林檎飯

身内用創作ss置き場です

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記事一覧

間抜けでよかった、かもしれません

「コーンポタージュのコーンを最後まで飲む方法、ご存知ですか」 言い終わる前に、なんとも間抜けな話題を選んでしまったと後悔した。 「これ、回しながら飲むと良い感じな…

林檎飯
1年前

賢者の柏餅

「……これはボクが悪かった」 「いえ、私も悪かったわ……」 テーブルに並んだ二パックの柏餅を眺め、ボクらは深くため息をついた。 ☆ ゴールデンウイークも終盤。同…

林檎飯
1年前
1

Cause lovin' you

1ヶ月に数回、物凄く喉の調子が良い時が無いだろうか。 例えるならその100倍くらい、もっとかな、その日はそのくらい、声が上手く出るような気がした。 「〜♪〜〜♪」 ハ…

林檎飯
1年前

知らないものだらけ

 焦げ付きにくいフライパンセット。  珪藻土バスマット。  電動お魚釣りゲーム。  何でもあるのに、欲しいものだけが見当たらない。 ☆  衛生用品が足りなくなって…

林檎飯
2年前

庶民派ハロウィン

 帰宅して真っ先に出迎えてくれたのは、陶器でできたジャックオランタンの置物だった。 「可愛いじゃないか、これ」 「でしょう」  棚上の判子とボールペンの横にちん…

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2年前
2

マチルダの自己紹介的なss

(……あれ、これって)  あくびあくびの4限が終わって、ようやくのお昼休み。パンでも買いに行こうと席を立つと、教室の隅にハンカチが落ちていた。「I」のイニシャル刺繍…

林檎飯
2年前
2

8割寄りの、2割

「おは……ふ、あはははは!アンタ、鏡……あはははは!」 「…笑ってないで助けてくれ、爆発したんだ」  笑い転げるだけの同居人を眺めながら、どうにもならない自分の…

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2年前

ゆめかうつつか

「綺凛、きーりーん」  お母の声でゆるりと覚醒する。  親戚の家から帰るには、車で3時間。後部座席は揺り籠のような心地良さがあり、いつもすぐに寝てしまっていた。 …

林檎飯
2年前
1

月城くんと綺凛の絡み妄想 おまけ

「あれ、ふたつ?」  アイスキャンディをカゴに入れた後にレアチーズケーキを手に取った私に、彼はそう問いかけた。 「…だめ?」 「いや、全然大丈夫だよ。でも、口の…

林檎飯
2年前

月城くんと綺凛の絡み妄想

「おーい、ビール」  甘酢炒めを配膳した直後、叔父たちは真っ赤な顔で呼び止めた。  私、ビールじゃないんだけど。そんな子供っぽいことを思いながら、「はあい」と返…

林檎飯
2年前
1

不可逆

「電車って、昔すごく怖かったんですよねぇ」  隣町に買い出しの用事があり、荷物持ち要員の後輩を連れて行った日のこと。次の電車まであと10分。世間話が続かず気まずか…

林檎飯
2年前

親戚の家でのあれこれ

「キリンちゃん!大きくなって〜」 「おたくまた昇級したんですって?」 「あ、うちの息子もね……」 「あら!それって……」  着いてすぐに開催される、おばさんマシン…

林檎飯
2年前

お姉は

 お姉はずっと不器用な人だった。 「着飾ったり化粧したりなんかして、くだらない」 (そのままでも可愛いのに) 「何だ、食い物じゃないのか」 (こんなに良いものを貰える…

林檎飯
2年前

紡さんとの絡み的な何か

「邪魔するぞ!!」  ガラッと勢い良く扉を開けて医務室に入ってきたのは、言葉中将。片足で器用にトントンと部屋に入り、可愛い顔と体躯に似合わずドカリとベッドに座っ…

林檎飯
2年前
1

うちの子軍人ったー設定

水森 妃凛 (みなもり きりん) 衛生隊長 19歳 一人称:私 二人称:あんた 「自分に自信なきゃ、ツインテなんてしないっつーの」 「はいはい、取り敢えず座って」 「…

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2年前

あかりをつけましょ

「信州地方では歳の数だけ雛あられを食べるんだぞ」 「微妙に本当っぽい嘘やめて頂戴」  バレたか、と声を漏らすと彼女は呆れ混じりのため息をついた。 食卓とキッチン…

林檎飯
2年前

間抜けでよかった、かもしれません

「コーンポタージュのコーンを最後まで飲む方法、ご存知ですか」

言い終わる前に、なんとも間抜けな話題を選んでしまったと後悔した。

「これ、回しながら飲むと良い感じなんですよ」
「それ、本当に上手く行きます?」

試したことがある人の言い方だった。

「少なくとも打率は上がります」
「やっぱりそのレベルですよね」
「よく飲むんですか、コーンポタージュ」
「ええ、プチ家出の時に」
「プチ家出」

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賢者の柏餅

「……これはボクが悪かった」
「いえ、私も悪かったわ……」

テーブルに並んだ二パックの柏餅を眺め、ボクらは深くため息をついた。



ゴールデンウイークも終盤。同居人のいちごクンが買い物に行った後、休み前にクリーニングに出していた白衣を思い出し、取りに行くことにした。(白衣の汚れは中々家庭用洗剤では落ちないのだ。)
白衣を受け取った帰り道、いつもならスルーしてしまう和菓子屋に目が止まった。今日

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Cause lovin' you

1ヶ月に数回、物凄く喉の調子が良い時が無いだろうか。
例えるならその100倍くらい、もっとかな、その日はそのくらい、声が上手く出るような気がした。

「〜♪〜〜♪」

ハミングで喉の調子を整え、何を歌ってみようかと、頭の中で色々な曲をシュミレートする。覚えたてのJPOP、今度歌う合唱曲、流行りのバラード。
迷った末に私は、かなり古めのラブソングを口ずさんだ。私が産まれる前に大ヒットした曲。パパが車

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知らないものだらけ

 焦げ付きにくいフライパンセット。
 珪藻土バスマット。
 電動お魚釣りゲーム。
 何でもあるのに、欲しいものだけが見当たらない。



 衛生用品が足りなくなってきたので、買い出しに行くことになった。本来なら部下にやらせるような仕事だが、彼らは他の「部下にやらせるような仕事」に忙しく、仕方がなく手の空いた私が行くことになった。
 まぁ、定例業務は自動ツールにやらせるようにしてるからぶっちゃけ暇

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庶民派ハロウィン

 帰宅して真っ先に出迎えてくれたのは、陶器でできたジャックオランタンの置物だった。

「可愛いじゃないか、これ」
「でしょう」

 棚上の判子とボールペンの横にちんまりと飾られたそれは、殺風景な玄関をパッと明るくしてくれていた。お礼代わりにつんと弾くと、彼女は得意気にふふんと笑った。

「100円ショップでラップを買おうとしたら、目が合っちゃって。つい買っちゃったの」
「ははは、それは買い物上手な

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マチルダの自己紹介的なss

(……あれ、これって)

 あくびあくびの4限が終わって、ようやくのお昼休み。パンでも買いに行こうと席を立つと、教室の隅にハンカチが落ちていた。「I」のイニシャル刺繍が入った、レースのハンカチ。このクラスでアイから始まる名前の人は、アイリスさんだけだ。拾い上げてぱんぱんと軽く埃を落とすと、香水の甘い香りがした。

(届けてあげなきゃ!)
 
 アイリスさんは、今時珍しいくらいの「正統派お嬢様」って

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8割寄りの、2割

「おは……ふ、あはははは!アンタ、鏡……あはははは!」
「…笑ってないで助けてくれ、爆発したんだ」

 笑い転げるだけの同居人を眺めながら、どうにもならない自分の寝癖をつるりと撫でた。

 2人で生活するようになってから数ヶ月経ち、あることに気付いた。
 シャンプーの減りが早い。
 2人で生活をしているのだから当然と言えば同然だが、2人とも髪が長いため1日につき3×2=6プッシュ消費することになる

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ゆめかうつつか

「綺凛、きーりーん」

 お母の声でゆるりと覚醒する。
 親戚の家から帰るには、車で3時間。後部座席は揺り籠のような心地良さがあり、いつもすぐに寝てしまっていた。
 これは夢だ。恐らく、3歳くらいの時の。

「……」

 3時間もあればかなり深くまで寝入ってしまう。知らない人と会った疲れもあり、起きるのが嫌だった私はいつも目を閉じて狸寝入りを決めていた。

「綺凛、おーい……だめか」

 何度か目

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月城くんと綺凛の絡み妄想 おまけ

「あれ、ふたつ?」

 アイスキャンディをカゴに入れた後にレアチーズケーキを手に取った私に、彼はそう問いかけた。

「…だめ?」
「いや、全然大丈夫だよ。でも、口の中あまあまになっちゃうかなって」
「いいの」

 こっちは私用じゃないし。なんて言うのも面倒だったから適当に返事をした。
 そういう彼が手に持っていたのは、アイスキャンディとバタービスケットサンド。存外甘党なんだなと思いながら、レジへと

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月城くんと綺凛の絡み妄想

「おーい、ビール」

 甘酢炒めを配膳した直後、叔父たちは真っ赤な顔で呼び止めた。
 私、ビールじゃないんだけど。そんな子供っぽいことを思いながら、「はあい」と返事をしてキッチンに向かった。

「……あれ」
「あ!キリンちゃん、ビールもう無いのよォ」
「あ……そうですか」

 ちらりと振り返って声をかけてくれた彼女は、重そうにとろろをかき混ぜている。米のこびりついた寿司桶を洗っていたり、玉ねぎを飴

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不可逆

「電車って、昔すごく怖かったんですよねぇ」

 隣町に買い出しの用事があり、荷物持ち要員の後輩を連れて行った日のこと。次の電車まであと10分。世間話が続かず気まずかったらしい彼は、そんな話を照れたようにし始めた。

「轢かれたらひとたまりもないから?」
「そんな怖い話じゃないです! ただ、一瞬ですごく遠くまで行っちゃうの怖くなかったですか?」
「ふぅん……?」
「ほら、小さい頃ってあまり遠くに行け

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親戚の家でのあれこれ

「キリンちゃん!大きくなって〜」
「おたくまた昇級したんですって?」
「あ、うちの息子もね……」
「あら!それって……」

 着いてすぐに開催される、おばさんマシンガントークからのマウント合戦。

「キリンちゃん、またお姉さんになったんじゃない?カレシでも出来たか〜?」
「だめだよ、変な人に捕まったら!おじちゃんたち許さないからね?」
「だめだめ、俺たちがそんなこと言ったら!行き遅れちゃったらどう

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お姉は

 お姉はずっと不器用な人だった。

「着飾ったり化粧したりなんかして、くだらない」
(そのままでも可愛いのに)
「何だ、食い物じゃないのか」
(こんなに良いものを貰えると思わなかった)
「紫月、綺凛は邪魔だから引っ込んでろ」
(こっちは危ないから私に任せておいて)

 根は優しい人なのに、口から出る言葉はどれもこれも最悪。これじゃ、相手に真意が伝わらない……友達がいないのも仕方がない。

「ねぇ、

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紡さんとの絡み的な何か

「邪魔するぞ!!」

 ガラッと勢い良く扉を開けて医務室に入ってきたのは、言葉中将。片足で器用にトントンと部屋に入り、可愛い顔と体躯に似合わずドカリとベッドに座った。
「彼」は担いできた義足を突き出し、偉そうにふんぞり返る。

「……どーも、どしたんですか」
「何もしてないのに壊れた!」
「パソコン壊したおじいさんと同じ言い訳」

 溜息をつきながら義足を受け取る。
 彼曰く「何もしていないのに壊

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うちの子軍人ったー設定

水森 妃凛 (みなもり きりん)

衛生隊長 19歳

一人称:私
二人称:あんた

「自分に自信なきゃ、ツインテなんてしないっつーの」
「はいはい、取り敢えず座って」
「調べれば書いてあることをわざわざ覚える必要あります?それなら電子辞書でも雇ったら?」

容姿端麗、成績優秀、料理や掃除洗濯その他何でもテキパキとこなす。
言動的にナルシシストに思われがちだが、謙遜なく事実を述べているだけに過ぎな

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あかりをつけましょ

「信州地方では歳の数だけ雛あられを食べるんだぞ」
「微妙に本当っぽい嘘やめて頂戴」

 バレたか、と声を漏らすと彼女は呆れ混じりのため息をついた。 食卓とキッチンの間にあるカウンターには既に食事の用意が出来ており、彼女お手製のちらし寿司には、30%オフで買った大奮発のいくらが輝いている。

「あ、そだ、お雛様飾らなきゃね」

 彼女はぱたぱたと部屋に戻り、ちりめん製の、お内裏様とお雛様の二人しかい

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