構造を絵に落とす力。地頭の「広さ」と「深さ」の両方が求められるため最も難易度は高い


いかがでしたでしょうか?
ロジック力を高めていきたいという人にとって、部分的にでも参考になったとすれば幸いです。

今回でロジック力の3つのレベルについては説明を終えました。

次にみなさんが気になるのは「では、どうやってロジック力を高めればよいのか?」というHowの部分かと思います。

正直、レベル②とレベル③については、センスが求められたり、実際に作ってみないとやり方や勘所が分からないという側面があるため、言語化してHowをお伝えするのはなかなか難しいです。

ですが、ロジック力強化のヒントのようなお話はできますので、次回、完結編としてそのあたりをお話したいと思います。


最後までお読みいただきありがとうございました!

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