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戦略コンサルタントが語る「地頭」の本質③

戦略コンサルタントのアップルです。

戦略コンサルタントが「地頭」をどうとらえているか、その具体的な構成要素、それぞれの地頭要素を鍛えることの価値、といったところを2回にわたって論じてきました。

今回は、その総括として「地頭の全体構造の絵」を書いてみましたのでご紹介します。おそらく本邦初です。

これまでの記事の振り返り

詳しくは、前回の記事をご覧いただければと思いますが、地頭の5つの構成要素についてのサマリーは次のとおりです。

①広さ
「物事を広い視野で捉える力」。物事の可能性を広く探り、関係者と合意形成する上で重要。

②深さ
「自問自答を繰り返す力」。これができるかどうかで思考の深みは大きく変わってくる。

③高さ
「高い視点や視座で物事を捉える力」。相手の視座の高さを推測し、それに合わせる形でコミュニケーションをとっていくことが重要。

④回転
「脳みその処理速度」。広さ、深さ、発想など他の地頭要素の強化のレバレッジにもなる地頭要素。

⑤発想
「情報・知識の引き出しを持ち、それらを組み合わせてオリジナルなアイデアをつくる力」。最も時間がかかるが、強化の時間を早めることはできる。

地頭というものを一言でふわっと捉えず、このように要素分解して捉えることが、自分の脳みその特性を理解し、地頭を強くするしていくためには大事です。

もうひとつ大事なことは、これらの要素は独立ではなく、連関しているということです。ある地頭要素を強くすると、別の地頭要素も強くなるという、いわばシナジーがあります。ここを意識しておくことはとても大事です。

地頭の全体構造とその意味合い

このような連関も含め、地頭の「全体構造」を筆者なりに絵にしてみたのがこちらです。

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この絵の意味合いを、解説します。

★回転は広さと深さに効く

これは前回の記事でも言及しましたが、頭の回転が速いことは地頭を強くするのに有利で、特に、広さと深さに効きます。なぜなら、回転が速いといろんな可能性をもれなくだぶりなく探索できますし、自問自答を高回転させて(なぜなぜを繰り返して)深いところまでたどり着くことができるからです。

★高さと深さは発想に効く

発想力は「質の良い情報インプットの量×その組み合わせ力」で決まると前回整理しました。高さと深さがあると、情報を大局的に捉えたり、情報を深掘りして深い知見に落とし込むことができます。つまり、一見普通の情報を、「質の良い情報」へと転化させやすくなるわけです。

また、高い視座で捉えたり、思考を深めることは、何らかの「本質」や「法則」っぽいものにたどりつくことも意味します。それによって、一見独立にみえるAという情報とBという情報との間に「つながり」を見出しやすくなります。つまり「情報の組み合わせ力」が高まります。

まとめますと、要するに「情報の料理のうまさ」が高さと深さで決まってくるわけです。

★情報の不断のインプットは発想力を高める上で大切

絵の右端に「情報」と書いてあります。発想は脳内の情報の組み合わせなので、情報をインプットし続けることが大事です。ここを怠ると発想力は枯れていきます。

その際、ポイントになるのは、前回もお話したように、やみくもに情報を浴びようとするのではなく、極力「質のいい情報」をインプットすることです。グーグルで少し調べれば出てくるような情報は、コモディティの情報なので、情報自体の価値も低いですし、そういう情報を起点に発想したアイデアも、価値が低いものである可能性が高いです。

・質の高い情報を持っている人と仲良くなり、会話から質の良いインプットを得る
・「いい本」を見極めた上で、その本をじっくり読む
・いいことを書いている、自分の発想の種になりそうなことを書いているネット記事やブログを探し、継続的に読む

インプットというのは時間がかかるものなので、上記のようなことを意識しながら、浴びるべき情報を厳選する意識が大切だと思います。

左脳・右脳との関係

よく、地頭を左脳と右脳の2つに分けて語ることがあります。今回の整理は、さらに細かく要素分解したものですが、これとの対応を最後に簡単に整理しておきます。

左脳:広さと深さ

左脳=ロジカルシンキングの強さと定義した場合、広さと深さに概ね対応します。ロジカルシンキングの本質は、
・もれなくだぶりなく幅だし・分解すること
 ※コンサル本に出てくるイシューツリーやロジックツリーはこれに該当
・因果関係やメカニズムを読み解くこと
の2つですが、前者は広さに、後者は深さに対応します。

右脳:高さと発想

右脳=発想力というイメージはみなさんお持ちだと思いますが、高さもどちらかと言えば右脳的要素(センスに近いもの)だと思います。


今回は以上です。
最後までご覧いただきありがとうございました!

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