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誰も教えてくれないから自分でAppleのARデバイスのうわさを読み解く記事

AppleのARデバイスに使われるレンズの生産テストがはじまったと噂されていますが、どういう仕組みで映像を視界に合成するのか誰も教えてくれないので、自分でARデバイスの方式を勉強した記事です。

ARデバイスは映像をどう表示しているのか

ARデバイスは、現実世界を見つつ、そこに別の映像を合成します。

この合成のための方法として、いま主流の方式が2つあります。

ひとつは網膜投影式とよばれるものです。
レーザーの光を、ダイレクトに網膜に届けて、網膜の上で像を作るものです。

人間の目がものを見ているとき、ものに反射した光が水晶体でピント調節されて眼球の奥にある網膜にとどき、像として見えています。

網膜投影式は、水晶体によるピント調節に関係なく映像を表示するので、視力に関係なくクリアな像を表示できるのが特徴のひとつです。

この方式では、網膜の上以外に、映像は表示されていません。

下の記事とかでもう少し詳しい説明が見られます。


もうひとつの方式は、スマホのディスプレイと同じようなものが表示してる映像を、ユーザーの目の前にある透明な板の上に合成するやり方です。

ディスプレイ自体は視界を邪魔しないように、別の場所に置かれています。それだけだと何も見えないので、ディスプレイが発する光を透明な板の中で反射させたりして、目に届けます。

HoloLensやMagic Leap Oneがこの方式です。

光を反射させるというと簡単ですが、かなり複雑に反射させないと実用レベルの表示ができません。透明の板といっても、複数の層からなっていたりします。

この仕組みを解説した動画があるので、詳しく知りたい方はこちらを見てください。


問題点

網膜投影式の問題は、レーザーの光を目にいれるという仕組みそのものにあります。

レーザーの光は可視光よりも弱くなっていて、目を傷つけることがないようになっているとされていますが、抽象的には事故の可能性は否定できません。
また、レーザーの光が目に入ると聞いて抵抗を感じるユーザーもいるかもしれません。

実際は危険ではなくとも、ユーザーに敬遠されるリスクがあります。

HoloLensなどの方式は、視野角が狭くなりがちであるとか、映像の品質が安定しないといった問題を抱えていますが、方式に危険性はありません。

AppleのARデバイス

最初の話に戻りますが、AppleのARデバイスは、すでにレンズの生産テストが始まっていると噂されています。

The Informationによれば、ARレンズは異なる素材で作られた極薄の層を何枚も重ね合わせた構造であるため、気泡や傷が生じやすい性質を持っています。そのため生産は、清浄度レベルが徹底管理されたクリーンルーム内で行われているとのことです。

これによると、レンズ複数の層からなっていることがわかります。
これは先ほどみた方式でいうとHoloLensと類似した方式だろうと推測できます。

というわけで、長い説明でやっと答えにたどりつきました。

この方式のデバイスはどれも大型ですが、ほんとうに普通のメガネぐらいのサイズの製品になるのかという疑問はあります。
ただし、現在デバイスを大きくしているのは、ディスプレイシステム以外の要素らしいので、スタンドアロンタイプにこだわらなければ小型化は可能のようです。

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